ふくらはぎの肉離れはバドミントン選手によく見られる怪我で、主に急な方向転換や踏み込みにより発生します。
肉離れの重症度はグレード1~3に分類されます。回復期間や適切なリハビリ方法は重症度によって異なります。
効果的なリハビリには段階的なアプローチが重要です。痛みを感じたら無理をせず、一つ前の段階に戻りましょう。
この段階では、過度な負荷を避けながら、基本的な機能を維持することが重要です。
回数:10~15回/3セット/日
目的:血流促進・可動域維持
実施方法:座った状態で足首を上下に動かします。痛みのない範囲で行うことが重要です。
回数:各方向10回×2セット/日
目的:筋肉のこわばり予防
実施方法:足首を大きく円を描くように回します。両方向に行いましょう。
回数:5秒保持×2セット/日
目的:膝回りの筋力低下予防
実施方法:膝を伸ばした状態で、太ももの前面に力を入れて保持します。
回数:5秒保持×2セット/日
目的:股関節周囲の筋力維持
実施方法:臀部に力を入れて保持します。仰向けや横向きでも実施可能です。
回数:10分×1回/日
目的:血流促進(ペダルを漕げれば)
実施方法:痛みがなければ、負荷なしで自転車をこぎます。無理のない範囲で行いましょう。
リハビリのリズム:朝と夜、または昼と夕方(疲労を残さない間隔で行う)
セット間の休憩:30秒~1分
痛みが出る場合は無理をせず、医師や理学療法士に相談してください。痛みがない、軽い範囲で実施することが重要です。違和感が出る場合は中止します。
この時期から再発防止のトレーニングも並行して始めましょう。
この段階では、段階的に負荷を増やしながら、ふくらはぎの機能回復を目指します。
回数:各方向10~15回2セット/日
目的:筋力回復・足関節安定
実施方法:ゴムチューブを使用し、背屈・底屈の方向に抵抗運動を行います。
回数:10回×2~3セット/日
目的:ふくらはぎの筋収縮を再教育
実施方法:椅子に座った状態で、つま先を上げ下げします。
回数:各脚20~30秒×3セット/日
目的:腓腹筋・ヒラメ筋の柔軟性向上
実施方法:壁に向かって立ち、後ろ脚を伸ばしたままかかとを床につけます。
回数:10秒保持×3セット/日
目的:バランス・神経筋制御の回復
実施方法:壁や椅子を支えにして片脚で立ちます。徐々に支えなしで行えるよう進めていきます。
回数:30秒間昇降×2セット/日
目的:軽めの下肢筋力・循環促進
実施方法:低い踏み台を使い、ゆっくりと昇り降りを繰り返します。痛みがなければ徐々に時間を延ばします。
痛みをモニターしながら徐々に負荷を増やしていきます。違和感が強くなったら一つ前の段階に戻りましょう。
特にカーフレイズとストレッチは筋肉の回復に重要です。
この段階では、競技特有の動きへと徐々に近づけていきます。
回数:15回×2セット/日
目的:筋力強化・跳躍準備
実施方法:両足で行えるようになったら、片足でのカーフレイズに移行します。
回数:15秒×3セット/日
目的:足部・体幹のバランス感覚強化
実施方法:バランスパッドや柔らかいクッションの上で片足立ちをします。
回数:1分×2セット/日
目的:階段踏み込み動作の準備
実施方法:踏み台の高さを徐々に上げていきます。最終的にはバドミントンでの踏み込み高さに近づけます。
回数:10回×2セット(週2~3回)
目的:踏み込み・切り返し、負荷訓練
実施方法:まず両足で軽いジャンプから始め、徐々に片足ジャンプや方向変換を加えていきます。
回数:2~3分×2セット(週2~3回)
目的:バドミントン動作の再獲得、全身持久力の回復
実施方法:平坦な場所で、ゆっくりとしたペースで短時間のジョギングを行います。痛みを感じたらすぐに中止しましょう。
ジョギングやジャンプなどスポーツ特有の動きができるようになったら、徐々にバドミントン特有の動きへと移行していきます。
競技復帰の判断基準:
対側(痛めていない足)のトレーニングと呼吸に注目した予防トレーニングが重要です。週3~4回を目安に継続しましょう。
回数:10回~15回2~3セット
目的:筋力維持、左右差の予防
実施方法:健側(痛めていない方の足)で体重を支え、つま先立ちをし踵を上げ下げします。
回数:10回~15回2~3セット
目的:健側の筋力強化、バランス向上
実施方法:健側の脚を前に出し、後ろ脚(痛めた足)を椅子に乗せた状態でスクワット動作を行います。
回数:10回×2セット
目的:後面筋群のバランス強化
実施方法:健側の脚で立ち、背筋を伸ばして前傾姿勢をとります。反対側の脚は後方に伸ばします。
回数:1分×1セット/1日2回
目的:身体の屈曲側筋肉と呼吸機能の促進
実施方法:四つ這いで背中を丸めたり(キャット)、おなかを反らせたり(ドッグ)します。背中を丸める際は深く息を吐き切ります。
回数:各種目距離(例:5m進む)を目安に、移動しながら行う
目的:競技特異的な動きの再獲得(股関節の安定性を高める)
実施方法:参考資料の動画リンクより確認してください。
ふくらはぎを痛める原因として、以下の要素が考えられます:
健側のトレーニングは筋力維持、左右差の予防、全身の血流促進に役立ちます。特にキャット&ドッグでの呼吸法は、身体の後ろ側の緊張を緩和する効果があります。
ファンクショナルトレーニングは競技特有の動きを取り入れることで、より実践的なリハビリを可能にします。
ふくらはぎの肉離れからの回復は、段階的に負荷を高めることが成功への鍵です。
以下の条件がすべて満たされてから、段階的に競技復帰を目指しましょう:
焦らないことが最も重要です。再発防止のためのトレーニングは競技復帰後も継続しましょう。
肉離れの回復には個人差があります。このプログラムはあくまで一般的なガイドラインです。痛みや違和感が続く場合は、必ず医師や専門家に相談してください。
急な痛みや腫れ、発赤などの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。