1. はじめに：指導の本質を問う格言
「努力を仕向けるは指導者の怠慢なり。
上達への道を共に歩むべし。」
スポーツの世界では、「努力は報われる」「負けたのは努力が足りないから」といった言葉が、まるで金科玉条のように語り継がれています。しかし、私たちはその風潮に一石を投じたいと考えています。ただやみくもに努力を強いることは、果たして本当に選手の成長に繋がるのでしょうか。それは、指導者が「どうすれば選手が伸びるのか」を深く考えることを放棄した、一種の"怠慢"ではないでしょうか。
2. 「努力の美徳化」という落とし穴
努力そのものは尊い行為です。しかし、それを絶対的な価値基準とし、結果が出ない原因をすべて「努力不足」に帰結させてしまう指導には、大きな問題が潜んでいます。
思考停止の連鎖
「もっと頑張れ」という言葉は、具体的で効果的な練習方法や戦略を提示する責任を指導者から奪います。指導者が思考を停止すれば、選手も「なぜ上手くいかないのか」を分析する機会を失い、ただ辛い練習を繰り返すだけになってしまいます。
才能の芽を摘む危険性
選手一人ひとり、身体的特徴も、得意なプレーも、成長のペースも異なります。画一的な「努力」の押し付けは、個々の選手の特性に合わない練習を強いることになりかねません。結果、怪我に繋がったり、本来持っていた才能の芽を摘んでしまうことさえあるのです。
3. Phoenix愛知の提言：上達への道を「共に歩む」とは
では、指導者はどうあるべきか。PHOENIX愛知では、指導者は「努力を強いる監督者」ではなく、「上達の道を共に歩むパートナー」であるべきだと考えています。これは、単なる精神論ではありません。
1. 対話を通じた課題の共有
選手の感覚や考えに耳を傾け、どこに課題があるのかを一緒に探ります。「なぜそのミスが起きたのか」「どうすれば改善できるか」を対話し、共通認識を持つことから始めます。
2. 個別最適化された練習の提案
一人ひとりの目標と現在の実力、そして特性に合わせて、最も効果的な練習メニューを考え、提案します。それは、量より質を重視した、最短距離で成長するための道筋です。
3. 失敗を許容し、次への糧とする文化
挑戦に失敗はつきものです。失敗を責めるのではなく、なぜ失敗したのかを共に分析し、次の成功への貴重なデータとして活用する。そんな前向きな環境こそが、選手を萎縮させず、主体的な成長を促します。
4. 結論：指導とは、可能性への伴走である
努力を美徳化し、選手に一方的にそれを仕向けるのは、指導者の思考停止であり、怠慢です。真の指導とは、選手の隣に立ち、同じ目線で課題を見つめ、共に悩み、共に解決策を探し、そして共に成長を喜ぶ「伴走者」となることだと、私たちは確信しています。
「頑張れ」の一言で終わらせるのではなく、その一歩先へ。
私たちは、選手一人ひとりの可能性を最大限に引き出すため、
上達への道を一緒に歩いていきたいと心から願っています。