成長を解き放つ鍵

「自分を壊す」勇気が、
最強の自分を創る。

『演じる力』とトップ選手の試合分析から学ぶ、成長の本質

1. 目先の勝ちより「将来の成長」を選ぶ勇気

小学生時代に特定の戦術で勝てても、中学生になると通用しなくなる。しかし、今勝てている戦術を手放すのは怖い――。このジレンマこそ、多くの選手が陥る「目先の勝ち」という罠です。

フェニックスでは、たとえ遠回りに見えても、世界で戦うための本質的なプレーを最初から追求します。それは、選手の未来に対する責任感であり、バドミントンを通じて「本質を見抜く力」を養うという大きな目標に基づいているのです。

目先の勝利 vs 長期的な成長 🏆 目先の勝利 (罠) 本質的な成長
短期的な成功の誘惑を断ち切り、未来に繋がる本質的な道を選ぼう。

コーチ

小学生の時に薄いネットで勝ってた選手で中学生以降でなかなかね、勝てなくなって。で、それ直そうとするとさ、今勝ってる人たちにも負けるから変えられなくなっちゃうんだよね。本当に苦しいからさ、その道に入ると。
目先の価値を取りに行くと結構苦しいよっていうことがあるからこそ、もう遠くの方のゴールを目指して最初っからやっていきましょうねっていうのが私の指導方針なんですよね。

2. トップ選手に学ぶ「薄いネット」のリスク

理論だけでなく、実際のトップ選手のプレーからも学びます。山口茜選手とアン・セヨン選手の試合分析では、安易な「薄いネット(短いヘアピン)」が失点に直結する典型的なパターンが浮き彫りになりました。

薄いネットのリスク図解 1. 薄いネット 2. 踏み込まれて沈められる 3. 苦しい返球 4. 決められる
安易な一手は、相手にとって最大のチャンスとなる。

コーチ

ここで薄いネット仕掛けたんですよね。薄いネット仕掛けたらもっと踏み込まれちゃって、で、低く取らされてバックアウトということですよね。やっぱりこれも薄いネットから失点形の1つですよね。
今のとこもね、ここで短いネット…薄いネットの狙いに行って踏み込まれちゃうんですよ。で、踏み込まれてさらに短く切られてもう選択肢がなくなってくるから…バックアウトした。さっきと同じだよね。

トップレベルでは、安易な選択がいかに致命的かを示しています。逆に、山口選手が見せたコンパクトで再現性の高いプレーこそ、私たちが目指すべき姿なのです。

3. なぜ「自分を壊す」ことが成長の鍵なのか?

この日の核心的なテーマは、「成長したければ自分をぶっ壊していきましょう」という、一見過激なメッセージでした。しかしこれは自己否定ではなく、最もポジティブな自己肯定の行為だとコーチは語ります。

「人見知りだから」「飽きっぽいから」—。私たちは無意識に、過去の経験から作られた「自分」という設定に縛られています。「ありのままの自分」という言葉は、成長を妨げる「呪い」にもなり得るのです。

自分を壊して成長する 過去の自分 理想の自分
「ありのままの自分」という殻を破り、理想の自分を創造する。

では、どうやって「自分を壊す」のか?その答えが「演じる」ことです。理想の人物ならどう振る舞うかを想像し、演じてみる。その「演技」を続けることで、行動が、意識が、そして自分が変わっていくのです。あなたは、あなたの人生という物語の脚本家であり、主演俳優なのです。

コーチ

「ありのままの自分で言いましょう。今の自分を大切にしましょうね」みたいな言葉って世の中に溢れてると思うんですよね。しかしそれってやっぱり成長を妨げる呪いじゃないかなっていう風に思うんですよ。
この設定を1度リセットして新しいOSをインストールするかのように自分を再定義する。これが自分をぶっ壊すってことですよね。

4. ダブルス練習から見えた課題と成長

理論を学んだ後は、自分たちのプレーへの落とし込みです。ダブルスの練習動画分析では、特にネット前のバックハンド処理が焦点に。強く打ちたい意識からラケットを大きく引いてしまい、ミスに繋がる場面が見られました。

コーチの解決策は驚くほどシンプルでした。ラケットを大きく引かず、セットした位置からシャトルの後ろにスッと入れて「落とすだけ」。この方が遥かに簡単でミスが少なく、相手のタイミングをずらせて効果的です。リスクを冒してエースを狙うのではなく、再現性の高い技術で確実にポイントを重ねる。ここにも、本質を重視する哲学が貫かれています。

コーチ

これも引かないんですよ。もうラケットを…セットした位置から…シャトルの後方に入れます。落とすだけなんですよ。
ヨッシーの場合で行くと、分かった?90°ぐらいまで引いているんですよ。これ難しいんだってタイミングを合わせるのが。

5. 人生を変える5つの学び

今回の教室から得られた、バドミントンと人生を豊かにする5つの本質的な学びを紹介します。

1. 「自分」は固定されていない

「ありのままの自分」に安住せず、常に自分をアップデートする意識を持つ。現状維持は衰退の始まり。

2. 理想の自分を「演じる」勇気

理想の人物像を演じることは、新しい自分を創造する最もポジティブな行為。演技はやがて真実になる。

3. 目先の価値より、本質的な成長を選ぶ

短期的に有効な戦術も、長期的には成長の足枷になり得る。常に「未来の自分に繋がるか?」と問いかける。

4. コンフォートゾーンの罠に気づく

真の成長は居心地の良い環境の外側にある。心地よいと感じたら、それは自分を壊すサインかもしれない。

5. シンプルな技術こそが再現性を生む

派手さより、シンプルな動作の反復が安定したパフォーマンスの土台となる。「落とすだけ」の勇気を持つ。

6. 「理想の自分」実践チェックリスト

学びを行動に変えてこそ、本当の変化が生まれます。「自分を壊し、演じる」ための第一歩を踏み出しましょう。