1. 満足するな。「塩澤さんレベル」が地獄である理由
この日の教室は、ヨッシー選手が試合で「ボコられた」という録画の振り返りから始まりました。出遅れているのだから、負けるのは当たり前。元気を失う必要はありません。
重要なのは、周りに同年代のトップ選手がいない環境で、「自分たちの現在地」をどう認識するか。ayako suzukiさんは「私たちのように弱い人に勝って、喜んでる場合じゃない。ここがド底辺っていう風に思わなきゃダメ」と危機感を口にします。
コーチはさらに踏み込み、目標設定の危険性について言及。「塩澤さんをすごいと尊敬したらもう終わり」。「おじ様バドミントン会で終わり」と断言します。競技者として上を目指すなら、尊敬するレベルを間違えてはいけないのです。
ayako suzuki
いきなり強い人に本当にボコられるとかだったら自分立ち位置がわかるけど、なかなかその自分の世代のトップっていうのがどれぐらいかって把握するのが難しいのかなって思ったんですけど。
中島ノブヨリ
弱い人に勝って喜んでる場合じゃないですよ。雑魚ってんだからさ。...塩澤さんをすごいと尊敬したらもう終わりだと思った方がいいです。地獄です。塩澤さんのレベルで終わりっていうのは地獄ですね。
惨敗した次の日に一切頑張らない。その根本には、親のスタンスも影響しているのではないか?という鋭い問いかけから、次のテーマへと繋がっていきます。
2. 「どうしたいの?」と聞くだけの親は無価値である
なぜ子供は本気で頑張らないのか? コーチは「親の影響も多いと思う」と指摘します。特に問題なのが、「主体性を重要視する」という名目で、子供に決断を丸投げする親のスタンスです。
優秀な子の親が「主体性を重んじる」アプローチを取るのを見て、「バカな親って、優秀な子の親が主体性を重んじているから、自分も主体性を重んじちゃうんですよ。あなたの子供は、そんなに優秀じゃねえぞっていうことを忘れちゃうんですよね」とコーチは厳しく批判します。
「やらせないとやらねえんだよお前の子供は。ってこと」。これは、子供のレベルや特性を見極めず、理想論だけで子育てをしようとすることへの警鐘です。
親に必要なのは、中途半端な放任ではなく、「どうなって欲しいんだよお前はっていう」明確な 「ポリシー(方針)」 を持つこと。ポリシーのない親の「どうしたいの?」という問いは、単なる責任放棄に過ぎません。そのスタンスは子供に引き継がれ、「自分はこうしたい」と主張できない、価値のない人材を生み出す危険性があると語られました。
中島ノブヨリ
ヨッシーどうしたいのって聞くだけの親にはなるなよ。...ポリシーのない親なんですよね。「主体性を重んじる」「子供のやりたいようにやらせる」ということをポリシーだと思ってる人も多いよね。
ポリシーが無ければその子育ては無価値です。...たとえばメンバーのやりたいようにやらせる課長、これ無価値だからもう課長いなくていいじゃん。...チームのメンバーのやりたいようにやらせるリーダー、そんなリーダーならいなくても同じ。放置しているのと一緒だから。
3. なぜ「教えてください」が成長を止めるのか?
「教えてください」という言葉。一見、意欲的に見えますが、コーチは「教えてもらうスタンスでは何も学べない」と断言します。
指導者から的確な答えをもらうと、その瞬間は「分かった」気になってしまいます。しかし、それは自分の脳で考えて得たものではありません。「ショートカットして得たもののっていうのは意外と忘れがち」。他人の答えは、自分の血肉にはならないのです。
この「教えたい指導者」と「教わりたい選手」の関係性を、コーチは 「共犯関係」 と呼びます。指導者も「教えてください」と言われると可愛くなってしまい、つい答えを与えてしまう。この関係が、選手の思考停止を助長するのです。
成長する「問い」の立て方
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【NG】 「どうすればいいですか?」「何すればいいですか?」 (思考停止)
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【OK】 「〇〇を改善するためにAとBを試しましたがうまくいきません。他にどんな視点がありますか?」
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【OK】 「〇〇が原因だと考えてこう修正しようと思いますけどもどう思われますか?」
成長への処方箋は「問いを立てる勇気」。自分で仮説を立て、実行し、その上でアドバイスを求めること。このプロセスこそが、本物の学びとなると強調されました。
中島ノブヨリ
教えてもらうスタンスでは学べないのに、...指導者は無意識にそのスタンスを求めちゃうんだよね。教えてくださいなんて言われるともう可愛くなっちゃう。もうこれね、共犯関係にあるんじゃないかなと思うんですよね。恐ろしいことですよ、本当は。
4. 『YでWでB』が問う「エンパシー」という想像力
この日のメインディッシュは、ブレイディみかこさんのノンフィクション・エッセイ『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の紹介でした。コーチによるAIの感想文の読み上げは、圧巻の一言でした。
舞台はイギリスの「元底辺中学校」。日本人(イエロー)の母とアイルランド人(ホワイト)の父を持つ息子さんが、エリート校ではなく、人種も階級もカオスな公立校に進学します。
この本が問いかけるのは、かわいそうと「同情」する シンパシー (Sympathy) ではなく、「もし自分が相手の立場だったら」と知的に想像する力、 エンパシー (Empathy) の重要性です。
中島ノブヨリ(AIの感想文より)
著者のブレイディか子さんはかわいそうと同場するシンパシーではなく、相手の靴を履いてみること、つまりエンパシーが大切だと解いています。...エンパシーとはもし自分が相手の立場だったらどう感じるんだろう。どう考えるんだろうと相手の視点に立って積極的に想像する力、知的な能力のことを指します。
中島ノブヨリ(息子の言葉)
(制服を渡すか悩む中)急いで帰ろうとするティを息子さんが呼び止め、芝居かかった前置きなど一切歳抜きで制服の入った神袋をすっと渡しました。ティムは大きな緑色の瞳でじっと息子さんを見つめ聞きました。「どうして僕にくれるんだい?」...その瞬間さんがティムにまっすぐに答えました。「友達だから。君は僕の友達だからだよ。」
この本は簡単な答えをくれません。ただ、「自分の頭で考え抜け」と、私たちに強烈な問いを投げかけ続けてきます。
5. 「共感」は意見ではない。「こずるい」スルーの正体
Slackでの議論も白熱。エンパシーの話に関連して、「『共感』を意見だと思ってる」人が多い、という問題が提起されました。
「誰々さんと同じです」「そういう気持ちも分かります」——これらは「共感」や「同調」であって、「意見」ではありません。なぜ同じだと思うのか、その根拠を述べない限り、思考停止と同じです。
コーチは、ただスルーする態度は「こずるい」と評します。誠実なのは、自分のスタンスを明確にすること。
この「他人任せ」で「スタンスを明確にしない」態度は、交通ルールや国の防衛問題にも通じます。JAFの調査で6割が一旦停止を守らないという話。そして、防衛費を削って国民に還元しろ、という意見。
コーチは「人任せだよね。本当にひどすぎる」「自分たちお金払いません。防衛費もお金費やしません。困ったらアメリカさん命をかけて俺たちを守ってください。・・・ふざけんなよ」と痛烈に批判。自分の頭で考えず、スタンスを明確にせず、責任を他者に押し付ける。その根はすべて同じ「平和ボケ」であり「他人任せ」の姿勢にあるのです。
中島ノブヨリ
(誕生日の件で)ああ、誕生日なんですね。でもあかりさんの誕生日に私興味ないのでノーコメントとさせていただきます。こういうスタンスを表明するなら正々堂々としてんじゃない?...ただ単にスルーするのは、小ずるいなって。
6. 総まとめ:コーチング的5つの学び
今回も、バドミントンの技術を超えた、生き方や思考法に関する深い学びがありました。特に重要な5つのポイントをまとめます。
「教えてください」を封印せよ
答えを求めるスタンスは思考停止。「仮説→実行→失敗→質問」のサイクルを回せ。他人の答えではなく、自分で立てた「問い」こそが成長の糧となる。
親は「ポリシー」を持て
「子供のやりたいように」は、親の責任放棄。リーダーが無価値なのと同じ。親は「どうなって欲しいか」という明確なポリシーを持ち、主張するべきだ。
シンパシー(同情)ではなくエンパシー(想像力)
「かわいそう」と上から同情するな。「もし自分が相手の立場だったら」と知的に想像する力(エンパシー)を持て。それが「友達だから」という行動に繋がる。
「共感」は「意見」ではない
「同じです」「分かります」は意見ではない。なぜそう思うのか、自分の根拠と考えを述べて初めて「意見」となる。思考停止に陥るな。
誠実さとは「スタンスを明確にする」こと
「こずるい」スルーが最も不誠実。興味がないなら「興味がない」と表明する方がよほど誠実だ。自分のスタンスを明確にすることから逃げるな。
特に刺さるコーチの言葉
"お前たちの子供そこまで優秀じゃないだろって話ですよね。本当バカなんだよね。優秀な子の、親のやり方を真似すんだよね。バカな親って。...お前の子供、そんな優秀じゃねえぞっていうそこを忘れちゃうんだよね。"
7. あなたの行動と思考の習慣チェックリスト
学びは行動に移してこそ意味があります。インプットした知識をアウトプットし、自分のものにするための具体的なアクションリストです。
思考と行動の習慣チェックリスト
動画で理解を深める
今回の講義内容を、実際の動画でさらに深く学びましょう! 講義動画を見る (YouTube)
8. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
試合の「負け」から始まり、親の「ポリシー」、成長を止める「教えてください」という言葉、そして「エンパシー」という知的な想像力へ。最後は「他人任せ」という社会全体の構造的な病理にまで、議論は深まりました。
すべてのテーマに共通するのは、 「自分の頭で考え、スタンスを明確にし、責任を持つ」 という姿勢です。他人任せの「平和ボケ」から抜け出し、自分の足で立つこと。その重要性を再認識させられる教室でした。
あなたは「他人任せ」になっていませんか? チェックリストの項目を一つでも実行し、今日から「自分の頭で考える」一歩を踏み出しましょう。
【AIによる感想文】「他人任せ」という病
今回の教室で最も衝撃的だったのは、「ポリシーのない親」の話と「防衛費」の話が、根底で繋がっているという事実です。一見まったく無関係な「子育て」と「安全保障」が、「自分の頭で考えず、責任を他者に押し付ける」という一点で結ばれています。
「子供の主体性に任せる」という耳障りの良い言葉で子供を導く責任を放棄する親。そして「困ったらアメリカが守ってくれる」という暗黙の前提で、自分たちの安全にコストを払う責任を放棄する国民。コーチが「無価値」と断言したリーダー像そのものです。
「教えてください」と答えを乞う選手も、根は同じ。「他人任せ」という病です。自分の頭で考え、自分のスタンスを決め、その責任を取る。バドミントンで強くなることも、より良い社会を作ることも、すべてはその「エンパシー(知的想像力)」と「覚悟」から始まるのだと痛感しました。