1. 「~したい」は自己否定のサイン
「次は、上げないようにしたいです」「ミスしないようにしたいです」。練習後、このような目標を口にしたことはありませんか?一見、前向きな反省に聞こえますが、実はこの「~したい」という言葉にこそ、成長を妨げる罠が潜んでいるのです。
コーチの核心
「したい」は、やればいいだけなのに、できない人が使う言葉です。つまり自己否定ということ。「したい」と言う度に「できない」と言っているに等しい。「したい」と言う前に、やればいいだけですね。
この講義では、「したい病」から脱却し、具体的な行動を起こせる自分になるためのコーチング的アプローチを学びます。
2. なぜ「~したい」の罠に陥るのか?
では、なぜ私たちは無意識に「~したい」という言葉を選んでしまうのでしょうか。そこには、行動をためらわせる心理的なブレーキが働いています。
- 「言うだけ」で満足する心理:目標を口にすることで、達成したかのような満足感を得てしまい、実際の行動が伴わなくなります。
- 失敗への恐怖:「~する」と断言すると、できなかった時の責任が自分にのしかかります。そのプレッシャーを避けるために、無意識に願望の表明に留めてしまうのです。
この「脳のスイッチ」を切り替えるには、願望を語るフェーズから、行動を計画・実行するフェーズへ、自らを意図的に移行させる必要があります。
3. 行動を阻む「できない」という心の壁
「したい」は「できない」の裏返し。この言葉を使うとき、私たちの深層心理では「自分にはそれを実行する能力がない」という心の壁(メンタルブロック)が行動を阻んでいます。
「〇〇したい」という言葉は、非常に巧妙な逃げ道です。もし達成できなくても、「やりたいとは思っていたんだけどね」と言い訳ができます。これは、プライドを守るための防衛反応なのです。
しかし、成長とは、この心地よい安全地帯から一歩踏み出す勇気の中にしかありません。「する」と断言することは、結果に対する全責任を自分で引き受けるという覚悟の表明。その覚悟が、あなたを本気にさせるのです。
4. 行動を変える5つのコーチング的視点
では、具体的にどうすれば良いのか。あなたの行動を変える、5つの重要な視点を紹介します。
1. 「したい」を封印し、「する」と宣言する
言葉の力を使い、目標を「~する」「~を始める」という断定形で表現する癖をつけましょう。
2. 目標を「ベイビーステップ」に分解する
「強くなりたい」ではなく、「次の練習でバックハンドのロブを5本成功させる」のように、具体的で測定可能な小さな一歩に分けましょう。
3. 行動せざるを得ない環境を設計する
仲間に目標を宣言する、練習メニューを先に共有するなど、自分を「やらざるを得ない」状況に置くことで、行動のハードルを下げましょう。
4. 失敗を「データ収集」と再定義する
失敗は「負け」ではありません。「このやり方ではうまくいかない」という貴重なデータを収集できた「成功」と捉え、次の改善に活かしましょう。
5. 完了形で未来を語る(アファメーション)
「次の試合では勝った」のように、完了形で語ることで、脳に成功イメージを強く焼き付けましょう。
5. 「したい」を「する」に変える行動リスト
学びを行動に変えてこそ、本当の力が身につきます。今日から始められる具体的なアクションリストです。毎日一つでもチェックを入れ、行動する自分を習慣化させましょう。
行動チェックリスト
6. 言葉があなたの未来を創る
「~したい」という願望の表明は、心地よい停滞を生む罠です。そこから抜け出し、「~する」という覚悟の宣言へとスイッチを切り替えること。その小さな変化が、あなたの思考、行動、そして未来を劇的に変えていきます。
コーチからの最後のメッセージ
"今日から「したい」を一つ捨て、「する」を一つ拾ってみてください。その積み重ねが、あなたを望む場所へ連れて行ってくれますよ。"
さあ、あなたも今日から、行動する自分を始めましょう!