1. 「自分は何をしたいか」という呪縛
「自分は何をすべきか?」「どこへ打つべきか?」多くのプレイヤーが、自分の行動を起点に戦術を組み立てようとします。自分の意志でプレーを決め、人生を切り拓いてきた経験が、そうさせるのかもしれません。
しかし、こと対人競技、特にバドミントンのような目まぐるしく状況が変化するコートの上では、その「自分本位」の思考が成長の足枷になることがあります。
「自分が何をしたいか」ばかりに囚われると、目の前の相手が見えなくなり、意図のない反射的なプレーに終始してしまうのです。
2. 勝利への羅針盤となる格言
これが、停滞を打破し、次のレベルへと飛躍するための鍵となる考え方です。自分の願望や計画を手放し、相手の意図を読み解くことに全神経を集中させる。その時、初めてコート全体を俯瞰する「目」が手に入ります。
「自分が何をすべきか」より、
「相手が何をしたいか」に視点を置こう
3. なぜ「相手視点」が重要なのか?
理由1:格上には「自分のやりたいこと」が通用しない
最大の理由は、相手のレベルが上がるほど、こちらの思い通りにはプレーさせてくれないからです。自分より巧みで、速く、賢い相手の前では、「ここに打ちたい」というあなたのプランは、相手にとって格好の餌食。相手の術中にはまり、無意味な一手で終わってしまいます。
理由2:「反射」から「予測」へプレーの質が変わる
自分の動きばかり考えていると、相手のアクションに対して後手後手の「反射」でしか対応できません。一方、「相手が何を狙っているか」を考え始めると、次の一手を「予測」できるようになります。
4. 「相手視点」を養う思考トレーニング
では、どうすればこの「相手視点」を養うことができるのでしょうか。日々の練習から意識できる思考法を紹介します。
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「なぜ、そこに打った?」と問う
相手が打ったショットに対し、「今、なぜ相手はそこに打ったのか?」と常に自問自答する癖をつけましょう。相手の狙いを考えることで、プレーの意図が見えてきます。
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相手の得意・不得意を観察する
ラリーの中で、相手がどんな体勢で、どんなコースを好むのかを観察します。「相手が最も打ちたいショット」を打たせないことこそ、最高の戦術です。
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「もし自分が相手なら?」と仮想する
自分がコートの向こう側にいると想像してみてください。「この場面、自分ならどこに打つか?」と考えることで、相手の思考をトレースする訓練になります。
5. まとめ:視点を変え、未来を変えよう
「自分の行動」を追求することは、自己成長の基本です。しかし、対人競技の舞台では、その視点を一度相手に預けてみることが、爆発的な成長の起爆剤となります。
自分のやりたいことを押し通すのではなく、相手のやりたいことを読み、その裏をかく。その瞬間に、あなたは単なるプレイヤーから、ゲームを支配する司令塔へと進化します。