新時代のチームビルディング論

『誠実性』とは、やり抜く力。

ビッグファイブ理論で解き明かす、個性を活かす新時代のチームビルディング

1. なぜ「個性の理解」が必要か?

「ウチのやり方はこうだ」「俺が何十年やってると思ってるんだ」。そんな言葉が飛び交うチームに未来はありません。個々の経験や勘に頼ったマネジメントは、時として成長の壁となり、チームの可能性を狭めてしまいます。

現代のチーム運営に求められるのは、個人の感覚ではなく、誰もが納得できる「客観的な指針」に基づいた対話です。その指針こそが、個性を科学的に理解するフレームワークなのです。

【はっとり社長】

経験上そうだからみたいなフレームがあると、そのフレームに乗っかってその人の個性をバイアスなく判断できうると思ったので…

【渡辺氏(聞き手)】

人の個性を捉える時に何のフレームも自分の中にないと…体系建ててマネジメントはできないなと思ったので。

個々の力を単純な足し算で終わらせず、掛け算によって爆発的な成果を生み出すチームを作る。その第一歩は、客観的なフレームワークを使って、自分と仲間の「個性」を正しく理解することから始まります。

2. 世界標準の性格分析「ビッグファイブ」

では、個性を客観的に捉えるための「指針」とは何でしょうか。それが、世界で最も信頼性が高いと言われる性格分析理論「ビッグファイブ」です。これは、人の性格が主に5つの要素の組み合わせで構成されている、という考え方です。

ビッグファイブの5要素 外交性 調和性

誠実性 神経症傾向 開放性
人の性格を構成する、科学的根拠のある5つの要素。

【はっとり社長】

ビッグファイブがやっぱすごいところが、エビデンスがとにかく多い、論文数がとにかく多いんですよ。…唯一科学ってつけてもいいレベルなんですよ、これが。

この5つのバランスは人それぞれ。どれが良い・悪いではなく、それぞれの特性を理解し、その人に合った役割や環境を考えることが重要です。今回は特に、成果と直結する「誠実性」を深掘りします。

3. 「誠実性」=やり抜く力とは?

「誠実」と聞くと、真面目、正直といったイメージが浮かぶかもしれません。しかしビッグファイブにおける「誠実性」とは、より具体的に「責任感を持ち、物事を継続的にやり抜く力」を指します。いわば、目標達成のための”基礎体力”のようなものです。

誠実性・やり抜く力 決めたことを最後までやり遂げる力
一度決めたゴールに向かい、粘り強く進み続ける力。

海外のデータでは、組織で高い成果を出す人は、この「誠実性」が突出して高いという結果も。多くのタスクが同時進行する現代において、一度決めたことを最後までやり遂げる力は、組織の信頼と成果の土台そのものなのです。

【はっとり社長】

誠実性がチームにいてると、いやこれはもう続けてるからまず続けよう夏までは、と。それでこの数字でダメだったらやめようとか。ていう判断基準を明確なルール化してやるっていう。

この特性は生まれつきではなく、後天的に伸ばすことが可能です。その鍵は「目標設定」「期限」、そして「責任」にあります。

4. 「違う個性」がチームを強くする

自分と似た人といると楽かもしれません。しかし「似てる人間同士で組んだ時に生産性はない」と専門家は断言します。本当の意味で強いチームとは、異なる個性がパズルのように組み合わさり、互いを補完し合うチームです。

個性の掛け算でチームは強くなる =
違う才能が組み合わさる時、チームは足し算を超えた力を発揮する。

アイデアを生む人、計画をやり抜く人、チームを繋ぐ人、リスクを察知する人…。それぞれの強みが組み合わさって初めて、チームは大きな成果を生み出せるのです。

【はっとり社長】

自分と相手が明確に違って、相手が違うんだってことを受け入れると、相手の強みしか見えなくなるんです。

リーダーの役割は、メンバー全員に「私たちは違う。それが価値なのだ」という共通認識を浸透させ、全員が主役になれる環境を整えることです。

5. コーチング的5つの学び

今回の教室から得られた、自己成長とチームビルディングの本質に迫る、5つの重要なポイントを凝縮します。

1. 「誠実性」は後天的に伸ばせる“やり抜く力”

「誠実性」は生まれつきの性格ではなく、鍛えることができるスキル。目標、期限、責任を自ら設定し、やり遂げる経験を積むことで、ビジネスの基礎体力は確実に向上する。

2. 弱みを補う努力が、自分の世界観を広げる

「強みを活かせ」は真実だが、それだけでは成長は頭打ちに。自分の苦手なことに向き合い、補おうと努力することで初めて、見える世界が変わり、人としての器が大きくなる。

3. 最強のチームは「違う個性」の掛け算で作られる

居心地の良い「似た者同士」の集団は、厳しい状況で分裂しやすい。生産性を最大化するのは、互いの違いを認め、強みを補完し合える多様性のあるチームだ。

4. 役割が人を育てる。特に責任は「誠実性」を育む

人は与えられた役割や役職によって成長する。特に、プロジェクトや目標に対する「責任」は、誠実性を高めるための最高のトレーニング環境となる。

5. 全員が主役。多様な才能を評価する仕組みが鍵

目立つアイデアマンだけでなく、チームを支える調整役や堅実な実行者も正当に評価される文化が、持続的に成果を出すチームの土台となる。

6. 実践アクションリスト

学びを行動に変えてこそ、本当の変化が生まれます。以下のチェックリストを使い、今日からできる「小さな一歩」を踏み出してみましょう。

7. 今日の学びを明日の一歩へ

「誠実性」は、チームの成果を支える根幹です。そして、その力は日々の意識と行動によって誰もが伸ばすことができます。重要なのは、自分や他者の個性を客観的なフレームワークで理解し、「違い」を弱さではなく「強さ」として受け入れること。

今日の学びをきっかけに、ぜひ一度、自分たちのチームの「個性のバランス」を見つめ直してみてください。そこには、チームを次のステージへ引き上げるための、大きなヒントが隠されているはずです。

はっとり社長の言葉

"長所だけをずっとやってたら、その人の世界観をずっと変わんないままなんですよ。…(苦手を)補おうという努力をしないと世界観が変わらないんですよ。"