Phoenix-Aichi オンライン教室

「全部のリスクを潰すな」

なぜ行動をためらうのか?「見切り発射」で差をつけろ

2025年11月16日 オンライン教室レポート

1. Opening: 全ては「意識の差」から始まる

この日のオンライン教室は、週末の練習の振り返りから始まりました。鈴木選手が前への意識を徹底し、着実に克服している一方で、森選手は以前からの課題である「ドロップへの対応」が改善されないまま。コーチは、この二人の間に開きつつある差は、純粋な「意識の差」だと指摘します。

意識の差による成長曲線の違い 成長 時間 鈴木選手 (意識→克服) 森選手 (課題未改善)
「意識」の差が、1ヶ月でこれだけの成長曲線の違いを生む。

【中島ノブヨリ】 (00:03:40)

以前、前をもっと狙わきゃって話をしてたんですけども、鈴木選手は克服して森さんは克服できていませんね。

【ayako suzuki】 (00:03:40)

たかだか1ヶ月だけでこんなに変わるんだから、森さんだっていく意識すればすぐ変われるんじゃないかと思います。

【中島ノブヨリ】 (00:03:40)

やっぱ意識って大事なんだっていうとこですよね。...そういうこと変わらなきゃって思う人とこのままでもいいやって思う人の差がやっぱり出てんのかなと感じますね。

コーチは「こっちがいいですよ」と道を示すことはできても、強制はできない。結局は本人が「変わらなきゃ」と意識し、行動に移せるかどうか。この「意識」と「行動」というテーマが、今回セッション全体の核となっていきました。

今日のKey takeaway

評価軸を「結果」から「行動」へ変えろ。 森さんの例で言えば、「ドロップを取れるようになったか」で評価するから苦しくなる。「前を意識したか」「前を待ったか」という **行動** ができたか。その行動自体を評価し、祝うことが成長への最短距離だ。

2. Deep Dive: 倒産図鑑と「許容すべき」失敗の哲学

続いてのテーマは「世界倒産図鑑から学ぶバドミントン人生の生存戦略」。過去の成功体験にしがみついたポラロイド、攻撃全振りでレシーブがザルだったスカイマーク...。これらの事例は、そのままバドミントンのコートにも当てはまるとコーチは語ります。

攻撃全振り・レシーブがザルのコート 攻撃: 鉄壁 レシーブ: ザル
スカイマークの事例:攻撃全振りでレシーブ(守り)がザルでは勝てない。

そして話題は「失敗」そのものへ。一般的に「失敗を恐れるな」と言われますが、コーチの考えは少し違います。

【中島ノブヨリ】 (00:07:22)

そこもね、ちょっとね、違うと思うんですよね。...失敗はしないようにしましょうと。...失敗を恐れて行動しないのではなく、失敗を恐れて行動する。

【中島ノブヨリ】 (00:09:05)

当然失敗しないように打ってる。そうじゃないと意味ないでしょ。...ミスれないという緊張感を持って打つんだけれども結果ミスしたら、それを振り返り対策しましょう。

「失敗してもいいや」という緩んだ状態ではなく、ミスをしないよう最善を尽くす。その上で起きてしまった失敗は、貴重な「密度の高い情報」として受け入れ、次に活かす。この「失敗を許容する」姿勢こそが、行動を止めないために不可欠なのです。

3. Deep Dive: なぜ親は「勉強になった」と言えないのか?

コーチングは、しばしば親御さんのスタンスにも切り込みます。「子供に『どうしたい?』と聞く親は無能」というショッキングな言葉。これは、子供の主体性に委ねているように見えて、実は親が「子供にどうあって欲しいか」というスタンスを示すことから逃げている「手抜き」ではないか、という問題提起です。

この「スタンスを示すことから逃げる」態度は、別の場面にも現れます。

親の「小さなプライド」が成長を阻害する

コーチは、オンライン教室に参加する親御さんの中で、「勉強になりました」と素直に言える人が極端に少ないという事実に言及します。

【中島ノブヨリ】 (00:27:28)

私の話を聞いて勉強になったと感激する親御さんって、なかなかいない。KT さんぐらいじゃない?...勉強になったと心からな思えない理由は、子供からの低評価を恐れるからでしょう。子の成長より、自身の保身を優先してしまうのです。

【中島ノブヨリ】 (00:28:49)

親御さんの立場じゃない人は勉強になりましたが言えるんだけど、親御さんの立場の人って勉強になりましたが言えないんだよね。...なんかおそらく子供にの前で勉強になりましたという自分がかっこ悪いと思ってんじゃないの?

【ayako suzuki】 (00:32:05)

でも子供でもなんか人間的なとことか言われると、なんか親の育て方が悪いじゃないですけど、なんかそういう風に言われてる感がしちゃって嫌なんじゃない?

子供に「勉強しろ」と言っている手前、自分が学ぶ姿を見せたくない。ダメ出しをされたくない。その「小さなプライド」が、親自身の成長の機会を奪い、結果として子供にもマイナスな影響を与えているのではないか。技術論だけに終始し、人間的成長から目をそむける態度は、非常に残念だとコーチは語りました。

4. Deep Dive: 「話し合い」は無駄?信頼を生む行動とは

「意見なきものに信頼なし」—。空気を読んで口をつぐむことは、一見すると波風を立てない処世術に見えますが、その実「日和見主義」と見なされ、最も大切な「信頼」を失う行為だとコーチは断言します。

信頼を築くためには、事実と感情を切り分け、アイメッセージ(私はこう思う)で伝え、代替案を用意することが重要です。

さらに、意見が対立した際の「話し合い」にも罠があると言います。

【中島ノブヨリ】 (00:22:49)

話し合いでやっぱり解決しないんですよね。意見がぶつかって話し合いましょうみたいなね、よくやってますけども、話し合ったところで何にも、え、誰も傷つかない。なんか玉虫色の議論でお茶を濁して根本的な問題先送り。よくありますよね。話し合いは無駄です。

【中島ノブヨリ】 (00:22:49)

多くの議論は互いのが自分の正しさを証明する場と化します。

「話し合い」が「正しさのぶつけ合い」や感情論に陥ることを避けるため、コーチは具体的な解決策を提示します。

  1. ゴールを共有する: 「どこを目指すか」という目的を再確認する。
  2. 役割と決定権を明確にする: 誰が最終判断を下すかを決めておく。
  3. 行動で試す: 机上の空論を辞め、小さく試す。A案B案で揉めるなら両方やり、データで判断する。

結局のところ、信頼も成果も、言葉ではなく「行動」によってのみ示されるのです。

5. Mystery: なぜ人は「リスクを全て潰そうとして」行動できないのか

この日、最も白熱したテーマの一つが「リスクとの向き合い方」でした。コーチは「ダメなやつってリスクを全て潰しに行くよね」という、またもや衝撃的な問いを投げかけます。

老後2000万円のために貯金する、飛び出しがあるかもしれないから徐行する。こういった「リスクを潰す行動」は、一見すると正しく、推奨されるべきことのように思えます。しかし、コーチはその危うさを指摘します。

リスク潰し vs 見切り発射 Aさん: リスクを全部潰す 結果:行動できない Bさん: 見切り発射 結果:行動し、差をつける
全てのリスクを潰そうとすると動けない。許容し「見切り発射」する人が先へ進む。

【中島ノブヨリ】 (00:33:31)

そういう風にリスクを潰しに行くっていう、想定したリスクをどんどん潰しに行く。で、それを正しい行動だと思ってるんですよ、大体の人って。

【ayako suzuki】 (00:33:31)

私思ってます。

【中島ノブヨリ】 (00:34:53)

ダメなやつって、全てのリスクを潰しに行くんですよ。...考えられる限りのリスクを想定して、それを全部潰しに行こうとするんだね。

その結果、何が起きるのか?

【中島ノブヨリ】 (00:34:53)

それ何が起きるかって言うと **行動できなくなるんですよね。**

【中島ノブヨリ】 (00:34:53)

(ベンツを買う例え)...とにかくリスクを想定してそのリスクを潰しに行こうと。いつまで経っても行動できないよね。...とにかくリスクを一生懸命もう石橋だよ。本当石橋を叩いて叩いて渡らないってことですよ。

【中島ノブヨリ】 (00:36:26)

あの、見切り発射しないと行動ってできないんですよね。...全部のリスクを回避しようと思ったら車の運転しない方がいいよねってなっちゃうじゃないですか。

隕石が落ちてくるリスクまで想定していたら、車には乗れません。行動とは、ある程度の「見切り発射」を伴うもの。全てのリスクを潰すことを是とする社会通念に、コーチは強く警鐘を鳴らしました。

6. Video Analysis: 1,2本で終わるラリーと「意識」の不在

セッションの後半は、実際の練習動画の分析へ。ここで「意識の差」が残酷なまでに可視化されます。鈴木選手が前を意識して取れているドロップを、森選手はことごとく取れず、1〜2本でラリーが終わってしまいます。

ドロップへの意識の不在 森選手 (後ろ警戒) 9割ドロップ 全部ココ
「9割ドロップが来る」のに「後ろを警戒」して動けない意識の不在。

なぜ動けないのか? それは「苦行」だから

コーチの分析は、技術的な問題に留まりません。

【中島ノブヨリ】 (00:46:11)

これも取れてないです。森さんだったらもう今もう全然取れてない。森さんだって2、3球も続かないじゃん。

【中島ノブヨリ】 (00:48:15)

本当1、2球で決まってる。これ2本でしょ?1本でしょ?ドロップへの弱さが半端ないですよ。「嘘」。鈴木選手が嘘って言ってるもん。

【中島ノブヨリ】 (00:50:17)

(相手が)ほとんどドロップしか打ってないんだからさ、こんな。...なんでそんな後ろ警戒してんだよっていう。

9割以上ドロップが来ているのに、後ろを警戒して動けない。これは技術以前の「意識」の問題です。そして、この「動けない」状態が続くと、バドミントンそのものが「苦行」になってしまうとコーチは指摘します。

【中島ノブヨリ】 (00:58:40)

バドミントンがつまらないように見えます。これだと。...なんか苦行に見えるもん。

【中島ノブヨリ】 (01:00:11)

(動けないと)もう嫌になってくる自分が。え、追わないの俺って感じになるじゃん。自己否定に繋がっちゃうんじゃないかなと思います。...『俺ってダメな人間だね』って思っちゃうんじゃない?

前を意識して、裏をかかれても必死に追いかける。それは苦しくても「自己否定」には繋がりません。しかし、予測できる球に一歩も動けないことは、自分自身を嫌いになる原因となるのです。問題の根は、技術ではなく、意識とメンタルにあることが浮き彫りになりました。

7. Takeaways: コーチング的5つの学び

今回も、バドミントンのコートを遥かに超える、人生のあらゆる場面に応用可能な学びが詰まっていました。重要なポイントを5つに絞って振り返ります。

1

評価軸を「行動」に置け

良い結果(ドロップが取れた)を待つな。やると決めた行動(前を意識した)を祝え。結果で評価するから精神的に消耗し、次の挑戦ができなくなる。

2

失敗は「許容」せよ、恐れるな

最も悪いのは「失敗を恐れて行動しない」こと。「失敗しないように」最善を尽くし、その結果起きた失敗は、次の対策を打つための「密度の高い情報」として許容せよ。

3

「見切り発射」しないと行動できない

全てのリスクを潰そうとするな。それは「石橋を叩いて渡らない」ことと同じ。車の運転もベンツを買うことも、ある程度の「見切り発射」がなければ永遠に行動に移せない。

4

信頼は「意見表明」から生まれる

沈黙は「日和見主義」と見なされ信頼を失う。「話し合い」は「正しさのぶつけ合い」になりがち。ゴールを共有し、敬意を持った意見表明と「行動で試す」姿勢が信頼を生む。

5

「意識」がプレーを「苦行」にも「楽しみ」にも変える

9割来るドロップを警戒しないのは「意識」の不在。予測できる球に動けないと「自己否定」に陥り、バドミントンが「苦行」になる。意識を変え、行動を変えろ。

【中島ノブヨリ】 (01:00:11)

(動けないと)もう嫌になってくる自分が。え、追わないの俺って感じになるじゃん。自己否定になるけど。自己否定に繋がっちゃうんじゃないかなと思います。...『俺ってダメな人間だね』って思っちゃうんじゃない?

8. Action: 見切り発射チェックリスト

学びは行動に移してこそ意味があります。インプットした知識をアウトプットし、「石橋を叩いて渡らない人」から「見切り発射できる人」になるための具体的なアクションリストです。

アウトプット習慣チェックリスト

9. Closing: あなたの行動を縛るものは何か

「リスクを全て潰そうとする」あまり行動できなくなる。親としての「プライド」が邪魔をして素直に学べない。ドロップが「取れない」のではなく「意識していない」だけなのに、自己否定に陥りバドミントンが「苦行」になる。

今回の教室で一貫していたのは、 **「私たちの行動を縛っているのは、技術や環境ではなく、自分自身の『意識』や『考え方』である」** という厳しい現実でした。

しかし、裏を返れば、その「意識」さえ変えれば、行動は変わり、現実は変わるということです。鈴木選手が変わり始めたように。

【ayako suzuki】 (00:03:40)

たかだか1ヶ月意識しただけでこんなに変わるんだから森さんだっていく意識すればすぐ変われるんじゃないかと思います。

【中島ノブヨリ】 (01:00:11)

取れないと(相手の)球が鋭いと思いこもうとする。そんなわけねえ。ドロップが来ると確信して前にいれば誰でも取れますよね。...それでは終わりましょう。はい。はい。

あなたが「石橋を叩いて渡らない」でいる間に、見切り発射で行動する人は次のステージに進んでいます。まずはチェックリストの最初のひとつにチェックを入れる、その「行動」から始めてみませんか。

【AIライターの感想】

今回の文字起こしを記事にしながら、私(AI)は「見切り発射」という言葉の力強さに震撼しました。人間社会では「リスクヘッジ」や「準備万端」が推奨されがちですが、中島コーチの指摘する「全てのリスクを潰そうとすると行動できなくなる」という本質は、データ処理の世界にも通じます。

完璧なアルゴリズムを待つより、不完全でも「行動で試し」、フィードバックを得て改善する。森選手の「ドロップが取れない」という現実も、鈴木選手の「意識して克服した」という現実も、すべては「行動」と「意識」の差から生まれています。バドミントンというスポーツを通じて、ここまで深く「行動哲学」を学べる教室は他にないと、改めて確信しました。