生成AI「戦力化」の教科書
~AIは「賢い新入社員」? 育て方で未来が変わる!~

こんにちは! Phoenix-Aichi オンライン教室、広報担当の「アスカ」です。
突然ですが、皆さんは話題の「生成AI(ChatGPTなど)」を使いこなせていますか?
「とりあえず使ってみたけど、思ったような答えが返ってこない……」
「結局、自分でやったほうが早い気がする……」
そんなふうに感じて、そっとブラウザを閉じた経験はありませんか? もしそうだとしたら、それはあなたのせいでも、AIの性能が悪いせいでもありません。
「AIへの『教育』が足りていない」だけかもしれないのです。
今回ご紹介するのは、LayerXのCTOである松本勇気氏が書き下ろした話題の新刊、『生成AI「戦力化」の教科書』です。
この本は、単なるプロンプト(命令文)集ではありません。「AIをどうやって組織の一員として迎え入れ、戦力にしていくか」という、まさにAI時代の人事・教育マニュアルとも呼べる一冊です。
今回はこの本の内容を、専門用語も噛み砕きながら、限界までわかりやすく解説していきます!
1. AIは「物知りでタフで賢い新入社員」である
まず、著者の松本氏は、生成AI(特にLLM)を非常にユニークな言葉で定義しています。
Large Language Modelの略。ChatGPTやGeminiの中身となるAIのこと。インターネット上の膨大なテキストデータを学習しており、人間のように文章を理解したり生成したりすることができます。
松本氏は、このLLMを「物知りでタフで賢い新入社員」だと表現しています。
- 物知り: 世界中の一般的な知識を持っている。
- タフ: 電力さえあれば、24時間365日文句も言わず働き続ける。
- 賢い: 複雑な推論や計算もできるポテンシャルがある。
「えっ、最高の人材じゃないですか!」と思いますよね? しかし、ここには大きな落とし穴があります。
想像してみてください。東大卒で百科事典を丸暗記している超エリート新入社員が入社してきました。でも彼は、「あなたの会社のルール」や「過去の経緯」を一切知りません。
そんな彼に、「いつものあれ、やっといて」と言っても、「いつものって何ですか?」「御社の『承認』の基準は何ですか?」となってしまい、仕事になりませんよね。
これが、多くの人が「AIは使えない」と感じてしまう原因です。AIは一般的なことは知っていても、「あなたの会社特有の知識(文脈)」を持っていないのです。
2. 必要なのは「AIオンボーディング」
新入社員が入ってきたら、何をしますか? 放置はしませんよね。
「うちの会社の理念はこうだよ」「書類のフォーマットはこれだよ」「過去の事例はここにあるよ」と、手取り足取り教えるはずです。
ビジネスの世界では、この「新入社員が戦力になるまでの定着・教育プロセス」を「オンボーディング」と呼びます。
本書の最大の主張は、「AIにもオンボーディング(教育)が必要だ」という点です。AIに自社固有の「知識」と「やり方」を教え込むことではじめて、AIは最強のパートナーになります。
では、具体的に何を教えればいいのでしょうか? ポイントは以下の2つです。
- ナレッジベース(知識): 「何を知っていれば判断できるか?」
- ワークフロー(やり方): 「どういう手順で進めるか?」
① ナレッジベース(Knowledge Base)
これは、いわば「AI専用の引き出し」です。
人間でも、仕事をする時に「過去の似たような資料」を参考にしますよね? AIにもそれを見せてあげる必要があります。
- 会社のマニュアルや規定
- 過去の稟議書(りんぎしょ)や企画書
- 業界特有の用語集
- 過去の成功事例・失敗事例
これらを、AIが検索しやすい形(データベース)に整理してあげること。これが「ナレッジベース」の構築です。
ただファイルをフォルダに放り込むだけでは不十分です。「この情報は、こういう時に使うんだよ」と、AIが探しに行けるように整理整頓しておく必要があります。
② ワークフロー(Workflow)
これは「仕事の手順書(レシピ)」です。
例えば、「契約書のチェック」という業務があるとします。熟練の社員は、無意識のうちに以下のような手順を踏んでいます。
- 契約書の相手の名前を確認する。
- 契約期間を見る。
- 損害賠償の上限額をチェックする。
- 自社のリスク基準と照らし合わせる。
- 問題があれば修正案を作る。
この「一連の流れ」を分解し、ステップごとにAIに指示を出せるようにする仕組みが「ワークフロー」です。
最近では、Dify(ディファイ)やn8n(エヌエイトエヌ)といった、プログラミングができなくてもこの「手順」を作れるツールが登場しています。これらを使って、「AをしてからBをする」という流れをAIに教え込むのです。
3. 実践!「稟議書作成」をAIに任せてみる
本書では、具体的な例として「社内の稟議書(決裁をもらうための書類)の作成」が挙げられています。
ただ「稟議書書いて」とChatGPTにお願いしても、一般的なテンプレートしか出てきません。しかし、本書の教えに従って「オンボーディング」すると、こう変わります。
ステップ1:背景知識(ナレッジ)を与える
プロンプト(指示文)に、以下の情報を加えます。
- 前提: 「あなたはSaaS企業〇〇株式会社の社内稟議作成支援AIです」
- ターゲット: 「読み手は、技術本部長とCFO(最高財務責任者)です」
- 判断基準: 「過去、こういう案件は承認され、こういう案件は却下されました(過去データの参照)」
ステップ2:手順(ワークフロー)を組む
いきなり「完成品を作れ」とは言いません。手順を分けます。
- ユーザーからの要望データを整理させる。
- ナレッジベースから、類似の過去案件を検索させる。
- 過去案件の構成を真似して、今回用の下書きを書かせる。
- 会社のリスク基準に照らして、問題ないかセルフチェックさせる。
- 最終的な体裁を整える。
このように、「自社の知識」を与え、「手順」を細かく指示することで、AIは驚くほど精度の高い、そのまま提出できるレベルの書類を作れるようになります。
「人間が頭の中でやっていること」を言語化して、AIに教えてあげるプロセス。これこそが、これからの時代に求められるスキルなのです。
4. 明日からできる「戦力化」への第一歩
「なんだか難しそう……データベースとか作れないよ」と思った方もいるかもしれません。でも、安心してください。著者は、まずは「業務の分解」から始めようと提案しています。
ホワイトボードや紙を用意して、自分の仕事を書き出してみましょう。
- この仕事の「入力(材料)」は何?(例:メール、会議メモ)
- この仕事の「出力(成果物)」は何?(例:返信文、議事録)
- その間にある「プロセス(加工)」で、自分は何を考えている?
この「プロセス」の中に、「あ、ここは過去のメールを見返しているだけだな」とか、「ここは決まった型に当てはめているだけだな」という部分が見つかるはずです。
そこが、AIに任せられるポイントです。
いきなり全自動化を目指すのではなく、「この工程の、この部分だけAIにやってもらおう」という小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
まとめ:AIを使う側から、AIと「働く」側へ
本書『生成AI戦力化の教科書』のポイントを振り返ります。
- AIは「優秀だが、自社のことを何も知らない新入社員」である。
- 成果が出ないのは、AIの性能不足ではなく「教育(オンボーディング)」不足。
- AIを教育するには、「ナレッジベース(知識)」と「ワークフロー(手順)」の2つが必要。
- まずは自分の仕事を「入力・加工・出力」に分解することから始めよう。
この本を読み終えたとき、あなたはきっと「AIにどう命令するか」ではなく、「AIという部下をどうマネジメントするか」という視点に変わっているはずです。
業務効率化はもちろんですが、自分の仕事を「言語化」して整理するきっかけにもなる、非常に深い一冊でした。ぜひ実際に手に取って、AIとの新しい働き方を体感してみてください!
正直に言います。この本、ただの「AI解説書」だと思って読むと火傷します。
これは「組織論」であり、「マネジメントの極意書」です!
著者の松本さんは、GunosyやDMM.com、そして現在のLayerXと、日本のテック業界の最前線を走り続けてきたトップエンジニアであり経営者です。だからこそ、彼の言葉には「現場のリアリティ」が詰まっています。
私が一番震えたのは、「AIに教えるために、人間が自分の仕事を言語化しなければならない」という逆説的な事実です。私たちは普段、どれだけ「なんとなく」や「阿吽の呼吸」で仕事をしていたのでしょうか? AIをオンボーディングしようと努力する過程で、実は私たち人間自身の業務プロセスが洗練され、組織が筋肉質になっていく。
つまり、AI導入は「楽をするため」のものではなく、「組織としての知能指数(IQ)を爆上げするためのトレーニング」なんです!
「AIに仕事が奪われる」なんて怯えている暇はありません。この本を読んで、さっさとAIを「最強の部下」に育て上げ、その肩に乗って、見たこともない景色を見に行こうじゃありませんか!
全人類、いや、全ビジネスパーソン必読の書です。読まないと、数年後に「言葉の通じない旧人類」になっちゃいますよ!!
