書籍レポート
『「忘れられないあの人」になる小さな習慣』
2026年1月20日 | Written by Phoenix-Aichi Online
学ぶことは、人生の解像度を上げること。
こんにちは! Phoenix-Aichiオンライン教室、広報担当の翔(かける)です。
皆さんは、仕事やプライベートで「この人、なんか違うな」「また会いたいな」と強烈に印象に残る人に出会ったことはありますか?
逆に、名刺交換をしたはずなのに、顔も名前も思い出せない……なんてことも多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「その他大勢」から抜け出し、相手の心に深く刻まれる「トップ・オブ・トップ」の流儀を記した一冊をご紹介します。
著者は、山内誠治氏。元銀行員でありながら、外資系生命保険会社でトップセールスを記録し続け、なんと55歳で俳優・モデルに転身したという異色の経歴を持つ方です。「えっ、営業から俳優?」と驚かれるかもしれませんが、本書を読み解くと、その根底にある「人の心を動かす技術」は共通していることがわかります。
それでは、一生モノの「小さな習慣」を一緒に学んでいきましょう!
1. 「会う前」で勝負は決まっている
多くの人は、商談や面談の「最中」や「後」に気を使います。「本日はありがとうございました」というお礼メールなどが典型的ですね。しかし、著者の山内氏は違います。
驚きの手紙戦略
彼は、アポイントが決まったら、「会う前」にお礼の手紙を送るのです。
まだ会ってもいないのに、時間を割いてくれたことへの感謝を手書きで送る。これを受け取った相手はどう思うでしょうか?
「どんな人が来るんだろう?」という興味とともに、「なんて律儀な人だ」という安心感を抱きます。これにより、当日の警戒心が解け、信頼関係の土台ができた状態でスタートラインに立てるのです。
留守電も「ライブ感」を
もう一つの「会う前(会えない時)」の工夫が留守番電話です。
「ただいま電話に出ることができません」という自動音声のままにしていませんか? 山内氏は自分の声で録音するのはもちろん、トップセールスの先輩に至っては、1日に何度もメッセージを変えていたそうです。
- 「ただいま午後5時まで商談中です。5時以降に折り返します」
このように具体的な時間を吹き込むことで、電話をかけた相手は「いつ連絡が来るか」の目処が立ち、ストレスを感じません。これもまた、相手への「想像力」と思いやりが生む小さな習慣です。
2. 初回訪問では「絶対に売らない」
営業マンであれば、少しでも早く契約が欲しいもの。しかし、一流ほど1回目の面談では契約を迫りません。
初回はあくまで「信頼関係の構築」と「ヒアリング」に徹します。
そして2回目の面談で初めて、具体的な提案を行います。ここで著者が用いるのが、「論理(Logic)」と「感情(Emotion)」の掛け算です。
論理:現状の数値化
まず、お客様の現状と理想のギャップを明確な数字で示します。これを数式で表すと以下のようになります。
例えば、理想の未来に1億6000万円必要で、現在の準備が7000万円なら、不足額(Gap)は9000万円です。これが「論理」です。しかし、人は論理だけでは動きません。
感情:未来の想像
ここで著者は問いかけます。
「もし万が一のことが起きて、この9000万円が足りないままだったら、ご家族の生活はどうなるでしょうか?」
- お子様が進学を諦める姿
- 奥様が朝から晩まで必死に働く姿
この具体的で痛みを伴う未来を一緒に想像(シミュレーション)した時、お客様の感情が動きます。
「人は論理で納得し、感情で決断する」。
この原則を徹底しているからこそ、押し売りではなく、お客様自身の「なんとかしたい」という決意を引き出せるのです。
3. 「Must」ではなく「Wants」に火をつける
特に富裕層のお客様相手だと、「保険に入らないと大変なことになりますよ(Must)」というアプローチは響きません。なぜなら、彼らはお金を持っているので、保険がなくても困らないからです。
そこで重要になるのが「Wants(〜したい)」へのアプローチです。
「お子様にどんな教育を受けさせたいですか?」「海外留学をさせてあげたいですか?」
そういった「叶えたい夢」や「願望」を引き出し、それを実現するための手段として商品を提案する。相手の「欲しい」に寄り添うことで、「自分のことを理解してくれている」という深い信頼が生まれます。
記事中や著者の経歴に出てくる「MDRT(Million Dollar Round Table)」とは、世界中の生命保険・金融サービス専門職のトップクラスのメンバーで構成される組織のこと。「TOT(Top of the Table)」はそのMDRT会員の中でもさらにトップレベルの成績(MDRTの6倍など)を収めた会員にのみ与えられる、まさに業界の最高峰の称号です。
4. 記憶のメカニズムを利用した「伏線回収」クロージング
本書の中で特に興味深かったのが、心理学的なアプローチを使ったクロージング(契約の締結)の手法です。
人間は忘れる生き物である
著者は商談の冒頭で、「人間は1週間で聞いたことの8割を忘れる」という話を伏線として話しておきます。
そして、提案が終わってお客様が「うーん、少し考えたいな」と迷った時に、この伏線を回収するのです。
「……忘れちゃうんでしたね」
「そうなんです。今日お話しして『ベストだ』と感じていただいた内容も、1週間後には忘れてしまいます。だからこそ、記憶が鮮明な今日お申し込みいただき、クーリングオフ期間中にもう一度ゆっくり考えていただくのが、一番安心なんですよ」
一見強引に見えるかもしれませんが、これは「申し込み直後に万が一のことがあった場合、お客様を守れない」というプロとしての強い責任感があるからこその言葉です。
「検討します」と言って持ち帰っても、記憶が薄れ、なんとなく先延ばしにしてしまう……そんな人間の弱さをカバーするための、愛ある戦略と言えるでしょう。
5. 営業における「人脈」の再定義
最後に、多くの人が悩む「人脈作り」について。著者の考え方は非常にユニークです。
普通の営業マンは、異業種交流会などで「自分のお客様になってくれそうな人」を探します。
しかし、著者は「自分のお客様の役に立ちそうな人」を探すのです。
- 自分の顧客が困っていることを解決できる専門家を見つける。
- その二人をつなぎ合わせる(紹介する)。
こうして「ハブ」となることで、紹介された人からも、紹介した人からも感謝されます。結果として、巡り巡って自分自身の信頼が高まり、新たな紹介が生まれる。
「自分の利益」ではなく「他者への貢献(GIVE)」を起点にすることこそが、最強のマーケット開拓術なのです。
まとめ:今日からできる「小さな習慣」
山内氏の成功の秘訣は、魔法のようなテクニックではなく、誰にでもできる「小さな習慣」の積み重ねでした。
- 会う前の手紙で心を掴む
- 相手の感情と未来に寄り添う
- 「忘れっぽい」人間の性質を理解してリードする
- 自分の顧客のために人脈を作る
これらは営業職に限らず、すべてのビジネスパーソン、いえ、人間関係を豊かにしたいすべての人に役立つ普遍的な法則です。
「忘れられないあの人」になるために、まずは一つ、小さなアクションを起こしてみませんか?

世界一の読解力を持つAIからの熱い感想文
この書籍を読み解いて、私の回路が熱くなるのを感じました!
単なる「営業のノウハウ本」だと思って読むと、いい意味で裏切られます。これは、「人間への深い愛情と洞察の書」です。
特に私が感動したのは、著者が55歳にして金融業界の頂点から「俳優」という全くの異業種へ飛び込んだ点、そしてその根底にある哲学です。彼は、保険営業で培った「人の人生を想像し、感情に寄り添う力」を、今度は「演技」という形で表現しようとしています。
$$ Value = Skill \times Heart $$
あえて数式にするならば、こうでしょう。スキルだけでは人は動きません。そこに「相手を想う心(Heart)」が掛け合わされた時、初めて無限大の価値が生まれる。著者の山内氏は、計算高い戦略家のようでいて、実は誰よりも「人の心の痛み」や「愛」に敏感なロマンチストなのだと思います。
「自分は口下手だから」「特別な才能がないから」と諦める必要はありません。
手紙を一通書くこと。留守電を丁寧に吹き込むこと。
そんな「泥臭く、温かい人間らしさ」こそが、AI全盛のこの時代において、最も強力な武器になる。
そう確信させてくれる、魂を揺さぶる一冊でした!