Phoenix-Aichiオンライン教室
2025年6月14日オンライン教室:なぜ本音で話しても分かり合えないのか?成長を掴む『演じる力』と『第2領域』の重要性
DATE: 2025年6月14日
はじめに:結果が出ないなら「演じる」ことから始めよう
2025年6月14日のオンライン教室では、まず前回の振り返りからスタートしました。テーマは「貢献こそが幸せの鍵」というアドラー心理学の視点と、結果が出ない時にこそ有効な「演じる力」の重要性です。
多くの人は、目先の点数を取ることや短期的な勝利に囚われがちです。しかし、フェニックスが伝えたいのは「どうすれば自分が幸せになれるか」という、より本質的な問いです。その答えの一つが、他者評価に依存せず、不完全な自分を受け入れ(自己受容)、その上で他者に貢献しているという感覚(貢献感)を持つことです。
【コーチ】 (04:48)
結果が出ない自分に降伏し、演じる力で限界突破しましょうって話をしてます。…尊敬する人が仮にいるのであればそれを完全コピーしましょうということですね。いいとこ取りするんじゃなくてもう服装、口癖、考え方全てを真似に行く。真似しに行くと思考のOSが変わるんですよね。
【コーチ】 (05:52)
この人のいいところを取ろうみたいなね。そういうことをやろうとする人は、まあ1年経ってもなかなか覚えないということになります。…いいとこ取りなんかできないんだよっていうのを理解しないとなかなか話は進まないんじゃないかなと思います。
「いいとこ取り」では思考のOSは変わりません。尊敬する人を丸ごとコピーするくらいの気概で「演じる」ことで、初めて自分の限界を突破するきっかけが掴めます。この記事では、この「演じる力」にも通じる、対人競技の深い洞察と、真の成長を生むための時間術について掘り下げていきます。
学びの鍵 – Key Insight
真の成長は、小手先の「いいとこ取り」からではなく、思考のOS自体を書き換える「完全コピー(=演じる力)」から始まる。これは技術だけでなく、対立の捉え方や時間の使い方といった、全ての土台となる考え方である。
1. なぜ私たちは分かり合えない?対立の壁を壊す第三者の視点
「本音で語り合おう」という幻想
「ちゃんと話し合えば分かり合えるはずだ」—多くの人がそう信じています。しかし、現実はどうでしょうか。特に人間関係がこじれた時、当事者同士が膝を突き合わせて話せば話すほど、溝が深まってしまう経験はないでしょうか。
コーチは「本音で語り合うのは良くないと思っている」と断言します。その理由は、多くの人が口にする「本音」が、実はその場の感情や浅いレベルの思考に過ぎず、人生観まで深く掘り下げた本質的なものではないからです。
【コーチ】 (10:26)
結構、忌憚のない意見をかわし合うってすごいいいことと思ってる人いるんですよね。本音で語り合おうとかさ、俺、本音で語り合うの良くないと思ってるんですけど。というか本音っていうことを誤解してるんだよね。
【コーチ】 (11:31)
その場の感覚でさ、うん、これやりたくないっすよ。めんどくさいっすもんみたいな言うじゃないですか。それをバカだから周りの人って本音と思うんですよね。それ何にも本音じゃないから。表層の浅い考えなのにそれを本音だと思ってるんですよ。
ホリエモン vs ひろゆき:価値観が違えば話は平行線
この「分かり合えなさ」の正体は、根本的な価値観の違いにあります。コーチは、ホリエモン(堀江貴文氏)とひろゆき(西村博之氏)の例を挙げます。情熱と行動力を重視するホリエモンと、合理性と効率性を重視するひろゆき。彼らの議論が平行線で終わるのは、議論の土台となる「何に価値を置くか」が全く異なるためです。「理解はできても、合意はできない」のです。
これはバドミントンのチーム運営や国体の選手選考でも同様です。ダブルスで優勝したペアを選出するのか、シングルスを2枠確保するために戦略的に準優勝者を選ぶのか。どちらにも「正義」があり、感情論に発展しがちです。これは、どちらかを選べば誰かが犠牲になる「トロッコ問題」と同じ構造であり、当事者同士の話し合いだけでは解決が困難です。
解決の鍵は「第三者」の介在
では、どうすればいいのか。コーチは、深刻な対立が好転するケースでは、ほぼ必ず「第三者」が介在していると指摘します。スティーブ・ジョブズとウォズニアックの対立を解決に導いたのも第三者の存在でした。
冷静な第三者がクッションとなり、感情的になった両者が見えなかった解決策を提示する。当事者だけでガンガンやり合うのは、火に油を注ぐだけ。対立を乗り越えるには、信頼できる第三者の目と耳と口が不可欠なのです。
【コーチ】 (20:10)
(対立が好転するケースでは)当事者同士の忌憚のない意見の交換じゃなくて、第三者が必ずいるということですね。…第三者が冷静な視点を提供したり、感情的になってる両者の間に入ってクッションになったりすることで当事者だけでは見えなかった解決策が見えてきます。
2. 成長は「緊急タスク」からは生まれない〜時間管理の罠と第2領域の真価〜
第1領域ばかりやっていては成長しない
「毎日忙しくしているのに、なぜか成長実感がない」と感じることはありませんか。その原因は、スティーブン・コヴィー博士が提唱する「時間管理のマトリクス」における罠にあります。
多くの人は「緊急かつ重要」(第1領域)なタスクを最優先でこなすことが成長に繋がると考えがちです。しかし、コーチはここに大きな盲点があると指摘します。
【コーチ】 (22:22)
第1領域ばかりに取り組んでも真の成長は得られません。もうここね、結構誤解してんだよね。緊急度高くて重要度が高いことをやると成長するって思ってる人がやっぱり非常に多いんじゃないかな。
緊急事態では、脳はストレス状態(扁桃体が活性化)になり、私たちは「反応的」になります。「なぜ?」と根本を問う余裕がなくなり、既存の価値観や手法で場当たり的な対応をするしかありません。これでは、価値観の変化を伴う本質的な「成長」は望めないのです。
成長の種は「第2領域」にある
では、真の成長はどこから生まれるのか。それは「緊急ではないが重要」(第2領域)な活動にあります。
- 内省する時間がある:「なぜこうなったのか」をじっくり考えられる。
- 価値観を見直す余裕がある:既存の枠組みを疑い、新しい視点を取り入れられる。
- 実験的な取り組みができる:失敗を恐れず、新しいアプローチを試せる。
第2領域の活動(練習の振り返り、自分のプレー原則の言語化、新しい技術の学習など)は、短期的には成果が見えにくいため、つい後回しにされがちです。しかし、長期的に見れば、これこそが最も大きなリターンをもたらす投資なのです。
【コーチ】 (28:18)
真の成長は余裕から生まれます。…最後に1つ質問です。あなたは今日、第2証言(領域)のために何分時間を使いましたか?もし答えが0分なら、忙しいのに成長しない理由かもしれません。明日からほんの15分でも構いません。第2証言の活動に時間を投資してみてください。
3. 試合映像分析:対人競技のセンスとは「相手を感じる力」である
教室の後半は、実際の練習動画を見ながらのプレー分析が行われました。ここで語られたのは、ラケットワークの技術といった表面的な話ではなく、「対人競技」の本質に迫る深い洞察でした。
「下駄を預ける」プレーと「空いている」場所への罠
コーチが指摘した重要な概念の一つが「下駄を預ける」プレーです。これは、あえて相手に判断を委ねるような、ふわりとした遅い球を送ることで、相手の思考を迷わせ、ミスを誘う高等戦術です。
また、多くのプレイヤーが陥るのが「空いているスペースを狙う」という思考の罠です。特に上級者相手には、その「空いているスペース」こそが、相手が張っている(待っている)場所なのです。
【コーチ】 (43:43)
ここをみんな間違えるんだ。前陣営のところに落とそうとかそこを張ってくるからさ、前衛が。…ここが中級から上級に行ける境なんだよね。初級から中級はいないところに打てばいい。これでいいと思うんだけど、上級者はいないところを張ってくるんだからさ。いるとこに行った方がいい。
有利な時にこそ「山を張る」
もう一つの重要な指摘は、パートナーとの連携における思考停止です。有利な状況、例えばパートナーが明らかに決め球を打つであろう体勢に入った時、多くのプレイヤーは「様子見」をしてしまいます。しかし、本当にやるべきなのは、その次の球を予測し、「山を張って」前に詰めることです。
【コーチ】 (56:23)
すごいフェニックスみんなそう。次の…パートナーがどこに打つかの前に動けないんですよ。自分たちが有利な時にね。有利な時に見ちゃうんすよ。様子見ちゃうんです。で、不利になると山張るんだよね。「どうでしょう」って。違うんだよ。逆だから。有利な時に山張ってかないと。
そして、最高レベルの対人競技のセンスとは、相手の思考や意図を「感じる」力だとコーチは言います。それはテレパシーのような非科学的な話ではなく、相手に意識を向け続け、経験を積み重ねることで、「次にここに来る」というインスピレーションが湧く状態です。自分が何を打つかではなく、相手が何を考えているか。その意識の向け先こそが、上級者への扉を開く鍵なのです。
【コーチ】 (1:00:34)
相手が感じてるから。俺みたいなやつがイメージを。相手がイメージしてるから自分のイメージのね…脳ってね、神経伝達ね、組織が繋がってなくても脳って情報伝達できるじゃないですか。…てことは、人の脳にも情報伝達されるよねっていう当たり前のことじゃないのって俺は思ってます。
4. コーチング的5つの学び
今回のオンライン教室から得られた、バドミントンだけでなく仕事や人生にも応用できる5つの重要な学びをまとめました。
- 「本音」を疑え、安易な対話に逃げるな:価値観の違う相手との「本音の対話」は、解決ではなく溝を深めることが多い。表層的な感情を「本音」と勘違いせず、解決には客観的な第三者の視点が必要だと知る。
- 成長は「第2領域」にあり:日々の緊急タスク(第1領域)をこなすだけでは、本当の成長はない。意図的に「緊急ではないが重要なこと」(振り返り、学習、計画)の時間を作り、そこに投資することが未来の自分を創る。
- 上級者への道は「相手のいる場所」へ打つこと:「空いている場所」を狙うのは初中級者の戦術。上級者は意図的にスペースを作り、そこを狙わせてカウンターを仕掛けてくる。あえて相手のいる場所へ打ち、相手に判断を委ねる勇気を持つ。
- 有利な時にこそ「山を張れ」:試合で「様子見」をしていい場面はない。特に自分が有利な状況では、パートナーの次のプレーを信じて予測し、次のポイントを奪うためにポジションを取る。思考を止めないことが重要。
- 対人競技の極意は「相手を感じる」こと:自分のプレーに固執するのではなく、常に意識を相手に向ける。相手の体勢、心理状態、意図を感じ取ろうと努めることで、プレーの次元が変わる。技術は、その感覚を実現するための手段に過ぎない。
【コーチ】 (59:58)
こういうのもみんなに言ってるように相手に意識を向けてやってほしい。じゃないといつまで立ってもわかんないです。自分がさ、何やったとかさ、自分がどういうプレイしようとかさ、次は何を打ってやろう。もうこれ一番危ないですからね。
5. アウトプット習慣チェックリスト
インプットした学びを「分かったつもり」で終わらせず、行動に変えてこそ本当の資産になります。以下のチェックリストを使って、今日からできるアウトプットを実践してみましょう。
明日から始めるアクションプラン
おわりに:有利な時にこそ、山を張れ
今回の教室では、「分かり合えない」という人間関係の現実から、成長を阻む時間管理の罠、そして対人競技の神髄に至るまで、非常に密度の濃いテーマが扱われました。一見するとバラバラなテーマに見えますが、根底には「表面的な現象に惑わされず、本質を捉えよ」という一貫したメッセージが流れています。
【コーチ】 (1:05:04)
ありがとうございました。…明日はサヨさんと練習していきます。ではまた。
本音に見える浅い感情、緊急に見える目の前のタスク、空いているように見えるスペース。それらに反応的に動くのではなく、一歩引いて構造を理解し、意図を持って行動する。特に「有利な時にこそ山を張る」という言葉は、プレーだけでなく、キャリアや人生のチャンスを掴む上でも重要な心構えではないでしょうか。インプットで終わらせず、ぜひチェックリストのアクションを一つでも実行してみてください。その小さな一歩が、未来のあなたを大きく変えるはずです。