2025.7.10 Phoenix-Aichiオンライン教室レポート
【格言】負けず嫌いを、脱ぎ捨てろ。真の強さは『昨日の自分』を超える心に宿る。
序章:「負けず嫌い」という神話への問いかけ
「強くなるためには、負けず嫌いであることが不可欠だ」。
スポーツの世界に限らず、私たちはこの言葉を幾度となく耳にしてきました。競争社会を勝ち抜くための原動力として、「負けたくない」という感情は、確かに強力なエネルギーを生み出します。しかし、そのエネルギーは本当に、私たちを永続的な成長へと導いてくれるのでしょうか。
Phoenix-Aichiでは、この一般的な通説に一石を投じたいと考えています。なぜなら、真の成長を遂げた選手たちが、揃って「負けず嫌い」という鎧を脱ぎ捨て、新たな境地へと足を踏み入れているからです。この記事では、そのプロセスを解き明かし、新しい時代の「強さ」について探求します。
第一章:「負けたくない」の根源にあるもの
そもそも、「負けたくない」という感情はどこから来るのでしょうか。私たちは、その根底に二つの欲求が存在すると分析しています。
1. 他者への優越感を得たいという欲求
他人に勝つことで自分の価値を確認し、優位に立ちたいという思い。これは、相対的な評価軸の中で自分を位置づけようとする心理です。
2. 他者への劣等感を払拭したいという欲求
他人に負けることで感じる無力感や劣等感を避けたいという思い。これは、他者との比較によって生まれる自己肯定感の揺らぎから来ています。
これらの欲求は、一時的なモチベーションとして機能するかもしれません。しかし、その評価軸は常に「他人」に依存しています。他人がいなければ成立しないこの感情は、非常に不安定で、成熟したアスリートが目指す境地とは異なると、私たちは考えています。
第二章:成長の証―比較から「自己超越」のステージへ
人が本当に成長する時、その関心は「他人との比較」から「自分自身の可能性」へとシフトします。
かつて、当教室のある選手が「負けず嫌いさえ利用する」というテーマでブログを執筆しました。彼は当時、「負けたくない」という感情を意図的に利用し、自らを奮い立たせていました。それは一つの戦略であり、その段階における彼にとっての正解でした。
しかし今、彼は次のステージへ入りました。現在の彼を動かしているのは、「昨日の自分より、少しでも上手くなりたい」「できなかった技術を、できるようになりたい」という、純粋で内的な探求心です。他人の評価や勝敗に一喜一憂することなく、ただひたすらに自身の成長と向き合う。これこそが、他者比較のステージを卒業し、自己超越のステージへと足を踏み入れた証なのです。
“真の競争相手は、昨日の自分だけだ。”
この変化は、劣等感や優越感といった不安定な土台の上ではなく、「自己の成長」という揺るぎない土台の上に、パフォーマンスを再構築するプロセスと言えるでしょう。
終章:新しい強さの定義
「負けず嫌い」を手放すことは、決して闘争心を失うことではありません。むしろ、より本質的で、持続可能な強さを手に入れるための通過儀礼です。
他者との比較から解放された心は、驚くほど穏やかで、自由です。勝敗という結果だけに囚われず、プレーそのものを楽しみ、自分の成長を実感する喜びに満たされます。その精神的な安定こそが、プレッシャーのかかる場面で冷静な判断を下し、最高のパフォーマンスを発揮するための礎となるのです。
Phoenix-Aichiが目指すのは、単に試合に勝つための技術を教えることだけではありません。選手一人ひとりが「負けず嫌い」の先にある、本当の強さを見つけ出し、人として、アスリートとして、新たなステージへと飛躍するためのサポートをすることです。
あなたの「強さ」は、誰かと比べて測るものですか?それとも、あなた自身の内側から湧き出るものですか?
この問いと向き合うことが、次なる成長への第一歩となるはずです。