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2025年7月10日 オンライン教室レポート
【格言】まず自分を満たせ、さらば与えられん。
「わがまま」「自己中心的」…そんなネガティブな言葉で語られがちな「セルフィッシュ」という考え方。しかし、もしそれが、あなた自身の可能性を最大限に引き出し、結果的に周りの人々をも豊かにする鍵だとしたら?本日のオンライン教室では、この逆説的な真理について探求しました。
「セルフィッシュ」の本当の意味:自分本位こそが他者貢献の始まり
「セルフィッシュ(selfish)」と聞くと、私たちは反射的に「利己的」「自分勝手」といった言葉を思い浮かべます。しかし、コーチングの父、トマス・レナードが提唱する「セルフィッシュ」は全くの別物です。それは**「主体的な選択をしている人」**を指します。
常に欠乏感を抱え、他人からの評価や承認を求めるのではなく、まず自分の内なる声に耳を傾け、自分自身をエネルギーで満たすこと。コップが水で満たされていなければ、誰かに分け与えることができないのと同じです。自分を満たすことで初めて、心からの余裕が生まれ、見返りを求めずに他者へ寛大になれるのです。
真にセルフィッシュであるほど、自分を満たすことができ、他人に対して寛大になれる。他人に何かを求めることが減り、心に余裕が生まれる。
今日からできる3つの実践:自分を満たすための具体的なアクション
では、具体的にどうすれば「自分を満たす」ことができるのでしょうか。今日のセッションで特に反響が大きかった3つのアクションをご紹介します。
1. 「ノー」と言う勇気を持つ
最も手軽で、最も効果的なトレーニングがこれです。頼まれごとや誘いに対し、気乗りしないのであれば、はっきりと「ノー」と伝える。これは相手を拒絶することではありません。自分と他人の間に健全な境界線を引き、自分の時間とエネルギーを守るための、自分に対する誠実な行為なのです。
2. 自分の「喜び」を言葉にする
「察してほしい」は人間関係の罠です。自分が何を望み、何をしてもらったら嬉しいのかを、具体的に言葉にして周囲に伝えましょう。「〇〇してくれると嬉しいな」「私はこう感じるんだ」と素直に伝えることで、相手は安心してあなたと関わることができます。これは、より良い人間関係を築くための近道です。
3. 「今、この瞬間」に集中する
私たちの悩みは、過去への後悔か未来への不安から生まれます。「もし〜だったら」という思考を手放し、意識を「今」に向けましょう。目の前の食事を味わう、散歩中の風を感じる。現在を精一杯大切に生きることで、より良い未来は自然と引き寄せられてきます。
【演習】「ノー」を伝える練習プロンプト
シナリオ:あまり興味のない飲み会に誘われた。
NG例:「うーん、行けたら行きます…」(曖昧で相手に期待を持たせる)
OK例:「誘ってくれてありがとう!でも、今週は自分の時間を大切にしたいから、今回は遠慮しておくね。また誘ってくれると嬉しいな!」(感謝+理由+代替案)
「究極のセルフケア」で、我慢を手放す勇気
「セルフィッシュ」になる最短の方法は、「究極のセルフケア」を取り入れることです。これは単なるリラクゼーションではありません。「自分にとって煩わしく、エネルギーを搾取されるもの」を人生からなくしていく、積極的な行動です。
- ストレスを「減らす」のではなく「なくす」ことを目指す。(例:合わない仕事なら辞める選択肢も考える)
- 「大目に見ていること」を50個書き出し、それによって失っているコストを自覚する。
- 心から気分が上がることのリストを作り、毎日の生活に組み込む。
物事を我慢し「大目に見る」ことは、自分自身を麻痺させる行為です。不快さを感じないように心を閉じると、同時に幸せも感じにくくなります。自分の感覚を研ぎ澄ませ、我慢を手放す勇気を持つことが、充実した人生への第一歩です。
価値創造のヒントは「ミツバチ」にあり
「自分本位に生きることが、どうして他者貢献になるの?」という疑問への答えは、ミツバチが教えてくれます。
ミツバチは、自分たちが生きるために蜜を集めています。しかし、その過程で花から花へと飛び回り、自然に花粉を運び、植物の受粉を手伝っています。彼らは「社会のために」と意識しているわけではありません。ただ自分たちの喜びに従って行動している結果が、周囲への大きな価値提供となっているのです。
私たちも同じです。自分が本当に喜びを感じることを追求し、その価値を表現すれば、それは自然と誰かの役に立ちます。無理に期待に応えようとするのではなく、自分の「好き」や「得意」を玄関先に並べておく。それを受け取ってくれる人が、必ず現れます。
まとめ:あなたの「わがまま」が世界を豊かにする
真の「セルフィッシュ」とは、自分を深く理解し、そのニーズを満たし、自分らしく生きること。それは決して孤立ではなく、むしろ豊かな人間関係と自己実現への最短ルートです。
自分を満たし、心に余裕が生まれれば、自然と他者に優しくなれる。自分の喜びに集中すれば、それが結果として誰かの価値となる。このポジティブな循環を生み出すために、まずは一つ、あなたにとって「セルフィッシュ」な選択をしてみてはいかがでしょうか。
最初の一歩
今日、何か一つ「本当はやりたくないこと」に「ノー」と言ってみましょう。それが、新しい自分への扉を開く鍵になります。