Phoenix-Aichi オンライン教室

「負けず嫌い」の先にある景色へ。コーチが評価基準を全公開した理由 – 2025年7月17日オンライン教室レポート

DATE: 2025年7月17日

朝焼けの光が差し込む湖と山々―自己超越と新たなステージの始まりを象徴する穏やかな大自然

1. Opening: 「負けず嫌い」の鎧を脱ぎ捨て、新たな強さへ

「強くなるには負けず嫌いが不可欠だ」——私たちはこの言葉を、まるで疑う余地のない真実のように聞いてきました。しかし、そのエネルギーは本当に永続的な成長を導いてくれるのでしょうか?この日のオンライン教室は、この根源的な問いから始まりました。

コーチは、真の成長を遂げた選手たちが、揃って「負けず嫌い」という鎧を脱ぎ捨て、新たな境地へと足を踏み入れている事実を指摘します。それは他者との比較から解放され、自分自身の内的な探求心へとシフトした証なのです。

【中島コーチ】 (10:54)

競争社会を勝ち抜くための言動力として負けたくないという感情は確かに強力なエネルギーを生み出します。しかしそのエネルギーは本当に永続的な成長を導いてくれるでしょうか?…真の成長を遂げた選手たちが揃って負けず嫌らいという鎧いを脱ぎ捨て新たな境地へ入れているからです。

【中島コーチ】 (13:15)

現在の彼女(選手)を動かしてるのは昨日の自分よりも少しでもうまくなりたい。できなかった技術をできるようになりたいという純粋で内的な探求心です。他人の評価やに一気することなく、ただひたすらに成長と向き合う。これこそが他者比較のステージを卒業し、自己超越のステージとは身を足を踏み入れた証なのです。

「負けたくない」という感情の根源には、「他者に勝ちたい」という優越感への欲求と、「他者に負けたくない」という劣等感の払拭という、2つの他者依存の心理があります。この不安定な土台から脱却し、昨日の自分を超えることに喜びを見出すことこそが、本物の強さへの道だとコーチは語ります。

今日のKey takeaway

真の競争相手は「昨日の自分」。他者との比較という不安定な土台から降り、自分自身の成長という揺るぎない土台の上にパフォーマンスを再構築しよう。その先にこそ、穏やかで自由な、本物の強さが待っている。

▲ TOP

2. Mystery: なぜコーチは「評価基準」を全て公開したのか?

この日の教室では、コーチから「強制的に退会させるケース」「退会をお願いするケース」「退会を推奨するケース」「価値が高いと判断される行動」などを詳細に記した、評価基準が展開されました。一見すると厳しくも感じられるこの基準。しかし、コーチはその真意を「チームが向かうべき方向を示す道しるべであり、温かいものだ」と語ります。

【アキコ】 (21:43)

これを見た瞬間、すごく温かいなって思いました。こういうことを明確にしていくっていうのは、すごく大事なことですよね。

【中島コーチ】 (50:15)

人事制度・・・、評価制度っていうのは会社を作っていくっていうのは、会社が向かいたい方向を示すものです。…なのでこれは、フェニックスが向かうべき方向を示した道シルベっていうことなんですよ。そういう意味でも温かいんですよ。

【中島コーチ】 (43:10)

お前がコーチを選ぶように、コーチもお前を選ぶんだよっていうことです。それが対等な関係じゃないですか?

コーチが強調するのは、この評価基準が一方的なものではなく、コーチと選手が互いに選び合う「対等な関係」の基礎であるという点です。評価基準は「こういう人が評価される」というメッセージであり、それはそのまま「チームとしてこういう方向に進んでいこう」という意思表示に他なりません。特に「メンバーへの貢献行動」に関する項目が最も多いこと自体が、チームの価値観を雄弁に物語っています。

この基準を「偉そうだ」と不快に思うのは、自分を一方的な「選ぶ側」と捉えているからではないか、とコーチは問いかけます。客が店を選び、店が客を選ぶように、コーチも選手を選ぶ。その対等な関係性を理解することが、健全なコミュニティを築く第一歩なのです。

コーチが示した「価値ある行動」の具体例

価値ある行動の視点

  • 技術的視点: 練習効果の高い配球ができる、ミスが極端に少ない、猛烈な勢いでレベルアップする。
  • 行動的視点 (貢献): 意見やアウトプットを多数出す、コーチとの対話を積極的に行う、他のメンバーに興味を持ち質問する、誠実な振る舞い(嫌われるかより何をすべきかで行動する)。
  • サポート視点: メンバーのレベルアップのために見本を示す、LINEで問いかける、初心者と喜んで相手をする、ミスした人へ前向きな声をかける。
  • 雰囲気醸成: 明るい雰囲気を作る(ユーモアのあるコメント、オンラインでの意見交換、挨拶など)。

※これは一部です。コーチは「(自分も含めた)メンバーのレベルアップに向けた行動」を最も重要な価値として位置づけています。

▲ TOP

3. Deep Dive: 勝敗を分ける終盤力 – 相手のミスを「想像」する思考術

話題は試合終盤の戦い方へ。コーチは「終盤は相手のミスを想像する」という、一見単純ながらも強力なメンタル術を紹介しました。これには、確かな心理学的メカニズムが隠されています。

終盤力を高める3つの心理的メカニズム

  1. アウトカムシミュレーションと楽観バイアス: 「相手がミスする」という自分に有利な結果を想像する行為。これは脳の「楽観バイアス」と相まって、プレッシャーを「脅威」ではなく「挑戦」と捉えさせ、過剰な緊張を抑制します。(16:59)
  2. 下向きカウンターファクチュアル: 「もし相手がここでミスしてくれたら」と考える思考法。自分がミスする未来より「マシな未来」を想像することで、不安や焦りを和らげ、冷静さを取り戻します。(18:11)
  3. ポジティブイリュージョンとコントロールの錯覚: 心のスコアボードで「17-17でも、相手のミスを3つ想像すれば20-17だ」と感じる思考。この適度な思い込みが自信と粘り強さを生み、プレッシャー下でのパフォーマンスを高めます。(18:11)

【中島コーチ】 (19:27)

無人島で最後まで生き残るのはポジティブな人だっていう風に言われた…体力や技術がある人よりも絶望的な状況でも希望を見い出して前向きに行動し続けられる人が生き残る…試合終盤の大接戦っていう状況はまさにこの無人島でのサバイバルに似てるんじゃないですか。

【中島コーチ】 (20:36)

終盤の強さは技術やフィジカルで決まるものではありません。むしろ土壇場でいかに冷静にいられるか、いかに心をコントロールできるかという思考の習慣が勝敗を分けます。

コーチは、試合終盤は「無人島でのサバイバル」に似ていると例えます。相手のスーパープレーを恐れて萎縮するのではなく、相手のミスという「ありうる未来」に目を向け、楽観的になること。このポジティブな思考こそが、極限状況を生き抜く鍵となるのです。

▲ TOP

4. Video Analysis: 「単調な練習」で脳が嫌にならない人の決定的な差

教室の後半は、実際の練習動画を分析。特に焦点が当てられたのは、刺激の少ない「単調なラリー」の場面でした。ここで、ある選手のパフォーマンスが著しく低下する現象が浮き彫りになります。

【中島コーチ】 (1:06:57)

こういう何でもない刺激のない、こういう球…こういう時に脳機能がものすごい下がるんです。…とんでもないミスじゃないですか。これネットの中段以下に当たるっていう、もうド素人に近いミスをするんですよ。

【中島コーチ】 (1:15:19)

自分の脳がどんどんどんどん嫌になってちゃう。ほら、ネットに引っかけたでしょ。もうこれ嫌になってる証拠ですよね。…自分がバドミントンを嫌なってることを疲れのせいにしたい。疲れが主原因ではない。万全の状態でも嫌になります。

コーチは、この現象を「脳機能の低下」と分析します。簡単で単調な作業を続けると、脳は「このくらいの力でいいんだ」と判断し、活動レベルを下げてしまいます。その結果、集中力が切れ、「嫌になる」という感情が生まれ、信じられないようなミスにつながるのです。そして多くの人は、この「心の問題」を「足が動かなかった」「疲れた」といった「体の問題」にすり替えてしまうと指摘しました。

脳が「嫌にならない」ための処方箋

では、どうすればいいのか? 答えは「自ら練習の難易度を上げること」です。

  • 能動的に動く: 追いつける球でも、あえてシャトルを「迎えに行く」意識で動く。(1:17:42)
  • リズムを作る: ジャンピングスマッシュを打ってみるなど、自分でリズムを作り出し、脳を活性化させる。(1:15:19)
  • タイミングを速くする: ゆっくりでも追いつけるラリーこそ、あえて早いタイミングで触ることを意識する。(1:18:48)

自ら課題を設定し、簡単な作業を難しい作業に変えることで、脳は活性化し続けます。「自分で自分の脳の機嫌を取っていく」こと。これこそが、単調な練習を乗り越え、安定したパフォーマンスを維持する秘訣なのです。

▲ TOP

5. Takeaways: コーチング的5つの学び

今回のオンライン教室も、バドミントンのコートを越え、アスリートとしての在り方を深く問う学びが満載でした。特に重要なポイントを5つに凝縮して振り返ります。

1

「負けず嫌い」は卒業し、「自己超越」を目指す

他者との比較が生む不安定なエネルギーから脱却しよう。真の競争相手は「昨日の自分」。内的な探求心こそが、持続可能な成長の源泉となる。

2

評価基準の公開は、チームの「道しるべ」

明確な評価基準は、チームが目指す方向性を示す温かいメッセージである。コーチと選手は、互いに選び合う「対等な関係」なのだ。

3

終盤は「相手のミスを想像する」楽観性で勝つ

プレッシャー下では、心理学に基づいた思考術が武器になる。相手のミスという「ありうる未来」を想像し、冷静さと自信を保とう。

4

単調な練習では「自ら難易度を上げろ」

練習が「嫌になる」のは心の問題。簡単な練習こそ、自ら動きやリズムを加えて難易度を上げ、脳を活性化させ続ける工夫が重要だ。

5

周りの人間に興味を持て(持つフリでもいい)

チームへの貢献は、技術だけではない。仲間に関心を持ち、質問し、対話すること。その小さな行動が、チーム全体を強くする。

【トオル】 (47:53)

色々な視点で視野を広げていくことがやっぱり大事なんですね。評価基準が明確だと、自分たちが何をすべきかが分かって、無駄なエネルギーを使わなくて済むんですね。

▲ TOP

6. Action: 自己超越のための実践チェックリスト

学びは行動に移してこそ意味があります。インプットした知識をアウトプットし、自分のものにするための具体的なアクションリストです。明日からの練習で一つでもチェックを入れられるよう、挑戦してみましょう!

アウトプット習慣チェックリスト

▲ TOP

7. Closing: 「見られる側」の意識が、あなたを次のステージへ導く

「負けず嫌い」から「自己超越」へ。他者との比較を手放し、自分自身の成長と向き合うこと。そして、コーチや仲間と「対等な関係」を築き、互いに高め合うこと。今回の教室で示されたのは、アスリートとして、そして一人の人間として成熟していくためのロードマップでした。

特に、コーチが評価基準を公開した意図は、私たちに重要な視点を突きつけます。私たちは常に「選ぶ側」であると同時に、「選ばれる側」でもあるということ。この「見られる側」の意識を持つことで、初めて自分の言動に責任が生まれ、他者への貢献という視点が育まれるのではないでしょうか。

【アキコ】 (1:23:40)

明日はいよいよコーチとの1on2ですね。楽しみです!

【中島コーチ】 (1:23:40)

はい、楽しみです。では、お疲れ様でした。ありがとうございました!

今日の学びをインプットで終わらせず、ぜひチェックリストのアクションを一つでも実行してみてください。その小さな一歩が、あなたを新たなステージへと導く、確かな力になるはずです。

▲ TOP

スポンサーリンク