格言
「悪い面に気づく力は、良い面に気づく力と等価である」
リード文
私たちはつい「細かい指摘は雰囲気を悪くする」と考えがちです。
しかし、実はその“気づきの力”こそが、温かいコミュニティを育てる本当の土壌になるのかもしれません。
今回は、「悪い面に気づける人は、同じだけ良い面にも気づける」という逆説的な真理について考えてみます。
■ 細かい指摘は温かい空気をつくれるのか?
「花瓶を洗ってくれた」「道具を片付けてくれた」――
こうした小さな善意や努力に、誰かが気づいて声をかける。
それは、とても温かい場づくりの第一歩です。
けれど、一般的なコミュニティでは
「細かいところまで指摘するのは面倒だし、ギスギスする」
と、どこか敬遠されがちでもあります。
実際、悪い面にばかり目が向いてしまうと、「減点主義」や「監視社会」のような空気が漂ってしまうこともあります。
■ 「気づく力」は両刃の剣
でも、ここで考えたいのは――
細かい指摘ができる“観察力”そのものが、「良い面」にも「悪い面」にも同じように働くということ。
ある人が「最近ミスが多い」とか「ここが片付いていない」などの細かな変化に気づくようになると、
同じ視点で「今日は誰かがきちんと準備してくれた」とか「小さな工夫がある」といった良い面にも自然と目が行くようになるのです。
つまり、「悪いところに気づける自分」を責めたり恥じたりする必要はなく、
それは「良いところにも気づける力」の裏返しなのです。
■ 細かな指摘が“温度”を上げる
現実には、「これを言うと場が冷えるかも」と遠慮して、
細かいことに気づいても口をつぐんでしまうことがあります。
でも、温かい場とは「細やかな努力や変化にちゃんと気づき、言葉にして伝える」人が評価される場です。
沈黙の優しさは、ときに冷たさになる。
勇気を出して、気づいたことを伝える――その積み重ねが、
やがて「ありがとう」「よくやったね」という言葉の輪を広げていきます。
■ 実際のエピソードから
実際に、まったく人に関心がなかった人が「細かい指摘をする」ことで、
最初は悪い面にばかり気づくようになったけれど、
そのうち「誰かの善行」や「ちょっとした工夫」にも敏感になっていった――
そんな変化を目の当たりにしました。
悪い面に気づけることは、良い面にも気づける“感度”の証拠。
だからこそ、「気づくこと」自体が温かさを生む種になるのです。
結び
「悪い面に気づく力は、良い面に気づく力と等価である」
この格言を胸に、
細かな指摘を恐れず、気づきを言葉にしていく勇気を大切にしたい。
それが、温かいコミュニティづくりの礎になるのだと思います。