ゲーム練習を「辛い」と感じる時期こそ、昨日の自分を超えるとき。
DATE: 2025年6月3日
1. Opening: なぜ、あんなに楽しかったゲーム練習が辛くなるのか?
バドミントンを始めた頃、とにかくゲーム練習が楽しくて仕方がなかった。そんな記憶を持つ人は多いのではないでしょうか。多くの練習会やクラブでも、基礎打ちの後はゲーム練習がメイン。心待ちにしている時間のはずでした。
しかし、ある時点からその楽しさが苦しみに変わることがあります。「何度言われても同じミスをしてしまう」「パートナーに申し訳ない」「自分のプレーに納得がいかない…」。周りからの指摘や、自分自身への不満が積み重なり、コートに立つこと自体が辛くなってしまう。実際、それが原因でバドミントンから離れてしまう人も少なくありません。
【ある選手の悩み】
前はあんなに楽しかったのに、今はゲーム練習が怖いです。自分のせいでポイントを失うのが申し訳なくて、パートナーの顔が見れません。みんなは楽しそうにやっているのに、自分だけが取り残されているような気がします…。
もしあなたが今、こんな風に感じているなら、この記事はあなたのためのものです。その「辛さ」は、決してネガティブなだけのものではありません。むしろ、あなたが次のステージへ進むための、極めて重要なサインなのです。
今日のKey takeaway
練習の「辛さ」は、あなたがコンフォートゾーンを抜け出し、成長の階段を登り始めた証拠。それは避けるべきものではなく、歓迎すべき「成長痛」なのです。この記事を読めば、その辛さとの向き合い方がわかります。
2. 練習のパラドックス: 「気楽な人」が伸び悩み、「辛い人」が化ける理由
指導者として多くの選手を見てきた中で、一つの法則に気づきました。それは、「気楽にコートに入る人は伸び悩み、コートに入るのが辛いと感じている人ほど、後から飛躍的に伸びる」という、一見矛盾した事実です。
なぜでしょうか?「楽しい」「気楽」な練習は、多くの場合、自分の得意なこと、慣れたことの繰り返しになりがちです。それは現状維持には役立ちますが、大きな成長にはつながりにくい。一方、「辛い」と感じるのは、自分の弱さ、課題、限界に直面している証拠。つまり、自分のコンフォートゾーン(快適な領域)の外に出ようと挑戦している状態なのです。
【コーチの視点】
気楽にコートに入るひとは伸びない。コートに入るのが辛いと感じているひとほど伸びる。それは、自分以外にも適用される法則なのだと今は実感します。辛さから逃げず、自分の課題と向き合えているからこそ、脳と身体が新しいスキルを学習しようと必死になっているんです。
指摘されて落ち込んだり、自分のプレーに不甲斐なさを感じたりするのは、それだけ高いレベルを目指している証拠。何も考えていなければ、何も感じません。その苦しみこそが、成長のエネルギーに変わるのです。
3. コーチの告白: 「嫌で仕方なかった」1年間が教えてくれたこと
これは、何を隠そう私自身の体験談でもあります。実業団に入ってからの1年間は、まさに地獄でした。周りは当然レベルが高く、練習についていくだけで精一杯。何をしても通用せず、毎日コートに立つのが嫌で嫌で仕方がありませんでした。
「自分はまったく伸びていないんじゃないか…」。そんな無力感に苛まれる日々。しかし、その1年後、地元に帰省して昔の練習場所に参加したとき、驚くべきことに気づきます。
【コーチの体験談】
地元に帰り、以前行っていた練習場所で練習させてもらったときに、相手の球への対応がとても簡単になっていることに気づきました。まったく伸びていないと思っていたのは私の誤解でした。嫌で嫌で仕方のない時間が私を一気に高めてくれていたのです。
【コーチの決意】
それからもずっと嫌で仕方なかったですが、やめようとは考えませんでした。それどころか、「嫌でなくなったらやめよう」と思っていました。この感覚がなくなったら、それは自分が挑戦をやめた時だ、と。
この経験から、成長とは必ずしも実感できるものではなく、むしろ苦しい時期にこそ水面下で進んでいるのだと学びました。結果は後からついてきます。今、辛いと感じているあなたも、数ヶ月後、一年後には、きっと今の自分では考えられない場所に立っているはずです。
4. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回のテーマから得られる、バドミントンに限らずあらゆる成長に通じる重要なポイントを5つに凝縮しました。
「辛さ」は最高の成長シグナル
練習が辛い、苦しいと感じるのは、自分の限界に挑戦し、コンフォートゾーンを押し広げている証拠。それは嘆くべきことではなく、成長しているサインとして歓迎しよう。
楽しいだけの練習は「現状維持」の罠
心地よい練習だけを繰り返していては、大きな飛躍は望めない。時には意図的に、自分の苦手なことや、難しい課題に取り組む「不快な練習」が必要だ。
成長の実感は、遅れてやってくる
苦しい時期は「伸びていない」と感じがち。しかし、能力は水面下で蓄積されている。自分を信じて継続すれば、ある日突然、過去の自分との違いに気づく時が来る。
客観的な視点が自分を救う
自分の感覚だけを信じると、無力感に囚われやすい。過去の自分との比較や、信頼できる第三者からのフィードバックが、自分の成長を客観的に示してくれる。
「辛さ」と向き合う覚悟を持つ
成長したいなら、辛さから逃げないと決めること。「この辛さがなくなったら、自分の成長も止まる時だ」くらいの覚悟が、あなたを別人へと変える。
【参加者の気づき】
言われてみれば、最近辛かったのは、今までやらなかった配球や難しいショットに挑戦していたからかもしれません。ただヘタになっただけだと思って落ち込んでいました…。
5. Action: 「辛さ」を成長に変える実践チェックリスト
学びを行動に移してこそ、力になります。今の辛さを乗り越え、確実な成長につなげるための具体的なアクションリストです。今日から一つでも試してみてください。
アウトプット習慣チェックリスト
6. Closing: その壁の先に見える景色
ゲーム練習が辛いと感じる日々は、決して楽なものではありません。しかし、それはあなたが真剣にバドミントンと向き合い、本気で上手くなりたいと願っているからこその感情です。それは、すべてのトッププレイヤーが必ず通る道でもあります。
その苦しみから逃げないでください。壁にぶつかっている自分を、むしろ誇りに思ってください。その壁を乗り越えた時、あなたは以前とは比べ物にならないほど強くなっています。そして、今まで見えなかった新しいバドミントンの楽しさが、あなたを待っています。
【コーチからのエール】
辛いと感じるのは、それだけ真剣に向き合っている責任感の表れです。今の辛さは、未来のあなたからの贈り物。その壁を壊したとき、あなたは本当の自分の可能性に出会うでしょう。応援しています。
今日の辛さを、明日の一歩に変えていきましょう。次回の練習で、あなたが新しい挑戦をしている姿を楽しみにしています。