岡田斗司夫氏が説く!ホワイト社会を生き抜くための「いいひと戦略」

公開日: 2022年2月6日

広大な緑の丘と曲がりくねった道―戦略的な人生の歩みを象徴する大自然の風景

1. はじめに:なぜ今、「いいひと戦略」なのか?

「僕の信条は合理的に生きるだ」。人気漫画『チ。』の主人公はそう語りますが、その合理性を突き詰めた結果、悲劇的な結末を迎えます。では、現代社会における真に合理的な生き方とは何でしょうか?

評論家の岡田斗司夫氏は、2022年2月6日のゼミで、その答えとして「いいひと戦略」を提唱しました。これは、単なるお人好しになることではありません。他人から「いいひと」と誤解されることで、社会生活を有利に進めるための、極めて意識的で腹黒い(?)生存戦略なのです。

能力や性格が遺伝で多く決まってしまう現代において、唯一、自分の意識だけでコントロールできるのが「どう振る舞うか」という生存戦略です。この記事では、なぜ今「いいひと戦略」が有効なのか、そしてその具体的な実践方法を、岡田氏の解説を元に紐解いていきます。

💡 今日のキーポイント

「いいひと戦略」とは、本当にいい人になることではなく、他人から「いいひと」と誤解されるための意識的な振る舞いを指す。これは、スキルや才能に恵まれなくても実践可能な、現代社会における最適な生存戦略である。

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2. Googleは天才より「いいひと」を求める

「いいひと戦略」の有効性を示す象徴的な例が、GoogleやFacebookといった巨大IT企業の採用方針にあります。彼らが最終的に求めるのは、何でもできる天才ではなく、「Good-natured person(生まれつきいい人)」なのです。

【岡田斗司夫】 (02:18)

ヒューレット・パッカードで17年間人事を務めた樋口さんという社長が、Googleなどの役員クラスに「どんな人材を求めているのか」と質問したんです。返ってきた答えが「good-natured person」だったと。

【岡田斗司夫】 (03:22)

なぜかというと、インターネットによってスキルを持つ人材が世界中に見つかるようになった。優秀なヤツは外注でいい。本社に必要なのは、周りの仕事の邪魔をせず、揉め事を起こさず、楽しく協力しあえる人材なんです。優秀な奴らはすぐに競争を始めて、足の引っ張り合いになるからです。

この話からわかるのは、個人の突出したスキルよりも、組織全体の生産性を高める「協調性」や「人間性」が重視される時代になったということです。トラブルを起こさず、周りと円滑に協力できる「いいひと」は、それだけで価値のある資産と見なされるのです。

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3. 達人の危機回避術:「戦わない」という究極のスキル

「いいひと」は損をする、という反論があります。確かに、本当のいい人は搾取されがちです。しかし、「いいひと戦略」を実践する人々は、決定的な違いを持っています。それは「損をしそうになったら、即座にスルーする」というスキルです。

岡田氏は、武道家でもある評論家・内田樹氏との対談でのエピソードを挙げ、その見事な危機回避能力を解説しました。

【岡田斗司夫】 (06:32)

内田さんと映画の話で盛り上がって、「町山智浩さんと話が合うはずだ」と言われたんです。僕が「いや、町山さんにはすごく嫌われてて…」と返したら、熱く語るタイプの内田さんが、あっという間にトーンダウンして「あの人、難しいからね…」と小さく言って、話をすっと逸らした。

【岡田斗司夫】 (07:35)

トラブルの匂いがしたら、これ以上関わらない。これぞ武道の達人だと思いました。武道の究極は戦わないことにある、と内田さんはよく言っていますが、その現場を見ました。直感で争い事を避けるんです。

このエピソードは、「いいひと戦略」の本質を突いています。他人の問題に深入りしない。どちらが正しいかを論じない。面倒なことからは、悪印象を与えずにすっと身を引く。この「スルーする力」こそが、損をしないための重要な防御術なのです。

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4. コーチング的5つの学び

今回の岡田氏の講義から、私たちが日々の生活やキャリアで活かせる「コーチング的5つの学び」を抽出しました。これらは、単なる処世術に留まらず、自己の成長と精神的な安定にも繋がる視点です。

🧠 コーチング的5つの学び

  1. 「嫌な人戦略」を無意識に取っていないか自覚する。
    欠点を指摘したり、頼まれてもいない改善点を提案したりすることは、相手にストレスを与えるだけの「嫌な人になる努力」。まずはこの努力をやめることから始めましょう。
  2. 「頭の良さ」より「人の良さ」が10倍モテる。
    頭が良い人は尊敬されても、恐れられ遠ざけられがちです。一方、「いいひと(だけどちょっと抜けてる)」と思われる方が、人間関係では圧倒的に得をします。頭が悪いと思われることは、現代ではメリットになり得るのです。
  3. 否定的な意見は「おなら」と心得る。
    つい口から出てしまう悲観的・否定的な態度は、人前での「おなら」と同じ。周りは愛想笑いをしてくれても、確実に心の中で距離を置かれています。家族間であってもミュートされる原因になります。
  4. 「共感・賞賛・応援(のフリ)・忘却」の4ステップを実践する。
    口先だけでも「わかる」「すごい」と共感し、本当に良いと思ったら褒める。応援するフリをし、もし相談されてもスルーする。そして、それら全てを忘れる。このサイクルが「いいひと」を演じる基本です。
  5. 自分は「偽物」であると自覚し続ける。
    この戦略の最大の注意点は、「自分は本当にいい人だ」と思い込まないこと。あくまで生存戦略として演じている「偽物」であると意識し続けることで、損をしそうになった時に冷静にスルーできるのです。

【岡田斗司夫】 (12:58)

人というのは他人をそんなに観察してないんです。みんなあなたのこと、どうでもいいんです。表面的なことしか見てない。だから、いい人のフリをしても実はバレない。

【岡田斗司夫】 (14:03)

損をしそうになったらすぐにスルーする。その話題を続けない。もし追及されたら「その問題は僕の手には負えないな」とか「難しいよね」と悲しそうな顔をしながら、とにかくスルーするんです。これがポイント。

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5. 「嫌な人になる努力」をやめるためのチェックリスト

「いいひと戦略」を始める第一歩は、「嫌な人になる努力」をやめることです。私たちは無意識のうちに、人間関係を損なう行動を取ってしまいがちです。以下のチェックリストを使って、自分の行動を振り返り、アウトプットの習慣を変えていきましょう。

✅ 「嫌な人になる努力」をやめる習慣チェックリスト

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6. 結論:薄っぺらい外壁で、豊かな内面を守る

岡田斗司夫氏が提唱する「いいひと戦略」は、一見すると冷笑的で、人間不信に基づいているように聞こえるかもしれません。しかし、その本質は、不必要な対立やストレスから自分自身を守るための、極めて現実的な「防護壁」を築くことにあります。

言葉の暴力が可視化されやすくなった現代社会(ホワイト社会)では、かつての正義感や正直さが、かえって自分を傷つける諸刃の剣になりかねません。薄っぺらくてもいいから、まずは細胞膜のようなバリアを張り、外部からの攻撃を防ぐ。そうして守られた安全な内側でこそ、私たちは本当に大切なことを考えたり、好きなことに没頭したりできるのです。

【岡田斗司夫】 (33:23)

僕がこれ喋ってるの、すごい薄っぺらく聞こえると思うんですけれども、そのうすっぺらい外壁をまず作らないと、内面が保護できませんよ、という話なんです。細胞膜なんて薄っぺらなんですけど、それでいわゆる外敵の侵入を防げるわけなんですね。

この戦略は、あなたがあなたらしく、心穏やかに生き抜くためのツールです。明日から、少しだけ「いいひと」を演じてみませんか? きっと、世界が少しだけ生きやすく感じられるはずです。

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