信じる者は強くなる:『演じる力』で成長を加速させよ!2025年7月13日オンライン教室レポート
DATE: 2025年7月13日
1. Opening: 「無駄を恐れる者」が最も遠回りするワナ
この日のオンライン教室は、「同じ練習をしても、なぜ上達スピードに差が生まれるのか?」という根源的な問いから始まりました。週6で練習する選手より、週1の選手が伸びることすらある。その差は才能やセンスではなく、「思考の癖」にあるとコーチは指摘します。
特に、新しい技術に触れた瞬間の心の動きが成長の分岐点になります。多くの人が「無駄なことはしたくない」と考え、それが賢い選択だと信じています。しかし、コーチはその考え方こそが「最も遠回りするワナ」だと警鐘を鳴らしました。
【中島コーチ】 (13:09)
すごく誤解してる人多くないですか?無駄なことをやらない。これが正解と思ってる人すごく多いと思うんですよ。「それ無駄じゃない?」とかさ。うん。そういう人が実は最も遠回りするんじゃないかなと思うんですよね。
【中島コーチ】 (18:59)
本当の無駄とは、行動せずに時間を失っていくことと思います。まず信じ、その役を演じ、話はそれからだ、ということですよね。
行動をためらい、頭の中だけでシミュレーションを繰り返す…。その時間は、実は最大の「無駄」なのかもしれません。この記事では、そのワナから抜け出し、成長を加速させるためのヒントを探ります。
今日のKey takeaway
行動こそが最も賢い選択。「これは本当に効果があるのか?」と疑う前に、「面白そう!」とまずやってみる。その役を演じきってみる。本当の評価は、行動した後にしかできない。その思考の癖が、成長への最短距離を創り出す。
2. Mystery: なぜ上達が早い人は「まず演じてみる」のか?
上達が遅い人には、共通の思考プロセスがあります。それは「無駄なことをしたくない」という、一見賢明に見える姿勢から始まる「賢いふりのワナ」です。
- ① 半信半疑:「この技術は本当に有効か?」と疑いから入る。
- ② 思考停止:有効かどうかを頭の中だけで延々とシミュレーションし、行動に移さない。
- ③ 結果:結局何も試さず、技術習得の機会そのものを失う。
一方で、驚くべきスピードで上達する人は正反対の思考法を持っています。彼らはまず「演じ」、後から考えます。
【中島コーチ】 (15:53)
まず信じてやってみる。「なるほど、面白そうですよね」と。…例えばフラダンスやってみましょう、って言われて、もうそれを何の疑いもなくやるじゃないですか。すっ、これがすごい伸びる特徴だと思うんですよね。
【参加者・トオル】 (14:20)
やるんでしょ?やります、って。ヨッシーさんとかそういう感じしますよね。たぶん疑いから入るのをやめたんじゃないかなと。擦り打ちとかも誰よりも早く覚えて、すごい変わったなと思うんですよね。
上達の早い人は、まず素直に行動し、無意識レベルになるまで反復練習に没頭します。そして、体が覚えた後で初めて、その技術が自分に合うか、本当に有効かを冷静に判断するのです。最初に取捨選択するのではなく、身につけた上で取捨選択する。この順番の違いが、成長曲線を大きく左右します。
3. Deep Dive: あなたの動きは「反射」か「企画」か?脳の仕組みを活かす
教室では、バドミントンの動きを脳科学の視点から「反射」と「企画された動作」の2つに分けて解説しました。なぜ熱いものに触ると瞬間的に手を引っ込めるのか?それは、脳を経由せずに脊髄が指令を出す「反射」だからです。
反射 vs 企画された動作
反射 (Reflex)
- 意識: 無意識
- 経路: 脳を通らない(脊髄で処理)
- 速度: 超高速
- 目的: 危険から身を守る
- 制御: 止められない
企画された動作 (Planned Action)
- 意識: 意識的
- 経路: 脳で考える(大脳で処理)
- 速度: 時間がかかる (約0.3秒~)
- 目的: 目的を達成する
- 制御: コントロールできる
【中島コーチ】 (25:01)
森さんは脳を使わずにやってるってことだよね。…目で入ってきた情報を脊髄で処理して手を動かす。これが森さんですよ。一方で企画された動作っていうのは脳で考えてから行う意識的な動作。…基本的にスポーツの技術っていうのはこの企画された動作なんです。
【参加者・アキコ】 (27:37)
シャトルを返すのは危険じゃないから「企画された動作」のはずなのに、恐怖を感じると「反射」になっちゃうんですね。だから、取れそうな球に手が出ちゃうんだ…。
至近距離からのスマッシュレシーブのように速い球に対しては、ある程度「反射」に頼らざるを得ない場面もあります。しかし、恐怖心から全てのプレーが「身を守るための反射」になってしまうと、技術は向上しません。大切なのは、反射で体を守り、企画された動作で技術を磨くこと。この2つを使い分ける意識が、プレーの質を大きく変えるのです。
4. Video Analysis: スマッシュ禁止練習で見えた「本物のラリー力」
この日のハイライトは、スマッシュを禁止した「思いやりダブルス」の練習風景でした。この特殊なルールが、各選手の「本物のラリー力」と「練習への姿勢」を浮き彫りにしました。
特に圧巻だったのは、鈴木・ユイペアのヘアピン練習。300回連続という目標を1発で達成し、その中で見せた鈴木選手のプレーは、まさに異次元でした。ネットインしたシャトルを拾い上げ、スピンのかかった難しい球にも食らいつく。その姿は、練習を「作業」と捉えず、一球一球に魂を込める姿勢の現れでした。
【中島コーチ】 (43:19)
(隣のコートの簡単なミスを見て)これで見せちゃうもんね。これですよ、こんな簡単な球。こっち(鈴木ペア)はめちゃめちゃ難しいのを入れ込んでんの。これでミスっちゃうんですよ。ノリが軽すぎないかと。…こういうことを重大なことと捉えてほしいんですよ。気持ちを切り替えて次に向かうじゃなくて、重大な「犯罪」だというぐらいに認識していかないと。
【中島コーチ】 (44:30)
こういうことを言えるのが温かいんですよ。これが温かいチームだと思うんですけど、皆さんどう思いますか?何もそういうこと言わないで、こいつらを同等に扱う、平等に扱う。これが温かいと思いますか?じゃないでしょ。これを賞賛することが温暖だ。比較してね。「これは全然ダメ。これはものすごい」みたいなね。それをちゃんとフィードバックできることが温かいんじゃないかと思うんですけど。
スマッシュなしのゲームでは、ラリーが驚異的な長さになりました。最長で60本以上続いたラリーもあり、息が上がる中でも、選手たちは集中力を切らしません。スマッシュがないことで、恐怖心からくる「反射的なプレー」が減り、一つ一つのショットを「企画」して組み立てる意識が高まった結果でしょう。この「刺激のない練習」こそが、本当の強さを育む土壌となるのです。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回の教室から得られた、バドミントンだけでなく人生のあらゆる場面で役立つ5つの重要な学びをまとめました。
信じ、やり抜く者が勝つ
疑いは成長のブレーキ。「無駄かもしれない」と恐れず、まずは信じて演じてみる。行動した者だけが、本当の価値を判断できる。
反射を理解し、企画で勝つ
自分の動きが「危険回避の反射」か「目的達成の企画」かを意識する。恐怖を乗り越え、意図を持ったプレーを増やすことが技術向上の鍵。
「刺激のない練習」に宝あり
長いラリーや地味な基礎練習こそ、本物の実力を養う。一見退屈な反復の中に、安定したプレーと強い精神力が宿る。
「温かいチーム」は耳の痛いことを言う
真の仲間とは、馴れ合いではなく、厳しい現実を指摘し合える存在。賞賛と的確な批判が共存する環境こそが、全員を成長させる。
身の程を知る勇気
シャトルに触る技術よりも、触らない「スルーする技術」が重要な場面は多い。自分の実力を知り、無理をしない判断力が失点を防ぐ。
【中島コーチ】 (1:06:37)
身の程を知るっていうのがバドミントンでは大事ね。シャトルに触る技術よりもスルーする技術の方がね、はるかに大事なんじゃないかと思います。
6. Action: アウトプット習慣チェックリスト
学びを行動に変えてこそ、本物の力になります。今日から実践できるチェックリストで、成長を習慣化しましょう。
アウトプット習慣チェックリスト
7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
「疑う前に動け」。この日の教室で繰り返し語られた、シンプルかつ強力なメッセージです。頭で考える賢さよりも、まずやってみる素直さが、私たちを新しいステージへと導いてくれます。
反射的な動きを自覚し、意図を持ったプレーを増やすこと。そして、派手なショットよりも、地道で長いラリーを続けることの価値を理解すること。今日の学びを胸に、ぜひ次の練習に臨んでみてください。小さな意識の変化が、やがて大きな成長につながるはずです。
【参加者・ヨッシー】 (1:14:03)
すごかったですね、今日の半面シングルも。本当に。ちょっと感想みたいなのを空いた時間に書いといた方がいい気がしますね。どういうところを次はやってみようかなとか。
【中島コーチ】 (1:15:00)
はい。そういうサイクルを回していった方が早く捕まるんじゃないですか、俺のこと。もうこんな山は乗り越えて、どんどんどんどん行っちゃってほしいなと思います。…ということで今日は終わりましょう。また今週もお疲れ様でした。
インプットで終わらせず、今日からアウトプットを。次回のオンライン教室で、さらに成長した皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!