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格言:『負けず嫌いさえ利用する』――敗北のコートで知る、本当の強さへの道筋
試合での全敗。「感情をコントロールしすぎだ。本来の負けず嫌いが表に出てくるといい」。監督からの一言は、私の心の奥底に突き刺さりました。
「負けず嫌い」という自覚すらなかった私にとって、その言葉は向き合うべき課題そのもの。悔しさよりも先に「できなかったこと」を練習したい気持ちが湧き上がる。この奇妙な感情の正体は何なのか? 自己分析の旅は、意外な発見と、封印していた過去へと私を導いていくことになります。
1. 監督の一言から始まった自己探求
試合に全敗した日、監督のアドバイスはいつも核心を突いてきます。「本来の負けず嫌いが表面に出てくるといい」。しかし、私は咄嗟に「負けず嫌いという認識がない」と否定してしまいました。
試合に負けても「悔しい」とは思わず、帰り道では「明日はあの練習をしよう」と、できなかった技術のことで頭がいっぱいになる。この感情は一体何なのか。自分の内面を探るため、私は「負けず嫌い」について調べ始めましたが、思考は一向に深まりませんでした。
2. 「負けず嫌い」の正体と劣等感の裏側
行き詰まった私は、再び監督に相談しました。そこで知ったのは、「負けず嫌い」には大きく2種類あるということ。
- 他人に負けたくないタイプ:他者との比較で自分の立ち位置を確認する。
- 自分に負けたくないタイプ:過去の自分や理想の自分との比較で成長を求める。
私は間違いなく前者でした。「人並みにできるようになりたい」「できない人だと思われたくない」。この自己分析を伝えると、監督からさらに深い言葉が返ってきました。
「劣等感は優越感の裏返し。人並みになりたいということは、自分より下の人を作って安心したいということ。つまり、優れたいという願望と同義なんだ」
「自分より下がいるから安心する」ことと、「人より優れているから価値がある」ことは、根源にある「自分の価値を証明したい」という願望で繋がっていたのです。他者比較で自分の価値を測ろうとすることこそが、私の「負けず嫌い」の正体でした。
3. なぜ私は「勝ち」にこだわれないのか?
ではなぜ監督は、その「他者比較の負けず嫌い」を表面に出せと言ったのでしょうか。疑問をぶつけると、意図が見えてきました。
「今の君は、まだ勝ちにこだわって戦っていない。他者と比較するタイプの負けず嫌いは、どんな形でもいいから勝ちたい、目先の1点を取りたいと考える。その執念が、今の君には必要なんじゃないか」
その言葉で、忘れていた記憶が蘇りました。過去、負けず嫌いを前面に出して人間関係を悪化させた苦い経験。それ以来、私は無意識にその感情を心の奥底へ沈め、隠すようになっていたのです。
「昔よりはマシになった」と自分を納得させ、本気で勝ちにいくことから逃げていた。技術を身につければもっとやれるはずだと、自信のなさを技術のせいにしていました。監督は、そのすべてを見抜いていたのです。
4. 格言:『性格は演じるもの』――最強の自分を創り出す
監督は言います。「性格とは演じるものだ。積極的に演じていこう!」と。これは、感情さえも目的のために選択できる、という考え方です。
それならば、私は「勝つ」という目的のために、「負けず嫌い」という感情を選択したい。たとえそれが、現時点では未熟な他者比較によるものであっても構わない。その感情を利用して、まずは目の前の1球に対する執念を育てるのです。
今の自分とありたい自分像のギャップは、「演じる」ことで埋める!
「勝つために、本能さえも利用して最善を尽くす自分」を演じる。その姿にこそ、私は価値を感じる。そう信じることができれば、他者との比較から解放され、自分自身の力で「価値ある存在だ」と認識できるはずです。
監督のアドバイスを胸に、私はコートに立ちます。弱さも、コンプレックスも、すべては「演じる」ことで武器に変わる。そう信じて、やるべきことをやるだけです。