2025年7月19日オンライン教室レポート:「真の安心」とは挑戦を肯定する環境。泣いてごまかすな、未来の自分を超えていけ!
DATE: 2025年7月19日
1. Opening: 「真の安心」とは停滞の許容ではない
この日のオンライン教室は、核心を突く格言から始まりました。「真の安心とは停滞の許容ではない。挑戦を肯定する環境である」。あなたは「安心できる環境」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?ミスのない、波風の立たない穏やかな場所かもしれません。しかし、その「安心」が、あなたの成長意欲を削いでいるとしたら?
「自分より下のレベルの選手がいるから安心する」というのは、他者との比較の上に成り立つ脆い土台です。コーチは、真の安心とは「過去の自分」との比較の中に生まれると語ります。昨日の自分を超えたい、という前向きな挑戦の意志が、チーム全体から温かく肯定される。それこそが、私たちが本当に目指すべき「安心できる場所」の姿なのです。
【コーチ】(06:08)
もしも全員が初心者レベルのチーム、確かに温かいし大歓迎されるんだけどね。相手が全員初心者だったら自分の子を行かせたいかって言うと行かせたいとは思いませんという話がありましたよね。うん。それはなぜかって言うと、ま、その子にとって挑戦できる環境がない。もっともっと上のレベルの子に、挑戦できるような環境がなくなってしまうので嫌ですというお話でした。
【コーチ】(08:26)
真の安心とは他者との比較ではなくて過去の自分との比較の中に生まれるんじゃないでしょうか。その機能の自分を超えたいという挑戦する意思そのものが周囲から温かく肯定される環境。それこそが私たちを目指すべき安心できる環境ってことですよね。
ただ優しいだけ、ただ受け入れるだけの「ぬるま湯」は、結果的に魅力のないチームを生んでしまう。この厳しい現実から目を背けず、私たち自身の「居場所」の価値基準を見つめ直す時が来ています。
今日のKey takeaway
真の安心とは「挑戦的安心」である。他者との比較で得る一時の安らぎではなく、「昨日の自分を超えたい」という静かで力強い挑戦が、チーム全体で尊重され、支え合える環境。それこそが、個々とチームを真の成長へと導く。
2. Video Analysis: 勝敗を分ける「仲の良さ」の正体 – ピータンペアに学ぶ本物のチームワーク
話題はジャパンオープン準決勝のダブルスへ。コーチが注目したのは、マレーシアのピータンペアが見せたプレーの本質でした。彼らの強さは、単なる技術ではなく、ミスをしても決して崩れない「雰囲気」にあります。
ミスをした後、多くのペアは雰囲気が悪くなり、流れを失います。しかし、ピータンペアはミスをしてもお互いを責めるような素振りを見せず、すぐに次へと切り替える。この精神的な強さが、相手に流れを渡さない最大の要因なのです。コーチは、形だけの「お尻ポンポン」のような励ましでは意味がないと指摘します。本当に大切なのは、ミスを許容し、共に次へ向かうという、目に見えない信頼関係なのです。
【コーチ】(11:56)
ミスした後に普通は流れ悪くなるじゃないですか。松山選手もちょっともう嫌そうな感じじゃないですか。これ見てて…ああっていうもう明らかにもうあからさまにさ、不満が出てますよね。
【コーチ】(13:20)
あ、今のとかどうやられましたよね。やられて全然嫌そうじゃないでしょ。…1本ミスったところで流れ悪くなんのに全然なんないんすよ。これは本当に大きい。普通崩れるところで崩れないんですよね。
また、インターバル中に選手が座る「小さい椅子」にも、選手の集中力を高め、コミュニケーションを促す意図が隠されているとコーチは語ります。なぜあえて小さくつくられているのか。そこに答えがあると。トップレベルの試合には、プレーの一つひとつだけでなく、そうした環境の細部にまで、勝敗を分けるヒントが隠されているのです。
3. Mystery: なぜ子供は「泣いてごまかす」のか? – 嘘泣きを見抜き、成長を促す関わり方
試合分析から一転、話題は「泣いてごまかす子供」という、指導現場などでしばしば直面する根深い問題へ。なぜ子供たちは、自分の非をごまかすために「泣く」という手段を選ぶのでしょうか?
コーチは、それを「ずるい」と一刀両断します。子供たちは、「泣けば許される」「泣けばそれ以上怒られない」という経験から学習し、それを処世術として使ってしまう。しかし、そのごまかしを許してしまうことは、子供の成長の機会を奪うことに他なりません。
【コーチ】(22:31)
泣けば許されるとかもうそれは許さない。俺には通用しない。泣くのは違うだろうってね。泣くくらいなら、やるなよって。…とにかく泣けばまあまあまあよしよしっていう風に育てられてるんだろね。普段から。
【テルさん】(26:14)
(部活を辞める子に対して)なんとなく嘘泣きだろうなっていう感じの泣き方で…しかもそんなそのその子とあんまり…めちゃくちゃ関わりあったかって言うと、ま、そうじゃないし…なんかこの泣くことによって…なんかいい人に見られようみたいな。
【テルさん】(27:29)
(嘘泣きの見抜き方について)えっと、最初は涙が出てたんですけど、なんか途中から、えっと、泣いてるんですけど、もう涙ないから。…泣きの素振りみたいになっちゃってました。
参加者のテルさんからは、「涙が出ていないのに泣き続ける」「泣きがすぶりのようになっている」という「嘘泣き」の具体的な見抜き方も語られました。親が子の涙に動揺し、本質を見抜けなくなってしまうことも多い中、指導者は毅然とした態度で「ごまかしは許さない」という姿勢を貫く必要がある。それは時に嫌われる勇気も必要ですが、選手の真の成長のためには不可欠な関わり方なのです。
4. Player’s Style: 目指すべきはラニアの領域 – 早いタイミングで主導権を握る新時代のプレー
議論は再びコート上のプレーへ。コーチが特に若い世代に目指してほしい選手として挙げたのが、フランスのラニア選手です。彼女のプレーの真髄は、とにかく「早いタイミングでシャトルに触る」こと。まずはそこから始めようと。
相手のショットを待ってから打つのではなく、自ら前に入り、早いペースでラリーを展開することで主導権を握る。これは、まず一つの尖った武器を身につけることの重要性を示唆しています。最初からポポフ選手のようなオールラウンダーを目指すのではなく、まずはラニア選手のようなスペシャリストとしての強みを確立し、そこからプレーの幅を広げていく。そして最終的にはオールダウンだーへ。この段階的な成長プロセスが、遠回りのようでいて、実は最も確実な上達への道なのです。
【コーチ】(19:47)
ま、ヨッシーの世代とかっていうところに関して言うともうラニアのプレイだね。とにかくこう早いタイミングで触っていっていうとこ。
【コーチ】(21:09)
(練習について)早いペースでやってほしいんですよ。あ、どんどんどんどんペースが上がるとこからさ。…そもそもペースが早くないと全然できないよね。
フェニックス愛知の練習で、最初にペースの早い練習を取り入れているのも、この思想に基づいています。自分の得意なリズムでプレーするのではなく、あえて早いペースに身を置くことで、新しい感覚と技術が磨かれていくのです。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回のオンライン教室は、バドミントンの枠を超え、成長の本質に迫る深い議論が展開されました。特に心に刻むべき5つの学びを振り返ります。
挑戦こそが真の安心
傷つかないための「ぬるま湯」は停滞を生む。昨日の自分を超える挑戦が肯定され、仲間と支え合える「挑戦的安心」こそが、個人とチームを成長させる土壌となる。
チームワークは空気で決まる
本物のチームワークとは、ミスを責めずに次へ向かう前向きな「雰囲気」のこと。形だけの励ましではなく、失敗を許容しあえる信頼関係が、土壇場での強さを生む。
「泣く」という行為の本質を見抜け
感情表現の裏にある意図(ごまかし、許しを請う)を冷静に見極める。安易に同情せず、言葉で向き合うことを促すのが、指導者や親の重要な役割である。
一流のプレーは「生」で盗め
映像では伝わらない雰囲気、ミス後の立ち居振る舞い、インターバル中の細かな動き。現地の空気感にこそ、上達のヒントが満ちている。機会があれば、積極的に足を運ぶべきだ。
専門性を究めてから幅を広げよ
最初から万能を目指すな。まずはラニア選手のような「早いプレー」など、一つの尖った武器を徹底的に磨き上げることが成長の近道。確固たる軸ができてから、プレーの幅は広げればよい。
【コーチ】(23:50)
まともなこと言ってるんだけど嫌われるっていうね。これですよ。はい。…親が甘いからコーチが嫌われるっていうパターン結構あるんじゃないですか? そんなことない。俺はすごいあると思うんだけど。それでチャンスを失っちゃう子とかも結構いると思いますよ。本当に。
6. Action: 「挑戦的安心」を手に入れるためのチェックリスト
インプットした学びは、行動に移して初めて価値を持ちます。停滞した安心から抜け出し、成長へとつながる「挑戦的安心」を自らの手で築くためのアクションリストです。一つでもいい、今日から実践してみましょう。
アウトプット習慣チェックリスト
7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
「ぬるま湯の安心」を捨て、「挑戦を肯定する環境」に身を置く勇気。形だけではない、本物のチームワーク。そして、自分や他人の「ごまかし」と向き合う誠実さ。今回のオンライン教室は、コートの中の技術以上に、私たちが人として、プレイヤーとして成長するための fundamental な問いを投げかけてくれました。
他者との比較から自由になり、「昨日の自分」を最高のライバルとすること。その静かで力強い一歩が、あなたを、そしてあなたのチームを、間違いなく次のステージへと引き上げてくれるはずです。
【コーチ】(32:33)
はい。またまた話したいことは随時お願いします。はい。はい。終わりたいと思います。またね。
【参加者】
ありがとうございました。
今日の学びを胸に、ぜひチェックリストの小さな一歩を踏み出してください。次回のオンライン教室で、また一歩成長した皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。