Phoenix-Aichi オンライン教室

2025年7月27日オンライン教室レポート:「のびのび」は伸びない?王祉怡に学ぶ究極のリスク管理術

DATE: 2025年7月27日

険しい山脈と静かな谷—リスクを管理し、確固たる信念で進む挑戦を象徴する大自然の風景

1. Opening: 「のびのび」は伸びない—成長を阻害する心地よい幻想

この日のオンライン教室は、多くの親や指導者が信じて疑わない「のびのび育てた方が伸びる」という“神話”に鋭く切り込むところから始まりました。コーチは「のびのびは伸びない」と断言。楽しさを感じることは、バドミントンを始める入り口としては重要ですが、そこからトップを目指す、あるいは真に上達するためには、心地よい環境だけでは不十分だと説きます。

特に問題視されたのは、ミスをしても笑ってごまかすような、緊張感を欠いた雰囲気です。それは「のびのび」ではなく、単なる「馴れ合い」。真の成長は、適度なプレッシャーと「ミスをしたくない」という真剣な気持ちの中から生まれるのです。

【コーチ】(04:59)

結構ね、やっぱりね、特に子供を育てるのってのびノび育てた方が伸びるよねって思ってる人いっぱいいるんじゃないかと思うんですけど。のびノびって伸びないよね。そういう感覚ないですか、皆さん。

【参加者A】(08:29)

ずっと楽しいでやってたらミスして中島さんにギャグ言われて一緒に笑ってるってすっげえ違和感あって。え、ミスしたのに笑うんだって思うんですよ。

【コーチ】(10:48)

普通に考えて人に当てたら謝るじゃないですか?試合の時に。なんで笑うんだろう。…違和感があります。確かに笑顔がたくさんあるって、のびのびな雰囲気に見えます。そうそう。のびノびだとこういう勘違いが発生するじゃないですか。

今日のKey takeaway

プレッシャーは成長の必須ビタミン。心地よいだけの環境は、上達の機会を奪う「ぬるま湯」になりかねない。厳しい状況、緊張感の中に身を置く勇気が、自分を次のステージへと引き上げる原動力となる。

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2. Deep Dive: なぜ「まず、やる」姿勢が最強の武器になるのか?

議論はさらに深まり、「コーチャブルな姿勢」の重要性へと移りました。コーチが強調するのは、バドミントンへの「やる気」そのものよりも、コーチや先輩から言われたことを、疑問を挟まずに「まず、やってみる」という素直な行動力です。

「この練習に何の意味があるのか?」といちいち考える態度は、一見すると主体的ですが、実は行動を遅らせ、成長の機会を逃す原因になりがちです。コーチは「意味を考えるのは後でもいい。まずやることが一番大事」と語ります。捉え方を変えて無理にやる気を出す「リフレーミング」さえも、どうせやるなら時間の無駄だと一蹴。やるかやらないか、答えが決まっているなら、感情を切り離して淡々と実行する。その姿勢こそが、強さを生むのです。

【コーチ】(20:48)

これ本当大事ですよね。はい。フラダンスやってみようね。「やります」っていうね。ここが一番大事な気がする。バドミントンへのやる気は関係ない。「やりましょう」「やります」。これですよね。これが一番大事なんじゃないかと思います。

【コーチ】(26:40)

この練習の意味を理解してやりましょう。それはそうなんだけど。それが一番大事みたい思ってるじゃん。違う。やることが一番大事なんだよっていうことですね。意味を聞くのは後でもいいんですよ。

コーチの思考法:なぜ「捉え直し」は不要なのか?

コーチのロジック:

  • 前提:トップを目指すなら、厳しい練習や理不尽に思える指示も「やる」以外の選択肢はない。
  • 問題:「やりたくない」という感情を「やる気」に変えるために、物事の捉え方を変える(リフレーミング)作業が発生する。
  • 結論:どうせ「やる」と決まっているなら、その感情の転換プロセスは時間の無駄。感情(快・不快)と行動を切り離し、淡々とタスクとして実行すればよい。仕事と同じで、作業中に快感を求める必要はない。

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3. Mystery: なぜトップコーチは宗教を学ぶ?イスラム教から知る人間理解の深淵

教室の後半では、一見バドミントンとは無関係に思える「イスラム教」の解説が行われました。これは単なる雑学ではありません。コーチは「人間理解が甘い」日本人へ警鐘を鳴らし、世界の大半を占める宗教観を持つ人々の思考のベースを知る重要性を説きます。

イスラム教の解説を通じて見えてきたのは、私たちがメディアの過激なイメージで誤解しがちな、根本にある「温かく、優しい」教えの側面でした。絶対服従という厳格さの裏には、「やれる範囲でやってね」という許容の精神があります。こうした自分たちの常識の外にある価値観に触れることこそが、人間への深い理解につながり、ひいては多様な相手と渡り合うための礎となるのです。

【コーチ】(47:13)

イスラム教の特徴的なこととして、やれる範囲でやってねっていうのが、必ずあるんですよね。…やれる人はやってくださいねっていう。必ずやれじゃないんだよね。…やれない人を排除するっていう考え方はないですね。

【参加者B】(47:13)

それ全然イメージなかったです。あの過激のイメージがあるからね。

【コーチ】(47:13)

根本的に言うとすごい優しい。…すごく温かい宗教です。

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4. Video Analysis: 王祉怡に学ぶ「負けない」バドミントン—究極のリスク管理術

話題は再びコートの上へ。今回は、中国の女子シングルス、王祉怡(ワン・ジーイ)選手の驚異的な戦い方をビデオで分析しました。彼女のプレーの真髄は、ずばり「究極のリスク管理」にあります。

多くの選手が、チャンスと見るや9割入るような厳しいコースを狙って決めに行き、残り1割のミスを犯します。しかし王選手は、たとえ万全の体勢であっても、その選択をしません。相手コートのど真ん中、中級者でもミスしないような安全なコースへ、淡々と、しかし質の高いボールを返し続けるのです。これにより自らのミスを限りなくゼロに近づけ、相手が根負けしてリスクを冒すのを待つのです。これは、一試合の勝利だけでなく、将来にわたって安定して勝ち続けることを見据えた、恐ろしくクレバーな戦術です。

【コーチ】(1:08:11)

リスク負ってないのがすごいいいよね。…相手は追い込みたい でミスるってことですよね。もう勝つ戦いやってるもんね。将来的に見てね、勝てるようなプランで戦ってるよね、もう。

【コーチ】(1:18:20)

90%入るでしょ、これ。20対13。…それをここですよ。こんな、こんなのもうね、中級者でもさ、ミスらないようなコースに打って勝負してんだよね。…これも次も勝つって思わない?こんな戦い方したら。

この戦い方は、ドロップショットの練習でコーチが説いた「弱い球こそリラックスせず固めて打つ」という教えにも通じます。安定性を優先する思考法が、現代バドミントンの鍵を握っているのかもしれません。

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5. Takeaways: コーチング的5つの学び

今回の教室は、コート内外での「思考法」がテーマでした。強くなるために、そして人として成長するために不可欠な5つの学びを振り返ります。

1

「のびのび」という名の罠

楽しさは動機付けの第一歩。しかし、真の成長は意図的に作られたプレッシャーと緊張感の中から生まれる。心地よいだけの環境は成長を妨げる。

2

まず「やる」力が最強の武器

理由や意味を問う前に、言われたことを素直に実行する「コーチャブルな姿勢」が成長を何倍にも加速させる。行動こそが全てを変える。

3

弱いショットこそ「固める」

繊細なコントロールが求められるショットほど、リラックスは禁物。体幹や手首を固めて打つことで、再現性と安定性を極限まで高める。

4

究極のリスク管理術

9割入るショットでも、1割のミスを嫌い打たない勇気。安定した勝利は、確率の高い「負けない」選択の地道な積み重ねから生まれる。

5

人間理解のための多角的視点

自分の常識の外にある価値観(宗教、文化など)を学ぶことで、思考の偏りをなくし、人間や社会への理解が深まる。それが巡り巡って自分の成長に繋がる。

【コーチ】(1:12:59)

もうこれはかっこよすぎて。これとかも全然リスクの追い方違うよね。…ワンジー選手、本当かっこいい。激推しですね。

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6. Action: 「安定した強さ」を育む実践チェックリスト

学びを行動に変えてこそ、本当の力になります。今日の教室で得た気づきを、日々の練習で実践するためのチェックリストです。一つでも多く実行し、安定した強さを手に入れましょう。

アウトプット習慣チェックリスト

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7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ

「のびのびは伸びない」という厳しい現実。「まずやる」というシンプルな行動原理。そして、王祉怡選手が見せた「究極のリスク管理」。今回のオンライン教室は、上達のための思考法を根底から見直す、非常に濃密な時間となりました。

目先の派手なプレーや一時的な勝利に惑わされず、長期的な視点で安定して勝ち続けるための土台を築くこと。その重要性を、参加者全員が再認識できたのではないでしょうか。インプットした知識を、ぜひチェックリストのアクションでアウトプットしてみてください。その地道な一歩が、あなたのバドミントンを、そして人生を、より確かなものへと変えていくはずです。

【参加者C】(1:24:14)

やばい。やばい。やばい。やばい。はい。10 時半になっちゃった。寝ます。はい。すいません。寝ましょう。

【コーチ】(1:24:14)

ありがとうございました。はい。またね。はい。ありがとうございました。

次回のオンライン教室も、皆さんの成長に繋がる深い学びを提供していきます。ご参加をお待ちしています!

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