「無価値な者は去れ」は愛か?―チームの価値基準と個人の成長を問う
DATE: 2025年7月29日
1. Opening: 「無価値な人」とは誰か?重い議題から始まった夜
この日のオンライン教室は、コーチ不在の中、参加者主導で進行。中島コーチが事前に提示した議題の一つが、場の空気を一変させました。それは「フェニックスにとって無価値な人に退会を要請することの是非を考える」という、非常に重く、挑戦的なテーマでした。
一見すると冷徹にも聞こえるこの問いかけ。しかし、その背後には、チームとしての成長、そして個人が真にレベルアップするために何が必要なのかという、本質的なメッセージが隠されているのかもしれません。参加者たちは、戸惑いながらもこの難題に向き合い始めます。
【鈴木さん】(04:19)
普段の生活でイライラすることの共有…やりたいのありますか?
【ヨッシーさん】(04:19)
無価値で退団要請について…
【鈴木さん】
無価値で退団要請の是非を考えてみる、ね。
【ナギさん】(04:19)
はい、これ、どういう意味かがわかんない。
この「わからない」という正直な反応から、この日の深い議論は幕を開けました。単にバドミントンが上手くなるだけではない、Phoenix-Aichiが求める「価値」とは一体何なのでしょうか。
今日のKey takeaway
チームが定義する「価値」は、個人の行動を変える羅針盤。厳しい基準も、目指す方向が明確であれば、それは成長を促すための「愛ある要求」に変わりうる。重要なのは、その基準の意図を深く理解しようとすることだ。
2. Deep Dive: 価値の定義―バドの技術を超えた「人間的成長」
議論の前提として、まず「価値」の定義が共有されました。中島コーチが示した基準は、単なるバドミントンの強さではありませんでした。大きく分けて「技術面」と「行動面」の二つの側面から、チームへの貢献が定義されています。
価値ある貢献とは?
- 技術面での貢献: 相手の練習になる配給、ミスの少なさ、上級者のような質の高いプレー、そして猛烈な勢いでのレベルアップ。
- 行動面での貢献: 積極的なアウトプット、理想の姿を「演じる」努力、メンバーへの関心、誠実な振る舞い、チーム活動の優先、初心者への配慮、チームのサポート(清掃、寄付など)、雰囲気作り。
この基準を見て、参加者はコーチの真意を読み解こうとします。それは、バドミントンの上達と人間的な成長が不可分であるというメッセージでした。
【鈴木さん】(29:38)
私はバトミントンのもちろんレベルアップもだし、人として…人間としてのレベルアップみたいな考えることとか、感じることとか、人を思いやることとか、なんかいっぱい能力があると思うんだけど、そういう能力を今恥ずかしくてこれができないけど、本当はやった方がいいよねとか、できないことをできるようにしたりとか、なんかそういういろんな人間としての能力をレベルアップさせるっていうのを両方求められてるような気がして。
【ヨッシーさん】(28:32)
自分の成長っていうのはもうちょっと具体的に言うと…考える力。
「バドミントンは人間の様々な能力の中の1個でしかない」。この気づきが、議論を次のステージへと進めます。Phoenix-Aichiが求めているのは、コートの中で勝てるプレーヤーであると同時に、コートの外でも成長し続ける「人間」なのです。
3. Cross Talk: 「退会推奨」は是か非か?愛ある厳しさと当事者の本音
価値基準が明確になったところで、議論は核心へ。「基準に満たない人に退会を推奨するのは、果たして良いことなのか、悪いことなのか」。参加者の意見は、それぞれの立場から語られ、場には緊張と共感が入り混じった空気が流れます。
ある参加者は、これを「その人のためを思った優しさ、愛のある行動」と解釈します。
【森さん】(33:46)
それは逆にその人に対して、ここにいても変わらないから他に行った方がいいよねっていう愛を感じるというか優しさを感じますけど。
一方で、進行役の鈴木さんは、チーム全体の成長という視点から、より踏み込んだ意見を述べます。しかし、その意見が特定のメンバーを追い詰める可能性を自覚し、強い葛藤を抱えながら言葉を紡ぎました。
【鈴木さん】(36:11)
中島さんがやろう!って言ったこともやれないで、一生懸命アドバイスしてくれてるのに全然それもにも取り組まないで…LINE の問いかけに対してもおはようしか言わないっていう人が、いる意味があるのかなっていう。…私は無価値な人は退会を推奨されるのがいいなって、視点でそういう風に思っちゃいます。
【森さん】(41:10)
私が今取り組んではいるけど、もしこれでまた 1ヶ月後とか変わってなければ、ま、退会を推奨されても仕方がないかなっていうね。…ま、でも変われなかった自分が悪いからそこはもうしょうがない。
【鈴木さん】(43:31)
いや、なんか私すっごいそうやって自分がそうやって思ってるのに実際こうやって森さんの前で言うとすっごい辛くなってきました。…だけど嘘じゃないし。
この生々しいやり取りこそ、今回のオンライン教室のハイライトでした。厳しい基準は、メンバー間に亀裂を生むのではなく、むしろ「自分も変わらなければ」という危機感を共有し、共に成長しようという結束力を生む触媒として機能したのです。
4. Mystery: なぜヨッシーは爆速で成長できたのか?言語化が次の扉を開く
重い議論が続く中、一つの希望の光として話題に上がったのが、猛烈な勢いでレベルアップしているヨッシー選手の存在です。なぜ彼は、これほど早く成長できたのでしょうか?
彼自身は「何も考えずにやっちゃってる」と語りますが、その無意識の行動の中にこそ、他のメンバーが学ぶべきヒントが隠されています。鈴木さんは、その秘訣を「言語化」するよう促します。
【鈴木さん】(54:17)
だからヨッシーがさ、なんでそんなに早くレベルアップするできたか言語化してみてってな島さんに言われたの覚えてる? はい。やってそう。それ是非お願いしたいんです。の宿題として。
【鈴木さん】(56:50)
どうやって自分は人の真似をしているかでもいいし。あとなんかヨシーはやっつけようっていう気持ちが多分ないと思うから、なんでそういう風になれるのかとか。
「なんとなく」できていることを、あえて意識的に振り返り、言葉にする。このプロセスは、本人のプレーをさらに強固にするだけでなく、その成功体験をチームの共有財産に変えます。一個人の成長が、チーム全体の成長へと波及する瞬間です。これこそ、Phoenix-Aichiが目指す「価値の連鎖」なのかもしれません。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回の重いテーマを巡る議論は、バドミントンという枠を超え、組織と個人の成長に関する普遍的な学びをもたらしてくれました。特に重要なポイントを5つに凝縮します。
価値基準の明確化は「羅針盤」
チームが目指す方向と行動規範を明確にすることで、メンバーは自分の立ち位置を確認し、主体的に行動を変えることができる。
成長は「技術」と「人間性」の両輪
技術的な上達は、思考力、他者への配慮、誠実さといった人間的な成長と密接に結びついている。両方を追求することが真のレベルアップに繋がる。
厳しい指摘は「信頼」の証
信頼関係のあるコミュニティでは、厳しいフィードバックや基準も「切り捨て」ではなく「成長を願う愛」として受け止められ、前向きなエネルギーに変わる。
「当事者意識」が危機感を力に変える
自分が基準に達していないと自覚した時、それを言い訳にせず「変わらなければ」と行動に移す当事者意識が、成長の最大の原動力となる。
成長の再現性は「言語化」から生まれる
優れた個人の「なんとなく」の感覚を言語化し共有することで、その成功法則はチーム全体の資産となり、全体のレベルを底上げする。
【森さん】(53:06)
て、なってったら自然にバトミントみんなうまくなるんじゃないかなって気がするんですけど。そのなんか…そこまで主体的になれるっていうことは、多分練習とかの姿勢とかも変わってくるでしょうし、吸収も早いんじゃないですか。
6. Action: 「チームへの貢献」実践チェックリスト
今日の議論から得た学びを、具体的な行動に移しましょう。チームが求める「価値」を体現するために、明日から実践できる8つのアクションリストです。一つでも多くチェックできるよう、意識してみてください。
アウトプット習慣チェックリスト
7. Closing: 議論の先に―私たちもまた、価値を問われている
「無価値な者に退会要請」。この日の議論は、明確な結論を出すためではなく、参加者一人ひとりが「チームにおける自分の価値とは何か」「成長とは何か」を自問自答するためにありました。厳しい問いに向き合うこと、時には痛みを感じながらも対話を続けること。それ自体が、Phoenix-Aichiという場の価値であり、強さの源泉なのかもしれません。
議論を通じて見えたのは、切り捨てではなく、共に高みを目指すための「愛ある厳しさ」。そして、それに応えようとするメンバーたちの誠実な姿でした。この日の学びを胸に、私たちは明日からの練習、そして日常へと戻っていきます。一人ひとりの小さな行動の変化が、チームをより強く、より価値ある場所へと変えていくはずです。
【鈴木さん】(59:26)
終わりますか。はい。ありがとうございました。
次回のオンライン教室で、さらに成長した皆さんと会えることを楽しみにしています。