2025年8月2日オンライン教室レポート:「捨てる」勇気があなたを強くする。ストイシズムに学ぶ不動の心
DATE: 2025年8月2日
1. Opening: 「何も捨てられない人」は「何も変えられない人」
「何も捨てられない人は、何も変えられない」。この日のオンライン教室は、この強烈な一言から始まりました。中島コーチは、映画『国宝』で日本一を目指す登場人物が「全てを捨てる」と覚悟を決めるシーンに触れ、何かを得るためには何かを捨てる覚悟が必要だと説きます。
多くの人は、なるべく何も失わずに新しいものを手に入れたいと願います。しかし、それは虫のいい話。古い習慣、固定観念、時にはプライドや人間関係さえも、成長のためには「捨てる」対象になり得ます。今日の教室は、私たちが本当に大切にすべきものを見つめ直し、不要なものを手放す勇気について考える時間となりました。
【中島ノブヨリ】 (00:03:47)
その(日本一になる)ためには何を捨てるって言ったと思いますか?…フェニックスのみんなだっていうか、ま、世の中一般的には何も捨てずに何かを得たいっていう人ばかりだと思うんですけど、そんなね、虫のいい話じゃないですよと。…何て言ったかって言うと、全てを捨てますって言ってましたからね。
【中島ノブヨリ】 (00:05:18)
もう捨てますね。これ普段から考えといて欲しいですよね。自分は何を捨てられるんだ。捨てられるもの何だっていうね、リストを作っておいて、もうボンボンボンボン捨てていくっていうね、断捨離をしていく。
今日のKey takeaway
成長とは「得る」ことではなく「捨てる」ことから始まる。 しょうもない打ち方、非効率な練習、成長を妨げる人間関係。これらを捨てられない限り、新しい自分には出会えない。何を捨て、何を残すか。その選択こそが、あなたの未来を形作る。
2. Philosophy: ストイシズムに学ぶ、心の平静を保つ技術
「捨てる」話から、話題はさらに深く、古代ギリシャの哲学「ストイシズム」へと展開しました。ストイシズムとは、理性を最重視し、感情に振り回されずに心の平静を保つことを目指す生き方の指針です。その核心は、「コントロールできること」と「コントロールできないこと」を明確に区別することにあります。
コントロールの原則
- コントロールできること: 自分の判断、意見、目標、努力、行動。
- コントロールできないこと: 他人の言動や評価、過去の出来事、社会情勢、試合の結果。
コーチは、私たちが苦しむ原因の多くは、コントロールできないものに執着し、コントロールできるはずの自分の内面を放棄するからだと指摘します。他人の評価や試合の結果に一喜一憂するのではなく、自分の努力や行動に集中すること。それが心の平静を保ち、真の成長につながる道なのです。
【中島ノブヨリ】 (00:33:15)
ストイシズムっていうのは…理性を最重視する哲学ですね。感情に振り回されずに理性的判断で心の平成(平静)を保つことが目標とされてます。コントロールできることとできないことを区別しましょう。
【中島ノブヨリ】 (00:37:38)
苦しみの正体はコントロールできないものに執着し、コントロールできるはずのものを放棄するから苦しいんですよってことを教えてくれてるとですよね。
ストイシズムの4つの美徳
この哲学では、以下の4つの美徳を育てることが人生の目的とされています。
- 知恵:本質を見抜き、価値あることを選び取る力。情報に流されず、自分にとって本当に重要なことを見極める。
- 正義:他者への思いやりと誠実さ。共同体の一員として、周囲に善をもたらすように行動する。
- 勇気:困難や恐れに立ち向かう精神的な強さ。苦難を成長の機会と捉える。
- 節制:欲望や感情をコントロールする力。目先の快楽に流されず、本質的な幸福を追求する。
これらはバドミントンのコート上でも、日常生活でも、私たちを支える強力な武器となります。
3. Mystery: なぜ不利な状況で「人の本性」が見えるのか?
「その人を知りたければ、不利な時にどう戦うかを見ろ」。コーチは、選手の人間性を理解するための非常に有効な方法を提示しました。試合の流れが悪くなった時、点差が開いた時、人は素の自分をさらけ出します。
急に膝の痛みをアピールしだす「小芝居」。諦めて適当なプレーに終始する態度。これらは、その人の本質的な弱さや他責的な姿勢の表れかもしれません。逆に、どんな状況でも諦めず、道徳的に正しい選択をしようと努める姿は、その人の持つ「勇気」や「誠実さ」を示します。
【中島ノブヨリ】 (00:14:35)
流れが悪くなると突然体の痛みをアピールし出す人。そういう人結構多いんじゃないかなと思います。なのでやっぱり流れが悪い時にの選手のやってることに注目するとすごく人がよくわかりますからね。…大体信頼できる人間かどうかっていうのが分かります。
【中島ノブヨリ】 (00:16:17)
バドミントンは大体あの人間をあの理解するツールとしてかなり優秀だと思うんではい。バドミントンしてる時の様子、特にフリ側になってる時の様子を見て人間理解をしていってみてください。
これは、他者を評価するためだけのツールではありません。自分自身が不利な状況でどう振る舞っているかを客観視すること(メタ認知)が、人間的な成長に不可欠です。コート上での振る舞いは、あなたの「人間としての価値」そのものを映し出す鏡なのです。
4. Practice: 上達の鍵は「観察」と「イメージ」にあり
哲学的な話から一転、話題は具体的な上達論へ。特に強調されたのが「観察」と「イメージ」の重要性です。速い動きを身につけるにはどうすればいいか?その答えは、自分より速い選手、上手い選手を徹底的に見ることでした。
ayako suzuki選手が、海外選手の「アイスマン」の動きを観察することで、前への動きや切り返しのイメージを掴んだというエピソードが紹介されました。多くの選手がボールの軌道(玉筋)ばかりを見てしまいますが、本当に見るべきはポジショニング、フットワーク、体の使い方なのです。
【ayako suzuki】 (01:01:06)
はやぺ(早いペースのノック)の前に行くイメージとかは完全に私アイスマンのイメージですよ。…前に行きながらもなんかキュって止まる。…そこの切り返しのイメージはアイスマンを見てなんか理解できた気がする。
【中島ノブヨリ】 (00:59:35)
やっぱナギーにお勧めしたいのはやっぱ早い人の動きをもっと見ることだよね。見ないと。ヨッシーが始めた頃にね、俺が練習している姿をずっと見てたっていうのが良かったんだろうなと思って。見ろなて言ってないけど。
また、フィジカルトレーニングにおいても、ただこなすのではなく、フォームの質が重要であると指摘されました。スクワットで抵抗せずにスッとしゃがみ、その反動を使って立ち上がる。柔軟性も筋肉の硬さだけでなく、脳が動きを許可する「イメージ」の問題であると解説されました。上達とは、優れた手本を観察し、脳内に正しいイメージを焼き付け、それを自分の体で再現していくプロセスなのです。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回の教室での学びは、バドミントンの枠を超え、人生のあらゆる場面で応用できる普遍的な知恵に満ちていました。特に重要な5つのポイントを振り返ります。
成長は「捨てる」ことから始まる
新しい技術や考え方を取り入れるためには、古い執着やプライドを捨てる勇気が必要。何を残し、何を捨てるかの決断が、あなたの成長角度を決める。
ストイックな理性を武器にする
コントロールできないこと(他人の評価、結果)に心を乱されず、できること(自分の努力、行動)に全力を注ぐ。それが心の平静と最高のパフォーマンスを生む。
不利な時こそ、人の真価が問われる
劣勢の時にどう振る舞うかで、その人の人間性がわかる。苦しい時でも誠実さと勇気を失わない姿勢が、信頼を築き、自分を成長させる。
上達の最短ルートは「観察」と「模倣」
我流に固執せず、優れた選手の動きを徹底的に観察し、そのイメージを脳に焼き付けよう。玉筋ではなく「人」を見ることが、上達への近道だ。
練習は感謝を伝える機会
練習は自己満足のためにあるのではない。自分の成長のために他者の貴重な時間を借りる行為だという認識を持ち、感謝を行動で示そう。
【中島ノブヨリ】 (00:08:03)
練習っていうのはただね、自分が上達したいという自己中な目的のために他者の大切な時間を利用させてもらう行為ですよね。…強くなったのは自分が練習頑張ってきたからだみたいなね、勘違いをする原因になるんじゃないかなと思います。
6. Action: ストイシズム実践チェックリスト
哲学は、実践して初めて力となります。今日の学びを具体的な行動に変えるためのチェックリストです。日々意識して、一つずつ挑戦してみましょう。
ストイシズム実践チェックリスト
7. Closing: 今日から始める「捨てる」生き方
「捨てる」勇気と、感情に振り回されない「ストイシズム」の知恵。今回のオンライン教室で学んだことは、コート上の勝敗を超えて、私たちの人生をより豊かで力強いものにするための羅針盤です。
情報や刺激に溢れ、他者との比較に消耗しがちな現代だからこそ、自分の内側にかっこたる軸を持つことが重要になります。何を捨て、何を大切にするか。自分の判断を信じ、コントロールできることに集中する。そのシンプルな原則を実践するだけで、見える景色は大きく変わるはずです。
【ayako suzuki】 (01:19:21)
ヨッシィ、詰めが早いよ。こういうとき、次を待っとるし。
【中島ノブヨリ】 (01:20:41)
はい、以上です。今日の話面白かったでしょうか?
今日の学びをインプットで終わらせず、ぜひチェックリストの項目を一つでも行動に移してみてください。その小さな一歩が、あなたをより自由で、強く、幸せな場所へと導いてくれるでしょう。