2025年8月5日オンライン教室レポート
格言:そのプライド、成長の翼か足枷か? バドミントンで伸び悩む選手に贈る7つの内省
「プライド」という言葉に、あなたはどんなイメージを持ちますか? 自信や誇りといったポジティブな力でしょうか。それとも、頑固さや見栄といったネガティブな足枷でしょうか。
実はプライドには2つの側面があります。一つは、自身の成長や目標達成を力強く後押しする「内なるプライド」。もう一つは、他者との比較によって自分の価値を確かめようとし、結果として成長を妨げる「見せかけのプライド」です。
もしあなたが「最近伸び悩んでいる」「練習が楽しくない」と感じているなら、無意識のうちに後者の“ダークサイド”に足を踏み入れているのかもしれません。この記事では、成長を阻害する「見せかけのプライド」が引き起こす7つの行動パターンを分析し、そこから抜け出すためのヒントを探ります。
プライドの光と影:成長を促すプライド、阻害するプライド
健全な「内なるプライド」とは、「昨日の自分よりうまくなりたい」「この技術を絶対に習得する」といった、自分自身の成長に向けられたエネルギーです。これは上達に不可欠な原動力となります。
一方で、問題なのは他人の目を気にする「見せかけのプライド」です。「相手より上でなければならない」「下手だと思われたくない」という思考は、他者に対する優越感を求める行動につながります。これは、失敗を恐れ、挑戦を避け、ミスの原因を自分以外に求める心の弱さの裏返しなのです。
真のプライドは「自己ベストの更新」を求め、偽りのプライドは「他者との比較」に依存する。
これから紹介する7つの特徴は、この「見せかけのプライド」が顔を出す瞬間です。自分に当てはまるものがないか、正直に心と向き合ってみましょう。
見せかけのプライドが発する7つの危険信号
1. 基礎打ちで「格上」を演じてしまう
基礎打ちの目的は、フォームの確認や感覚のすり合わせです。しかし、見せかけのプライドが高い人は、ここを「実力差を見せつける場」と勘違いします。わざと厳しいコースを狙ったり、相手が返せないような球を打ったり…。
【成長の足枷】これではミスの応酬になるだけで、質の高い練習にはなりません。相手も同じように厳しい球を返そうとするため、ラリーは続かず、球拾いの時間が増えるだけ。自分の優位性を示したい欲求が、練習の質を著しく低下させているのです。
2. ミスの原因を道具のせいにする
ミスショットをした瞬間、ガット面をポンポンと叩いたり、しきりにラケットの状態を確認したり…。心当たりはありませんか? これは「ミスは自分の技術のせいではなく、道具のせいだ」と思いたい、あるいは周りにそう思わせたいという心理の表れです。
【成長の足枷】言うまでもなく、ミスの99%は自分自身に原因があります。道具のせいにする癖は、自分の技術的な課題から目をそらし、改善の機会を自ら放棄する行為に他なりません。
3. 責任転嫁の視線を送る
ミスをした後、ラケットだけでなく、ライン、天井、照明など、自分以外の何かに視線を送るのも同じパターンです。「ラインが見にくかった」「天井が低くて距離感が…」と、言葉に出さずとも、視線で責任転嫁のメッセージを送っているのです。
【成長の足枷】自分のミスを直視できない心は、いつまで経っても同じ失敗を繰り返します。上達とは、自らの失敗と真摯に向き合うプロセスそのものです。
4. 「決められるくらいなら」と勝負を避ける
相手にスマッシュを決められるのが屈辱的で、「どうせ決められるなら、自分でミスした方がマシ」と考える心理。追い込まれた場面で、安全なロブを上げる選択をせず、一か八かのネット際に沈めるような博打ショットを打ってしまうのが典型です。
【成長の足枷】「決められた」という事実は、相手がうまかったという貴重なデータです。それを分析すれば次につながります。しかし「自分でミスした」という事実は、ただの自滅です。安いプライドのために、貴重な学びの機会をドブに捨てているのです。
5. やられたら「感情」でやり返す
相手に良いショットを決められた直後、サーブレシーブで強引なプッシュを狙ったり、明らかに無理な体勢から強打したり…。冷静さを失い、「名誉挽回」のために感情的なプレーに走るのは危険な兆候です。
【成長の足枷】相手はあなたの焦りを見透かしています。感情的なプレーは視野を狭め、さらなるミスを誘発します。冷静に状況を分析し、戦術を立て直すことこそが真の強さです。
6. 感情の仮面を使い分ける
自分がスーパーショットを決めたときは「当然だ」という風に真顔を装い、逆に相手に鮮やかに決められたときは「本気を出してないだけ」とでも言いたげに薄ら笑いを浮かべる。この態度の使い分けは、周りから見ると滑稽に映ります。
【成長の足枷】感情を偽装することにエネルギーを使うのは、あまりにもったいない。良いプレーは素直に喜び、相手の良いプレーは素直に称える。その方がよほど建設的で、自分自身の精神衛生にも良い影響を与えます。
7. 際どい判定に固執する
ライン際に落ちたシャトルを、アウトの確信がなくても「アウトだと思いたい」「インとコールしてマヌケだと思われたくない」という気持ちから、必死でアウトをアピールしたり、じっと見つめたりする行為です。
【成長の足枷】この行為の根底にあるのも、他者との比較です。1ポイントの判定に固執するよりも、次のプレーに集中する方がはるかに重要です。フェアプレーの精神は、自分自身の心を鍛えることにも繋がります。
結論:偽りの鎧を脱ぎ捨て、真の成長を掴むために
7つの特徴、あなたにはいくつ当てはまりましたか? もし一つでも心当たりがあったとしても、落ち込む必要はありません。それは、あなたが成長できる「伸びしろ」に気づけた証拠です。
「見せかけのプライド」は、弱い自分を守るための鎧のようなもの。しかし、その鎧はあまりに重く、あなたの自由な動きを妨げ、成長の翼を錆びつかせてしまいます。
本当に大切なのは、他人にどう見られるかではありません。昨日の自分より、今日の自分が少しでも前に進めたか。その一点です。自分のミスを認め、課題と向き合い、相手の良いプレーから学ぶ。その謙虚で真摯な姿勢こそが、本物の自信、すなわち「内なるプライド」を育むのです。
そのプライドは、あなたを飛ばせる翼ですか? それとも、縛り付ける足枷ですか?
偽りの鎧を脱ぎ捨て、力を合わせ、共に本当の上達を目指しましょう!
