Phoenix-Aichiオンライン教室
バドミントン初心者が求めるものと「常識」の壁
――心理学から考えるAとBの指導法
オンライン教室レポート: 2025年9月2日
AとB、どちらを欲するのか?
バドミントンを始めたばかりの人が欲する考え方はどちらでしょうか?
A:一般的に言われている考え方や練習方法
- 足を動かせ、ひざを曲げて構えろ、リストスタンドして猫手になるな
- 挨拶、感謝、礼儀、集中、やる気を重視
B:一部の人しか語らないが、深く考えれば合理的な考え方や練習方法
- 足を使うのは後回し、足に頼るな、膝を曲げずに構えろ、猫手も使え
- 挨拶や感謝、礼儀はテクニックにすぎない、集中せずに練習しろ、やる気なんかどうでもいい
PHOENIXではBのような指導を行っていますが、一般的にはAが求められるのではないでしょうか? 初心者は「皆が知っている常識」を理解することで、チームで浮いた存在になることを防ぎたい――そんな思いが背景にあるのかもしれません。
なぜ初心者はAを欲するのか?
心理学的には、初心者がAを選びやすいのは自然なことです。
- 安心感(社会的学習理論)
- シンプルさ(認知負荷理論)
- 仲間意識(所属欲求)
Aは「技術」以上に「集団に入るための入り口」として機能しています。
AからBへ移行できない心理
しかし、Aだけでは必ず壁にぶつかります。そのときにBという合理的な考え方に出会いますが、移行は容易ではありません。
- 努力を否定したくない(認知的不協和)
- 慣れた枠組みを壊せない(スキーマ理論)
- 最初の学びが強すぎる(初期経験の優位性)
結果、Aを長く続けた人ほどBに順応するのが難しくなります。
選手への示唆
1. AからBへ移行する選手へ
Aで得た経験は無駄ではありません。伸び悩みを感じたら、「違う視点=B」に踏み出す勇気が必要です。「AをやってきたからこそBが理解できる」という意識を持つと抵抗が減ります。
2. 最初からBに飛び込む選手へ
Aをすっ飛ばしてBを選ぶことも可能です。その場合、合理性を早く理解できる分、成長スピードは速いでしょう。ただし、A的な「常識」や「礼儀」を軽視すると、チーム内で浮くリスクがあります。だからこそ、Bを選ぶ選手には「テクニックに過ぎないの向こう側」など、真意の理解が必須条件になります。
3. 共通して大事なこと
「AかBか」ではなく、「柔軟に取り入れること」。スポーツだけでなく、人間関係や社会生活でも同じです。
指導者への示唆
- Aを尊重しつつBを導入する。
- 「Aの延長線上にBがある」と伝えることで、心理的抵抗を和らげる。
- 最初からBに飛び込む選手に対しては、合理性を伸ばしながら、人間関係やチーム適応の側面もフォローする。
おわりに
初心者は自然と「A(常識)」を求めます。しかし、そこに留まれば壁にぶつかり、Bの合理性に出会うことになります。
一方、最初からBに飛び込む選手は、成長を加速させられる可能性を持っています。
どちらの道を選んでも大切なのは――
自分の学びを否定せず、新しい考え方を柔軟に取り入れること。
「常識」を知り、それを超える勇気。
それが、選手としても人としても、大きな成長につながるのです。