【格言】心を開く鍵はユーモア、成長の扉を開くは信頼。

指導の常識を覆す、罰や強制に頼らない選手の育て方。2025年9月3日オンライン教室レポート。

雲海に浮かぶ壮大な山脈の頂―困難を乗り越えた先の成長と達成感を象徴する風景

厳しさから信頼へ──指導スタイルの変遷

指導者としての私のキャリアは、反省の連続でした。かつての私は「シャトルを追え!」と声を荒らげ、自らの価値観を選手に押し付ける、典型的なトップダウン型のコーチでした。

しかし、その方法では選手の心は動きません。表面的な服従は得られても、内面からの成長意欲を引き出すことはできなかったのです。今思えば、選手からではなく、選手を通して自分自身が一番学んでいたのかもしれません。

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全ての土台となる「信頼」をどう築くか

指導における全ての土台、それは「信頼」です。私にとって信頼の基準は極めてシンプル、それは選手の「素直さ」に現れます。

  • 信頼度が高い選手:アドバイスを愚直に実行する。
  • 信頼度がさらに高い選手:見本や書籍から、アドバイスの背景にある考え方まで吸収しようとする。

では、素直さがない選手は見捨てるのか?いいえ、決してそうではありません。むしろ、そこからが指導者の腕の見せ所です。私は、どんな選手にも必ず「成長の余地」を残す仕組みを意識しています。

たとえ私の助言を聞かなくても、自らの工夫で大きな成果を出した選手がいれば、私は最大級の賛辞を送り、その瞬間に信頼度を上げます。成長の道筋は一つではない。その多様性を受け入れる懐の深さこそが、信頼を生むのです。

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厳しい言葉を届けるための「ユーモア」という潤滑油

核心を突く厳しいアドバイスは、選手の心に壁がある状態では届きません。だからこそ、私は言葉を交わす前に、必ず選手の「心を整える」ための準備をします。その最強の武器が「ユーモア」です。

たとえば、「〇〇王子」「〇〇姫」と愛称で呼んでみたり、「〇〇市の王子」と少し限定的にして笑いを誘ったり。選手の反応を見ながら、言葉のトーンを微調整します。

これらは単なる冗談ではなく、心のガードを解き、メッセージが浸透しやすくなる土壌を作るための重要な儀式です。選手に笑顔が生まれた後なら、どんなに厳しい言葉も「君を成長させるためのギフト」として素直に受け取ってもらえるのです。

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選手の意識に火を灯す「戦略的な厳しさ」

信頼とユーモアで土壌を耕した上で、私は時に「ゴミのようなラリー」といった、あえて強烈な言葉を選びます。もちろん、人格を否定するためではありません。これは選手の意識レベルを劇的に引き上げるための「ショック療法」です。

プレーの質の現状を曖昧にせず、ハッキリと突きつけることで、選手の心に「このままではいけない」という火を灯すのです。

ただし、厳しい言葉は必ず「問いかけ」とセットで使います。「じゃあ、どうすれば改善できる?」と、解決策を本人に考えさせるのです。もし選手が答えに詰まり、重い空気が流れれば、「迷宮入りかな?」と笑顔で水を向け、思考のプレッシャーを和らげます。厳しさと優しさは、常に車の両輪なのです。

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指導者が目指すべき究極の理想像

私が目指す指導者の究極の姿。それは、「一を聞いて十を知る選手」を短期間で育てられる存在です。手取り足取り教えるのではなく、本質的なヒントを与えるだけで、選手が自ら考え、応用し、道を切り拓いていける。そんな自走できる人材を育成することこそ、私の使命だと考えています。

その理想を実現するために、「信頼」「問いかけ」「ユーモア」「厳しさ」という4つの要素を、選手の個性や状況に応じて自在に組み合わせる。この終わりなき探求の先にこそ、真の指導があると信じています。

私は自分を「誇らしい指導者」と思ったことはありません。理想があまりに高いからです。しかし、その「理想との距離」を見つめ続ける限り、私は指導者として成長し続けられるはずです。

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最後に、あなたへの問いかけです

信頼できる人と、まだ信頼できない人。
素直さで伸びる人と、独自の工夫で結果を出す人。

あなたが指導者なら、どちらを優先して育てますか?
そして、その先にどんなチームの未来を描きますか?

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