2025年9月7日オンライン教室レポート:「人を悪く言わない人を信じるな」―常識を疑う勇気が成長を加速させる
DATE: 2025年9月7日
1. Opening: 「人を悪く言わない人」を信じるな — なぜ心地よい言葉に罠があるのか?
この日のオンライン教室は、私たちの常識を根底から揺さぶる、衝撃的な一言から始まりました。それは「人を悪く言わない人を信じるな」という、一般論とは真逆の提言です。
多くの人は「人の悪口を言うべきではない」と教えられて育ちます。しかしコーチは、誰のことも悪く言わないという態度は、裏を返せば「本心を隠している」ことの現れだと指摘します。本当に信頼関係を築くには、腹を割って話すことが不可欠。耳障りの良い言葉だけを並べる人は、実は自分を守っているだけなのかもしれません。
【コーチ】 (09:36)
人を悪く言わない人を信じるな。これは日本で言ってる人少ないんじゃないかなと。ほとんどの人言ってないんじゃない?これ私ぐらい。…人を悪く言わない人は信頼できないってね。
【コーチ】 (10:45)
私の場合はもう人を悪く言わない人は信頼できないっていうことですね。つまりは本心を隠してるっていうことなんですよね。あ、腹を割って話さない人なんだなっていうね。信頼できないっていう風に思ってますね。
もちろん、常に誰かを批判しろということではありません。重要なのは、その姿勢の裏にあるものを考えること。心地よいだけの関係性は、本当に健全なのでしょうか?この問いかけが、今回の教室全体のテーマとなりました。
今日のKey takeaway
常識を疑う勇気を持つこと。心がざわつく意見や、今までの当たり前と違う言葉にこそ、成長のヒントが隠されている。誰もが口にする心地よいだけの言葉は、思考停止のサインかもしれない。
2. Deep Dive: 「認知的不協和」を使いこなせ — 心のざわつきを成長に変える3ステップ
「人を悪く言わない人を信じるな」という言葉に、心がざわついた人もいるかもしれません。コーチはこの状態を「認知的不協和」と呼び、成長の絶好のチャンスだと語ります。認知的不協和とは、自分の信じていることと矛盾する情報に触れたときの、不快な感情のことです。
多くの人はこの不快感を避けようと、耳障りの良い「凡庸な意見」に流れてしまいがちです。しかし、その「ぬるま湯」は思考を停止させ、成長の機会を奪います。コーチは、この心の葛藤を成長の糧に変えるための3つのステップを提示しました。
価値観を更新する3つの行動ステップ
- 言葉を捕獲する:心がざわついた言葉、違和感を覚えたフレーズをすぐにメモする。
- 「なぜ?」で深掘りする:なぜその言葉に引っかかったのか?自分のどの信念と対立するのかを考える。
- あえて異物に触れる:自分とは異なる意見や、普段は読まない分野の本、合わないタイプの人と意識的に接触し、自分の価値観の枠を強制的に拡張する。
【コーチ】 (15:39)
人が成長するチャンスなんじゃないか。認知的不協和と言いますね。これは内なる世界に小石が投げ込まれたようなものです。波紋が広がって今まで当たり前と思ってた土台が揺らぎ始めます。これが大切なんだよね。
【コーチ】 (18:04)
しかしそれは思考を停止させ成長の機械を奪うぬるま湯でしょうということです。
心地よいエコーチェンバーから一歩踏み出し、あえて葛藤の中に身を置く勇気。それこそが、凝り固まった価値観を打ち破り、新しい自分に出会うための鍵となるのです。
3. Case Study: 敗者審判とタッチネット問題 — レベルの低い環境から脱出せよ
話題は、試合での具体的な問題へと移ります。特に、市民大会などで見られる「敗者審判」の質の低さ、とりわけ明らかなタッチネットが見過ごされる問題が取り上げられました。
ある試合で、選手がネットに触れているにもかかわらず、主審がそれを指摘せず試合が終了してしまった動画が共有されました。コーチはこの現象を、単なる審判の技術不足ではなく、より根深い問題だと指摘します。それは「誰からも嫌われたくない」という自己保身と、公平さよりもその場の空気を優先する姿勢です。
【ヨッシー, コーチ】 (23:54)
【コーチ】その審判はとんでもないことなんだけど、ヨッシーにはもうそんなレベルの低いとこでわちゃわちゃやってないで、とっととそんなゴミのようなレベルから脱出しろよって言いたいですよね。弱いやつってやっぱり主審のレベルも低いからね。もうそういうゴミのような人たちがいっぱいいるわけでしょ。だからさっさとレベル上げましょうよってことです。基本的にレベルが低ければ低いほどゴミだからね。
【コーチ】 (26:19)
タッチネットなどを取れない主審の心境を想像してみましょう。なんで取れねえんだよってね。…自分が怒られたくないとかを優先するんでしょうね。おそらくね。はい。自分さえよければいい。我が身可愛さですよね。
コーチの言葉は厳しいですが、本質を突いています。レベルが低い環境では、技術だけでなく、人間性や公平性のレベルも低いことが多い。不公平な状況に文句を言うだけでなく、自分自身が実力をつけて、そんな環境から一刻も早く抜け出すことこそが、最も効果的な解決策なのです。
4. Game Psychology: 根性派 vs 回し系 — 相手の心を揺さぶる心理戦術
バドミントンは技術や体力だけでなく、心の戦いでもあります。コーチは、相手のタイプを見極め、戦術を使い分ける心理戦の重要性を説きました。特に対照的な2つのタイプ、「根性派」と「回し系」への対処法は必見です。
相手のタイプ別・心理的アプローチ
【根性派(ガッツでねじ込んでくるタイプ)】への対処法
- 絶対に煽らない:「何くそ」と思わせると、さらに粘り強くなるため逆効果。
- 下から持ち上げる:「うわ、今のマジ無理」「完全にやられてた」とパートナーに聞こえるように話し、相手を気分良くさせる。油断を誘い、ミスを引き出す。
【回し系(配球やテクニックで崩すタイプ)】への対処法
- 少しだけ煽る:このタイプは根性がなく、プライドが高いことが多い。少しイラっとさせることで冷静さを失わせる。
- 脳を揺さぶる:「いつもお世話になります!」「ごっつあんです!」のようなグレーゾーンの声かけで相手の思考を乱す。厳しいコースを狙うあまり、ミスが増える。
【コーチ】 (56:48)
根性派の人って何くそって思わしたらやばいんですよ。だから上から目線で行くとかバカにするのは危険。そっち系は控えてください。…根性派だなと思ったら下から持ち上げて持ち上げて…くすぐってあげてください。
【コーチ】 (59:06)
こういう風に回し系の人はちょっとイラっとさせるのが効果的…そうすると回し系の人ってより狙うからミスるんですよ。
ただがむしゃらにプレーするのではなく、相手の心を読み、罠を仕込む。試合巧者になるためには、このような狡猾さも時には武器となるのです。
5. Video Analysis: 鈴木選手の「ミサイルスマッシュ」— キャラ変が試合の流れを変える
教室の後半では、実際の試合映像を分析。特に注目されたのが、鈴木選手のプレーの変化でした。かつてはパワー不足が課題とされていましたが、この日の映像では、相手を驚かせるような速くて重い「ミサイルスマッシュ」を連発していました。
この「キャラ変」とも言える一撃が、試合に与える影響は絶大です。コーチはその心理的効果を次のように解説します。
【コーチ】 (1:03:51)
ああ、これじゃない。これ、これだよ。ミサイルスマッシュ。すごい速くない?これ…相手びっくりしたと思うよ。こういうのを1発入れとくだけで違うんだよね。
【コーチ】 (1:05:05)
1本いいの入ったらあ、自分とこにこうあげてこない。これで若様側(パートナー側)にね、あげたくなってくるよなとかさ。
強力なスマッシュを一本見せるだけで、相手の配球の選択肢を狭めることができます。「あそこには上げたくない」と思わせることで、パートナーへの負担を減らし、試合展開を有利にコントロールできるのです。自分のプレースタイルを固定せず、時に相手の意表を突く「キャラ変」を仕掛けること。それが、膠着した試合を動かすきっかけになります。
6. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回の教室は、単なるバドミントンの技術論に留まらず、物事の本質を捉え、人間的に成長するための深い洞察に満ちていました。特に重要な5つの学びを振り返ります。
「悪く言わない人」の裏を見抜け
耳障りの良い言葉だけを信じるな。本心を隠し、自分だけ嫌われないように立ち回る「傲慢さ」が隠れている可能性を疑おう。真の信頼は腹を割って話すことから始まる。
心の「ざわつき」は成長のサイン
自分の常識と違う意見に触れた時の不快感(認知的不協和)から逃げないこと。その葛藤こそが、凝り固まった価値観を打ち破り、成長するための絶好の機会だ。
環境が自分を定義する
不公平や不誠実がまかり通る「レベルの低い」環境にいるなら、文句を言うよりまず実力をつけろ。自らレベルを上げ、その環境から脱出することが最善の策である。
相手のタイプで戦術を変えろ
全ての相手に同じ戦い方は通用しない。「根性派」は持ち上げて油断させ、「回し系」は煽って冷静さを奪う。相手の心理を読んで戦う狡猾さも強さの一部だ。
一点の「キャラ変」が流れを変える
自分のプレースタイルに固執せず、時に相手の予想を裏切る一撃を放て。たった一本の「ミサイルスマッシュ」が相手の心理に影響を与え、試合の主導権を握るきっかけになる。
【コーチ】 (27:27)
悪口を言わないイコール美しい人だと思い込んでるよね。結構多くないですか?…悪口言わないって要は自分が可愛いってことでしょ。人にね、「この人は悪口言わないようないい人」だと思われたいから、言わないわけでしょ。そういうの、ずるいよなって思う。
7. Action: 「常識を疑う」習慣チェックリスト
学んだことは、行動に移して初めて血肉となります。今日から始められる具体的なアクションリストで、自分の「当たり前」を揺さぶる習慣を身につけましょう。
「常識を疑う」習慣チェックリスト
8. Closing: 今日の葛藤を、明日の強さに
「人を悪く言わない人を信じるな」。この一つの言葉から始まった今回の教室は、心地よい常識の「ぬるま湯」から抜け出し、あえて葛藤の中に身を置くことの重要性を教えてくれました。それは、バドミントンのコート上での心理戦から、審判問題に見る組織の健全性、そして自分自身の価値観のアップデートに至るまで、あらゆる側面に通じる普遍的なテーマです。
心がざわついたこと、違和感を覚えたこと。それらを無かったことにするのではなく、大切に持ち帰り、じっくり考えてみてください。その思考の先にこそ、本当の成長が待っています。
【参加者】 (1:10:07)
ありがとうございました。
【ナギー】 (1:10:07)
ありがとうございました。
【コーチ】 (1:10:07)
はい、ではまた失礼します。
今日の葛藤が、明日のあなたをより強く、より深くするはずです。次回のオンライン教室で、また新たな視点を発見できることを楽しみにしています。