Phoenix-Aichi オンライン教室

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広報担当:ミナト

書籍レポート:Deep Skill – 人と組織を動かす深層の技術

こんにちは! Phoenix-Aichiオンライン教室、広報担当のミナトです。

突然ですが、皆さんはこんな経験ありませんか?

「完璧な企画書を作ったのに、上司が首を縦に振ってくれない…」
「プロジェクトを進めたいのに、関係各所の調整だけで疲弊してしまう…」
「自分の方が正しいことを言っているはずなのに、なぜか評価されない…」

もし一つでも当てはまるなら、今日ご紹介する本は、あなたのビジネス人生を劇的に変える「最強の武器」になるかもしれません。

今回取り上げる書籍は、石川明氏の著書『Deep Skill(ディープ・スキル)』です。

MBAで習うようなロジカルシンキングやマーケティング知識といった「表層のスキル」ではなく、もっと深く、もっとドロドロとした人間社会で生き抜くための「深層のスキル」。これさえあれば、あなたの素晴らしいアイデアは、もう二度と「お蔵入り」になることはありません。

それでは、組織の荒波を乗り越えるための「21の技術」のエッセンスを、限界までわかりやすく解説していきます!

1. そもそも「Deep Skill」とは何か?

私たちは普段、「スキルアップ」というと何を思い浮かべるでしょうか? プログラミング、英語、財務会計、マーケティング…。これらは非常に重要ですが、本書ではこれらをあくまで「武器」の一部に過ぎないと位置づけています。

どんなに鋭い「剣(専門スキル)」を持っていても、それを振るう「場所(組織)」を確保し、共に戦う「仲間(協力者)」を集められなければ、戦には勝てません。

💡 キーワード解説:Deep Skill(ディープ・スキル) 人間心理と組織力学に対する深い洞察に基づき、人と組織を巧みに動かす「実行力」のこと。
簡単に言えば、「正論を通すために、あえて人間臭い泥臭さを戦略的に使いこなす力」です。

著者は断言します。「仕事ができる人」とは、単に知識がある人ではなく、このディープ・スキルを使って「物事を前に進められる人」のことだと。

2. 「いい人」を卒業し、「したたかな人」になれ

ディープ・スキルを身につけるための第一歩。それは、マインドセットの変革です。

多くの真面目な人は「礼儀正しく」「嘘をつかず」「謙虚」であろうとします。これは素晴らしいことで、ディープ・スキルの大前提となる「信頼資産」を貯めるために不可欠です。

しかし、それだけでは「都合のいい人」で終わってしまいます。

信頼の上に「戦略」を乗せる

本書が提唱するのは、「誠実さ」と「したたかさ」のハイブリッドです。

  • ベースは誠実に、嘘をつかず、信頼を積み上げる。
  • しかし、その信頼を武器に、時には人の心理を利用し、戦略的に立ち回る。

「ずる賢さ」ではありません。「したたかさ(強かさ)」です。自分の身を守り、かつプロジェクトを成功させるためには、きれいごとだけでは済まない瞬間があるのです。

3. 対上司:あなたは「脚本家」になるべきだ

組織で何か新しいことを成し遂げるには、強力な後ろ盾(上役)が必要です。しかし、上司も人間。「はしごを外される(責任を押し付けられる)」リスクは常にあります。

ここで多くの人は「上司に裏切られた!」と怒りますが、ディープ・スキルの持ち主は違います。「人間心理とはそういうものだ」と受け入れ、先手を打ちます。

上司を「逃げられない状況」にする魔法の言葉

例えば、重要なプレゼンの場でこう言います。

「本件につきましては、日頃からご指導いただいている〇〇部長より、一言頂戴したく思います」

あるいは、社内報のインタビューに自分ではなく上司を出してしまうのです。

こうすることで、上司は「このプロジェクトの当事者・後見人」として公に認知され、もはや「知らなかった」「君が勝手にやった」とは言えなくなります。これを本書では、自らはスポットライトを浴びる「俳優」にならず、筋書きをコントロールする「脚本家」のポジションを取ると表現しています。

4. 優柔不断な上司を動かす「3ステップ」

「いい企画だと思うけど、今は時期尚早かな…」
このように決断を先延ばしにする上司、いますよね? そんな時、どう背中を押せばいいのでしょうか。

【ステップ1】 不安を取り除く(安心材料)
アンケートやデータを見せ、「もし失敗しても、このデータに基づいた判断だったと言い訳できますよ」という武器を上司に渡します。
【ステップ2】 小さな脅し(リスク提示)
「今やらないと競合に先を越されます」「ユーザーが離れます」と、現状維持こそがリスクであることを伝えます。
【ステップ3】 退路を断ち、背中を押す
「予算はこれ以上かかりません(ノーリスクです)」と伝え、最後に決断した先の「ワクワクする未来」を見せてあげます。

上司が決めないのは、能力がないからではなく「怖い」からです。その恐怖心をケアしつつ、外堀を埋めていくのがディープ・スキルです。

5. 組織力学:「誰もいない場所」でトップになれ

組織の中で発言権を持つには、「実績」が必要です。しかし、真正面から優秀なライバルと戦う必要はありません。

ポジショニング戦略

著者の石川氏はリクルート時代、希望していなかった営業部に配属されましたが、そこで「圧倒的ナンバーワン」になることで希望部署への切符を掴みました。その後も、社内で「重要だけれど、誰も手を付けていない領域」を探し出し、そこで第一人者になることで独自のポジションを築きました。

「〇〇のことなら、あいつに聞け」
社内でそう思われた瞬間、あなたの「存在感(プレゼンス)」は確立され、組織を動かす力が飛躍的に高まります。

6. 企画の極意:上司の脳内を「マトリックス」化せよ

新規事業の指示は往々にして曖昧です。「何か新しいこと考えてよ」。
これを真に受けて闇雲に提案しても、「なんか違うんだよな」と却下されるのがオチです。

ここで必要なのは、対話を通じて上司の頭の中にある「GOODゾーン(あり)」「NGゾーン(なし)」を明確にすることです。その際、以下のようなマトリックスを脳内に描いて会話をリードしましょう。

  既存市場(いつもの客層) 新規市場(新しい客層)
既存製品
(いつもの商品)
守りの領域
(改善・改良)
市場開拓
(売り先を変える)
新規製品
(新しい商品)
新商品開発
(クロスセル)
★ 新規事業
(完全な未知)

「部長、既存のお客さんに新しいものを売るイメージですか?(左下)」
「それとも、全く新しいお客さんを開拓しますか?(右上)」

このように問いかけることで、「そこまで冒険はしたくない(右下はNG)」や「今回は攻めたい(右下こそがGOOD)」といった境界線が見えてきます。
上司の思考を「言語化」してあげること。これも優れた「企て者(プランナー)」の条件です。

7. 人間力を磨く:「好き嫌い」を超えて

最後に、最も難しいスキルかもしれません。「嫌いな人とどう働くか」です。

組織にはどうしても合わない人がいます。しかし、感情的に対立してはプロジェクトは進みません。著者は提案します。

「嫌悪感」を「共感」へシフトせよ。

嫌な奴を見たとき、「なんて嫌な奴だ」と思うのではなく、「この人はなぜこんな態度をとるのだろう? どんな不安や悲しみを抱えているのだろう?」と、相手の背景にある「人間の哀しみ」に想いを馳せるのです。

「家で居場所がないのかな」「プレッシャーで押しつぶされそうなのかもしれない」
そうやって客観的に、少し哀れみを持って相手を見ることで、感情のスイッチを切り替え、冷静にビジネスライクな対応が可能になります。


広報担当ミナトの「熱血」読書感想文

「正直者がバカを見る世界なんて、終わらせてやる。」

この本を読み終えた瞬間、私の心に浮かんだのはそんな熱い決意でした。

私たちは学校で「正解の出し方」は教わりました。でも、「その正解を、わからず屋の大人たちにどう納得させるか」は誰も教えてくれませんでした。だからこそ、多くの優秀な若手や、情熱ある社会人が、理不尽な壁の前で涙を呑んできたのです。

この『Deep Skill』は、そんな私たちへの「救済の書」であり、同時に「反撃の書」でもあります!

「したたか」であれ、という言葉に抵抗がある人もいるかもしれません。でも、考えてみてください。あなたの持っている素晴らしいアイデアや、社会を良くしたいという想いが、ただ「伝え方が下手だった」というだけで葬り去られるのは、社会にとって最大の損失ではありませんか?

真に誠実であるならば、自分の想いを実現するために、泥をかぶる覚悟を持て。
著者の石川さんは、そう叫んでいるように聞こえました。

「人間心理」と「組織力学」。この二つの荒波を乗りこなすサーフボードを手に入れた今、もはや怖いものはありません。さあ、パソコンの前で悔し涙を流しているあなた。この本を読んで、一緒に「脚本家」になりましょう。そして、世界を、組織を、あなたの手で面白く書き換えてやりましょう!

(広報担当:ミナト)

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