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書籍レポート:「反省」以前の子どもたち。 『ケーキの切れない非行少年たち』が暴く、見えない格差の正体

 

 

2026/02/10 書籍レポート

書籍レポート:「反省」以前の子どもたち。
『ケーキの切れない非行少年たち』が暴く、見えない格差の正体

Phoenix-Aichiオンライン教室 広報担当:旭(アサヒ)
地平線から昇る朝日と広がる空―新しい理解と希望の夜明けを象徴する風景

こんにちは! Phoenix-Aichiオンライン教室の広報担当、旭(アサヒ)です。

突然ですが、皆さんに質問です。
「丸いケーキを3人で公平に分けてください」と言われたら、どう切りますか?

おそらく、中心から「ベンツのマーク」のように3等分するでしょう。私たち大人にとって、それは造作もないことです。

しかし、世の中にはこの「当たり前」がどうしてもできない少年たちがいます。円を縦に割ったり、ぐちゃぐちゃな線を引いたりして、本気で悩んでしまう。
そして彼らの多くが、誰にもその苦しみを気づかれないまま、「反省以前の子ども」として少年院に行き着いている事実をご存知でしょうか?

本日は、宮口幸治氏の衝撃のベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』を基に、教育と支援のあり方を根底から覆すレポートをお届けします。

第1章:衝撃の事実「世界が歪んで見えている」

著者は児童精神科医として、医療少年院で多くの非行少年たちと向き合ってきました。そこで著者が目にしたのは、凶悪犯罪に手を染めた少年たちが、「ケーキを等分に切る」ことすらできないという現実でした。

彼らはふざけているのではありません。認知機能(見る・聞く・想像する力)の弱さゆえに、世界が物理的に歪んで見えているのです。

「反省しろ」「相手の気持ちを考えろ」
そう言われても、彼らにはそのための「認知の土台」がありません。
それはまるで、目の悪い人に「裸眼で遠くの文字を読め」と強要するようなものなのです。

見る力が弱いから、相手の表情を読み間違える。
聞く力が弱いから、指示を理解できずトラブルになる。
想像する力が弱いから、被害者の痛みがわからない。

彼らに必要なのは、反省文を書かせることではなく、まず「正しく世界を見るメガネ」を渡すことだったのです。

第2章:クラスに5人はいる? 「境界知能」という盲点

なぜ彼らは、適切な支援を受けられずにここまで来てしまったのでしょうか?
そこには、教育現場や社会が見落としている「境界知能」というグレーゾーンが存在します。

KEYWORD: 境界知能 (Borderline Intelligence)

知的障害(IQ70未満)と平均的な知能(IQ85以上)の間に位置する、IQ70〜84程度の領域のこと。かつては支援対象でしたが、定義の変更により「障害ではない」とされ、支援の網から漏れやすくなっています。

統計的に見ると、この境界知能に該当する子どもは約14%存在します。これを35人のクラスに当てはめて計算してみましょう。

$$ 35 \text{人} \times 0.14 \approx 5 \text{人} $$

つまり、どのクラスにも下から5人程度は、何らかの知的なハンディを抱えている可能性があるのです。
彼らは通常のクラスに在籍し、授業についてもいけず、先生からは「やる気がない」「ふざけている」と誤解され続けます。その結果、自尊心を失い、非行グループに居場所を求めてしまうのです。

第3章:負の連鎖「4次障害」を止めろ

著者は、彼らが犯罪に至るプロセスを「4次障害」という言葉で表現しています。

  • 1次障害: 生まれつきの認知機能の弱さ。
  • 2次障害: 周囲から理解されず、適切な教育を受けられずに学校で孤立すること。
  • 3次障害: 非行化して少年院に入っても、認知機能の問題が見過ごされ、効果のない矯正教育を受けること。
  • 4次障害: 社会に出てからも理解されず、仕事が続かず、貧困から再犯に至ること。

特に胸が痛むのは、彼らが「普通に働きたい」と願っても、認知機能の弱さや不器用さが原因で、仕事をクビになってしまう現実です。
「やる気」はあるのに、能力的なミスマッチで社会から弾き出されてしまう。ここを救わなければ、再犯は防げません。

第4章:犯罪者を「納税者」へ。その経済効果

「情け」の話だけではありません。これは私たちの「税金」の話でもあります。
受刑者を一人養うには、年間約300万円以上のコストがかかります。一方で、彼らが更生し、社会で働くようになれば、税金を納める側になります。

$$ 300\text{万円(コスト)} + 100\text{万円(納税)} = 400\text{万円の価値} $$

一人の少年を救うことは、社会にとって年間400万円以上のプラス効果を生むのです。
逆に言えば、彼らを放置することは、毎年莫大な国力をドブに捨てているのと同じこと。「困っている子ども」への支援は、日本最強の投資なのです。

第5章:光を灯すトレーニング「コグトレ」

では、どうすればいいのか? 著者は具体的な解決策を提示しています。
それが「コグトレ(Cognitive Training)」です。

これは、認知機能を構成する5つの要素(記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断)を、パズルやゲーム感覚で鍛えるトレーニングです。
「勉強」というよりは「脳の体操」。これなら、勉強にアレルギーのある子どもたちでも楽しく取り組めます。

朝の会のたった5分でいい。これを行うことで、子どもたちの「見る力」「聞く力」が養われ、世界がクリアに見えるようになっていくのです。

まとめ:私たちにできる「想像力」

『ケーキの切れない非行少年たち』は、単なる非行少年の本ではありません。
私たちの社会の「不寛容さ」にメスを入れる本です。

あなたの周りにも、「何度言ってもわからない人」はいませんか?
その人は、わざとやっているのではなく、ただ「見えていない」だけかもしれない。
そう想像するだけで、あなたの言葉選びは変わるはずです。

「厄介な人」を「困っている人」へ。
その視点の転換こそが、誰もが生きやすい社会への夜明けとなるのです。

Phoenix-Aichi広報・旭の熱血感想録

正直に告白します。この本を読み終えたとき、僕は震えが止まりませんでした。

僕たちは今まで、どれだけ多くの子どもたちを「誤解」という牢獄に閉じ込めてきたのでしょうか?
「反省しろ!」「なんでわからないんだ!」
そう叫ぶ前に、彼らがそもそも「反省できる土台」に立っているのか、確認したことすらなかったのです。

著者が紹介した神戸の事件の事例。犯人が自分の身元につながる証拠を残してしまった理由。それは「大胆不敵」だったからではなく、「後先を想像する力が極端に弱かったから」でした。
この事実は、僕たちがニュースを見て抱く「理解不能なモンスター」というイメージを粉々に打ち砕きます。

彼らはモンスターじゃない。適切な「コンパス」を持たずに荒野に放り出された、迷子の子どもたちだったんです。

でも、絶望する必要はありません。僕たちには「コグトレ」という地図があり、「認知」という新しい視点があります。
この本に出会えたこと、それがすでに希望の始まりです。
知ることは、救うこと。

さあ、今日から僕たちの「目」を変えましょう!
そうすればきっと、彼らの未来も、この国の未来も、もっと明るく変えられるはずです!

Phoenix-Aichiオンライン教室
広報担当 旭(アサヒ)
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