【書籍記事】天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け

「理論」よりも「情熱」が信条の熱血広報。好きな言葉は「限界突破」。
今日は、一杯のラーメンから学んだ「世界一熱いビジネス論」を皆さんにお届けします!
こんにちは! Phoenix-Aichiオンライン教室、広報担当のダイスケです。
皆さんは、何か一つのことに「熱狂」した経験はありますか?
寝ても覚めてもそのことを考えてしまう。気づけば足がそこへ向かっている。そんな魔法のような引力を持つ場所。
今日ご紹介する本は、まさにその「魔法」の正体を解き明かした一冊、『天下一品 無限の熱狂が生まれる仕掛け』です。
「天下一品? あのドロドロのスープの?」
そうです! でも、ただのラーメン店の話だと思ってページを閉じないでください。これは、ラーメンの話を超えた、「愛されるブランドの作り方」であり、「逆境を覆す人生哲学」の書なのです。
マーケティングを学ぶ学生の皆さん、そして組織の在り方に悩む社会人の皆さん。
なぜ、天下一品にはこれほどまでに熱狂的なファン(信者と言ってもいい!)がいるのか。
その秘密を、私ダイスケが限界までわかりやすく、そして熱く解説していきます!
1. 唯一無二の「絶対的価値」を作る
ビジネスにおいて最も強い状態とは何でしょうか?
それは、「競合がいない」ことです。
7割以上が指名する「こってり」の正体
天下一品の代名詞といえば、あの濃厚なスープ「こってり」です。
本書によると、来店客のなんと70〜80%が、メニューも見ずに「こってり」を注文するそうです。
一般的な飲食店では、メニューの分散が起きます。しかし、天下一品では「こってり」一強。これが意味することは、お客さんは「ラーメン」を食べに来ているのではなく、「天下一品というジャンルの食べ物」を食べに来ているということです。
「独自の売り」のこと。競合他社には真似できない、その商品だけの強み。天下一品の「こってりスープ」は、まさに世界最強レベルのUSPと言えます。
なぜ真似されないのか?
ラーメン業界は「パクリ(模倣)」が横行する世界です。流行りの味が出れば、すぐに似たような店が乱立します。
しかし、天下一品の完全なコピー店を見たことがありますか? ほとんどないはずです。
その理由は、「手間と規模が常軌を逸しているから」です。
あのスープの製法は、社内でもわずか数人しか知らないトップシークレット。鶏がら、野菜を煮込むその工程は、あまりに巨大な設備と特殊なノウハウが必要なため、個人店レベルでは物理的に再現不可能なのです。
「誰も真似できないものを作れば、戦わずして勝てる」。
これが、ビジネスの鉄則であり、天下一品が50年以上愛され続ける最大の理由です。
2. ルールよりも「愛」を優先する柔軟性
私がこの本を読んで最も震えたのが、このエピソードです。
組織が大きくなればなるほど、「マニュアル」や「ルール」が絶対になりがちです。しかし、天下一品は違いました。
大ヒット商品「こってり天津飯」誕生のドラマ
2023年に発売され、SNSでも話題沸騰となった「こってり天津飯」。天津飯の餡の代わりに、あのこってりスープをかけた悪魔的なメニューです。
実はこれ、ある店舗の「ルール違反」から始まったのです。
- 発端: ある常連客が「天津飯にこってりスープをかけてほしい」と無茶なリクエストをした。
- 対応: 店長は顔なじみだったので、こっそりサービスで提供した(本来はNG)。
- 拡散: その客が感動し、YouTubeで紹介して広まってしまった。
通常の本部ならどうするでしょうか?
「勝手なことをするな!」と店を叱責し、客に「無断掲載はやめて」と削除依頼を出して終わりでしょう。
実際、最初は本部から注意が入りました。しかし、ここからの展開が凄いのです。
報告を受けた社長は、なんと自ら「そんなにうまいのか?」と試食を行ったのです。
そして一言。「これはうまい!」。
その場で評価を覆し、正式に商品化を決定。さらに、最初に注意を受けた常連客に連絡を取り、CMなどのプロモーション協力を依頼したのです。
企業の論理や都合よりも、顧客の利益や満足度を最優先にする考え方。口で言うのは簡単ですが、ルールを破ってまで実行できる企業は稀です。
「迷惑な出来事」を「ハッピーエンド」に変えてしまうこの柔軟さ。
「ルールはお客さんの笑顔のためにある」という本質を、彼らは理解しているのです。
3. 逆境をチャンスに変える「転換力」
変化を恐れる老舗企業が多い中、天下一品は常に進化しています。
コロナ禍が生んだ発明「家麺(いえめん)」
創業者はかつて、「ラーメンは店で食べるのが一番うまい。持ち帰りなんて邪道だ」と考えていました。
しかし、コロナ禍で来店が難しくなった時、彼らはプライドを捨てて考えました。
「どうすれば、家でも天下一品の味を楽しんでもらえるか?」
そこで開発されたのが、鍋一つで作れる「家麺」です。
ただのテイクアウトではありません。一人暮らしの学生や、狭いキッチンの家でも作れるように、「スープと一緒に麺を煮込んでも美味しくなる専用麺」を開発したのです。
「店に来い」というこだわりを捨て、「お客さんの生活に寄り添う」形へ。
この発想の転換が、新たなファン層を開拓しました。
4. 現場に神は宿る
最後に、トップの姿勢について触れなければなりません。
毎年10月1日は「天下一品の日」。
木村会長(創業者)は、この日、自ら店舗を回ります。そして、行列に並ぶお客さん一人ひとりに「待たせてごめんな」と声をかけ、なんと自らの手でクーポン券を配るのです。
スタッフが「私がやります」と言っても、「わしがやる」と譲らないそうです。
会長は知っているのです。真実(インサイト)は会議室のデータの中にはなく、現場のお客さんの表情の中にあるということを。
この泥臭いまでの現場主義。これこそが、巨大チェーンになっても「温かみ」を失わない最大の理由です。
