ミスをしたら思いきりイライラしろ!プレッシャーを成長の燃料に変える思考法 – 2025年7月26日オンライン教室レポート
DATE: 2025年7月26日
1. Opening: 「のびのび」の幻想を捨てよ。成長はプレッシャーの中にこそある
「のびのびやらした方が強くなる」—世間ではよくそう言われます。しかし、コーチは真っ向からその考えに異を唱えます。バドミントンは、のびのびやったらうまくならない。むしろ、ミスをしたら死ぬぐらいの緊張感の中でこそ、選手は真の成長を遂げるのだと。
この日の教室は、まさにその緊張感の重要性を体現するような内容で幕を開けました。楽に、楽しくやるだけでは見えない景色がある。プレッシャーのかかる環境に身を置き、そこでいかにもがき、戦い抜くか。そのプロセスこそが、選手を別次元へと引き上げるのです。
【コーチ】(09:56)
ヨッシーとか緊張感ものすごいあったんじゃないですか。今日ね、組んで。…この緊張感辛いなって思うかもしれないけど、これ、ずっとやってると、全然違ってくるからね。バドミントンのレベルが。
【コーチ】(16:34)
特にやっぱ悪い流れの時にどれだけ上やれるかだからさ。大事なのって。…悪い流れの時に取るだけやるから。鈴木選手どんどん突っ込んで。悪い時に叫んでます。かっこよかったですね。
良い時だけ頑張るのは誰にでもできます。しかし、本当に強い選手は、流れが悪い時、苦しい時にこそ真価を発揮します。その逆境を「練習」と捉え、全力で喰らいついていく姿勢。それこそが、揺るぎない自信と実力を育むのです。
今日のKey takeaway
「のびのび」という幻想を捨てよ。真の成長はプレッシャーの中にこそある。快適な環境は停滞を生む。あえて厳しい環境に身を置き、1本1本に魂を込める緊張感が、心と技術を次のレベルへ引き上げる。
2. Deep Dive: 感情は「発生」させるな、「選択」せよ
前回の教室の振り返りとして、「負けず嫌いを演じろ」というテーマが取り上げられました。これは、感情は自然に湧き上がるものではなく、自ら「選択」できるという考え方に基づいています。
恥ずかしがり屋の自分、サイコパスな自分、いい人のふりをする自分。どんな自分でも「演じて」みればいい。試合に負けて悔しいと思わないなら、あえて「思いっきりイライラしてみる」。その演技が、失敗から目を背けず、次へのエネルギー源に変えるきっかけとなるのです。
【コーチ】(12:16)
ミスをしたら思いきりイライラしようね。…ポーカーフェースが最正解とは限らないですよと。…感情をおしころすのではなく、むしろエネルギーとして使えましょう。
【コーチ】(13:25)
悔しがることによって、ま、これ大変なことをやったなって思うんですけど、すかしてる人ってまあいっかってね、どんどん軽く考えちゃうと思うんですよ。…だから何度も同じことを繰り返すってことですよね。
イライラや悔しさを表現することは、ミスを「重大ごと」として自分に刻み込み、二度と同じ過ちを繰り返さないための儀式でもあります。また、ネガティブな流れを断ち切り、戦う姿勢を内外に示す効果も。感情をコントロールし、成長の道具として使いこなす。それができる選手は、ただ技術があるだけの選手よりも、はるかに手強い存在になります。
3. Mystery: なぜコーチはキリスト教を語るのか?—普遍の教えに学ぶ成長のヒント
この日の教室では、バドミントンの戦術論から一転、キリスト教の歴史や教えについて深く語られる時間がありました。一見、唐突に思えるこのテーマ。しかし、そこには現代を生きる私たちが成長するための、普遍的なメッセージが隠されていました。
キリスト教の教えに見る成長の鍵
- 愛と許し: 「神を愛し、隣人を自分のように愛しなさい」という教え。敵をも愛し、何度でも許す姿勢は、チーム内の人間関係や、失敗した自分を受け入れる自己肯定感にも繋がります。
- 三位一体: 「父」と「子」と「精霊」が一体であるという考え方。これは、チームや組織において、異なる役割を持つメンバーが同じ一つの目標に向かって協力し合う姿にも通じます。
- 希望の光: どんな困難な状況にあっても希望を失わない生き方。これは、劣勢の試合でも最後まで諦めずに戦い抜くアスリートの精神そのものです。
【コーチ】(24:13)
神様を信じればみんな救われますと神を愛し臨人を自分のように愛しましょうね。で許しの教えですよね。もう7の70倍まで許しなさい。とにかく許して許して許して許して許すから許されるわけですよね。
【コーチ】(33:27)
私の父はね、新父様になろうとして、途中でやめた人なんですけど…教皇様になると、あの、教皇様しか読めない書類っていうのを読ませてもらえるそうなんです。で、私の父親が言ってたのはその本を読んだ時に教子様は倒れたって言ってたんですよね。
コーチ自身のバックグラウンドにも触れつつ語られた宗教の話は、損得勘定を超え、自分の使命として社会や他者に貢献する生き方の尊さを教えてくれます。バドミントンという枠を超え、人としてどう生き、どう成長していくべきか。その大きな問いに対するヒントが、2000年の歴史を持つ教えの中にありました。
4. Video Analysis: 3つの視点で紐解く「勝負を分ける一瞬」
教室の後半は、実際のプレー映像を分析。具体的なプレーの中に、これまでの議論の核心が凝縮されていました。
コーチ vs ヨッシー: 緩急と配球で相手をいなす
コーチとヨッシー選手のシングルスでは、「沈める」だけが攻撃ではないことが示されました。ネットより浮いていても、直線的で伸びのあるロビングは、相手に強打させず、体勢を崩させることができます。派手な一発ではなく、地味ながら効果的な配球の積み重ねが、じわじわと相手を追い詰めていくのです。
山口茜 vs 王祉怡: 世界トップのラリーに学ぶ「諦めない心」
圧巻だったのは、山口茜選手と王祉怡選手の試合映像。特にコーチが絶賛する王祉怡選手は、大差をつけられても自分の仕事を淡々とやり続け、決して諦めません。そして、相手の顔に返る危険性があればブロックに行かず、相手へのリスペクトを示す場面も。その姿は、まさにトップアスリートの品格を感じさせました。
【コーチ】(1:04:08)
これすごくない?左手上げてごめんなさい。これは相手へのリスペクトだよね。ブロックして間違って、あかねちゃんの顔に帰ってったら危ないだろうと。やらないんですよ。ワンジーは。たまらないですよね。
ダブルス分析: 負けている時こそ現れる「真の強さ」
ダブルスの試合では、点差が離れた劣勢の場面で、鈴木選手が感情を爆発させ、がむしゃらに向かっていくという、負け方にこだわる姿が印象的でした。コーチはこれを「見習ってほしい」と称賛します。すーっと静かに負けていくのは、本気でなかったことの言い訳を残す行為。悪い流れの時にこそ、どれだけあがき、戦う姿勢を見せられるか。そこに、その選手の真の強さが現れるのです。
5. Special Talk: 試合前から仕掛ける「見えない圧」の正体
教室の終盤、参加者のKTさんから鋭い質問が飛び出しました。「試合中のプレッシャーのかけ方とは具体的にどういうことか?」この問いをきっかけに、コーチによる高度な心理戦術が明かされました。
【KTさん】(1:19:15)
あれって例えばどういうことをやられるのかっていうのと、あとその効いてるかどうかってどうやって判断されてるのかっていうのを伺いたくてきました。
【コーチ】(1:20:28)
そういうスタイルの子に対してちょっとペコペコしていくとか。ペコペコしていくと、俺行けてんなみたいな感じで脳がなんかちょっと満足するんすよね。…満足感を得た時って脳機能って下がりますよね、大体。…そうするとふわふわした状態になって、次ミスをしてくれたりとか。
【コーチ】(1:23:29)
そういう時にみんなに言ってるのは相手の心を想像してみって言ってるんですよね。…今あいつ今のショットを受けてどんな風に思うだろうなっていう風に考えてると、反芻しなくなるんですよ。
コーチが語る「ストレス」とは、相手の脳を揺さぶり、正常な判断をできなくさせること。偉そうな相手にはあえてペコペコして満足させ、脳機能を低下させる。自分が注目されたい相手には、あえて自分が下手なふりをして、相手のプライドを揺さぶる。これらは全て、相手の心理を読み、その裏をかく高度な駆け引きです。
また、自分がナイスショットを決めて興奮してしまった時の対処法として、「相手の心を想像する」ことが挙げられました。自分の成功に浸るのではなく、相手の視点に立つことで冷静さを取り戻す。常に相手の心理を想像し続けることが、試合を支配する鍵となるのです。
この対話は、伸びる人に共通する「コーチャブルな姿勢(素直に教えを受け入れる力)」の重要性にも触れ、深い学びとともに締めくくられました。
6. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回の教室から得られた、バドミントンのみならず人生のあらゆる場面で役立つ5つの重要な学びをまとめました。
プレッシャーは成長の必須ビタミン
「のびのび」は成長を阻害する。あえて厳しい緊張感の中に身を置き、悪い流れでもがく経験こそが、選手を本当に強くする。
感情は「演じる」ことで武器になる
感情は自然発生するものではなく、選択するもの。悔しさやイライラを意図的に「演じる」ことで、ミスを刻み込み、次へのエネルギーに変えることができる。
最強の戦術は「相手の心を想像する」こと
相手の脳を揺さぶる心理戦から、自分のメンタルコントロールまで、全ての鍵は相手の視点に立つこと。相手の心を想像し続ける者がゲームを制す。
「コーチャブルな姿勢」が伸びる人の絶対条件
プライドは時に成長の邪魔になる。「分かりません」と素直に頭を下げ、自分より優れた人の教えをすぐに実践できる人が、最も速く成長する。
普遍的な教えに学ぶ「人間力」
宗教などの歴史ある教えには、時代や文化を超えた成長のヒントが詰まっている。許し、愛、希望といった概念は、人間関係や自己成長の土台となる。
【KTさんの同級生の話】(1:27:06)
彼はそのめちゃくちゃ人の話を聞きに行ってましたね。そのよくわかんないんで教えてくださいみたいな感じでむちゃくちゃ言ってて…変なプライドはいらないっていう。…本当にそんなのは本当邪魔なんではい。どんどん行くべきみたいな。
7. Action: 成長を加速させるプレッシャー実践チェックリスト
今日の学びを行動に変えましょう。プレッシャーを味方につけ、成長を加速させるための具体的なアクションリストです。一つでもいい、明日から実践してみてください。
アウトプット習慣チェックリスト
8. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
プレッシャーを避け、心地よい環境に留まるのは簡単です。しかし、本当の成長はその先にありません。あえて火中の栗を拾いに行き、厳しい環境でもがき、感情をエネルギーに変え、相手の心を読み解く。今回の教室は、そんな「戦う姿勢」の重要性を改めて教えてくれました。
スポーツの上達のコツは、のびのびやらない環境でやること。このコーチの言葉を胸に、ぜひプレッシャーのかかる場面に飛び込んでいってください。心が壊れそうになったら休めばいい。でも、まだやれるなら、その一歩先にある景色を見に行きましょう。
【コーチ】(1:16:34)
どんどんどんどんあのプレッシャーのかかるところに飛び込んでいって欲しいなと思いますね。本当にね、伸びようと思ったら。
今日の学びが、あなたの明日の一歩を、より力強く、より確かなものにすることを願っています。次回の教室で、またお会いしましょう。