格言:「なぜ?」と問う勇気が、あなたと指導者を共に育てる
理由なき練習に別れを告げ、質問で可能性の扉を開こう
1. 「言われた通り」の限界
「肩甲骨を寄せろ」「もっと腰を落とせ」—。バドミントンのコートで、私たちは日々たくさんの指示を受けます。言われた通りに体を動かし、懸命にシャトルを追いかける。しかし、ふと立ち止まったとき、こんな疑問が頭をよぎりませんか?
「なぜ、この動きが必要なんだろう?」
「これをすると、具体的に何が良くなるんだろう?」
言われたことをただこなすだけの練習は、やがて壁にぶつかります。応用が利かず、状況判断が鈍り、何よりプレーの楽しさを見失いがちです。もしあなたが成長の踊り場にいると感じているなら、その原因は「練習量」ではなく「思考の停止」にあるのかもしれません。
2. なぜ「理由なき指導」が生まれるのか?
「これで勝ってきた」という経験則のワナ
多くの指導現場では、残念ながら「なぜ」の部分が省略されがちです。その背景には、「自分自身がこれで勝ってきたから、これが正しい」という、経験に基づいた指導論があります。
もちろん、その経験は非常に貴重なものです。しかし、それはあくまで「その指導者にとっての正解」であった可能性も。体格も、骨格も、得意なプレースタイルも違うあなたにとって、同じ方法が最適解とは限りません。
3. 究極の成長戦略:「なぜ?」と問う力
ここで、私たちの提唱する格言が活きてきます。
良い質問は、良い答えよりも価値がある。
教わる者は問い、教える者は応える。そこに真の成長が生まれる。
指導者に理由を尋ねることは、決して反抗ではありません。それは、あなたの学びへの真剣さの表れであり、成長への強い意志表示です。
質問がもたらす3つのメリット
- 理解が「深化」する:理由を知ることで、動きの目的が明確になり、練習の質が劇的に向上します。一点の動きが、戦術という線につながる瞬間です。
- 応用力が「進化」する:原理原則を理解すれば、試合中の様々な局面で「今、あの練習でやった動きが活かせる」と、自分で考えてプレーを選択できるようになります。
- 指導者が「進化」する:あなたの質問は、指導者にとっても「なぜこの指導法が有効なのか」を改めて言語化する機会になります。それは指導者自身の学びを深め、指導の質をさらに高めるきっかけとなるのです。
4. 勇気を出して、最初の質問をしてみよう
「でも、何て聞けばいいかわからない…」と感じるかもしれません。大丈夫、難しく考える必要はありません。まずは素直な疑問をぶつけてみましょう。
質問の具体例
シンプルな質問
「すみません、今おっしゃった肩甲骨を寄せる動きは、どういうショットの時に特に効果的なんでしょうか?」
目的を確認する質問
「この練習の狙いをもう一度教えてください。スマッシュの角度を鋭くするため、という理解で合っていますか?」
大切なのは、敬意を払い、学ぶ姿勢を示すことです。あなたの真剣な問いかけは、きっと指導者の心に響き、より深い対話のきっかけとなるはずです。
5. まとめ:質問は、未来へのパスである
「言われた通りにやる」フェーズから、「理解して、自分のものにする」フェーズへ。その扉を開ける鍵は、あなたの「なぜ?」という小さな、しかし力強い一言です。
質問を恐れないでください。それは指導者を困らせるものではなく、むしろ共に成長するための最高のコミュニケーションです。選手が問い、指導者が応える。この健全なサイクルが、あなたを、そしてチーム全体を、今まで見たことのない高みへと引き上げてくれるでしょう。
さあ、次の練習から、あなたの「なぜ?」をコートに響かせてみませんか?