格言 指導者の価値は強さにあらず。

選手と共に在る時間の中にこそ宿る。

霧のかかった森を貫いて続く一本の道―選手と共に歩む長く、時に見通しの悪い道のりを象徴する風景
指導者と選手の歩む道は、時に見通しが悪くとも、確かな繋がりがあれば迷うことはない。

指導者である私たちは、自問せずにはいられません。「なぜ選手たちは、数多いる指導者の中から自分を選び、ついてきてくれるのだろうか?」と。この記事では、選手の強さや技術的な成果だけではない、指導者と選手の間に生まれる「本質的なつながり」の核心に迫ります。

「強いから」「上手いから」は本当の理由ではない

選手が指導者を選ぶ基準として、まず「強さ」や「実績」が頭に浮かぶかもしれません。確かに、指導者であるあなたは高い実力を持っているでしょう。しかし、それが唯一の理由だとしたら、論理に矛盾が生じます。

もし「勝利」だけが理由なら

選手は常に勝ち続ける指導者、つまり世界チャンピオンにしか師事しないはずです。しかし、現実にはどんなトッププレイヤーでも負ける日があります。それでも選手は離れません。この事実が、「勝利」が絶対条件ではないことの証明です。

もし「技術」だけが理由なら

世界最高の技術を持つ人にしか師事しない、ということになります。しかし、「最高の技術」の基準は曖昧で、刻一刻と変化します。選手は、そんな不安定な指標だけで指導者を選んでいるわけではないのです。

「努力する姿」も同様です。もちろんあなたの努力は計り知れません。しかし、それだけが理由なら、もっと頑張っているように見える人が現れるたびに、選手は指導者を変えることになってしまいます。彼らがあなたのもとを離れないのには、もっと深く、揺るぎない理由があるのです。

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人が誰かを心から信頼する、その根源とは

では、本質的な理由は何なのでしょうか。少し視点を変えて、私たちが人生で「この人についていきたい」と思う存在を考えてみましょう。それは例えば、両親や、生涯を共にしたいと願うパートナーかもしれません。

なぜ我々は両親を尊敬し続けるのでしょう?

なぜ愛する人のためなら、すべてを捧げたいとさえ思うのでしょう?

答えは「なんとなく好きだから」という曖昧なものではありません。それは、彼らが「自分のことをずっと見ていてくれたから」ではないでしょうか。

  • どんな時も、絶対的な味方でいてくれたから。
  • 世界中の誰よりも、自分を理解しようと努めてくれたから。
  • 良い時も悪い時も、ただひたすらに寄り添ってくれたから。

この、見返りを求めない深い関わりこそが、揺るぎない信頼関係の土台を築くのです。

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結論:選手が本当に求める指導者の姿

ここまで考えを進めれば、選手がなぜあなたについてくるのか、その答えは明確です。あなたは選手に対して、まさに両親や愛する人がしてくれるような、深く、壮大なエネルギーを注いできたからです。

指導者の本質

選手がついていきたいと願う指導者とは、『一緒にたくさんの時間を過ごし、選手を深く理解し、その選手にとっての幸せは何かを考え抜き、それを実行してくれる人』です。

それは時に泣き、共に笑い、ただ何時間も隣に寄り添う、といった行為に現れます。「情熱」という一言では表しきれない、人間としての深い関わり。それこそが、選手を惹きつけて離さない、あなたの最大の魅力なのです。

だから、彼らは離れない。

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