「当たり前」を疑う勇気 – スポーツにおける常識再考

手を上げないほうが良い理由 – 物理的・生理学的観点から

バスケットボールのディフェンスで手を上げない方が良い理由を物理現象から考えてみましょう。

1. 反応速度と身体バランス 手を上げた状態を維持することは、実は身体のバランスを崩しやすく、反応速度を低下させる原因になります。なぜなら、人間の身体は重心を安定させようとする性質があり、手を上げると上半身が浮き、重心が上がってしまうからです。重心が上がると方向転換の際に必要なトルク(回転力)の生成が難しくなり、素早い動きが制限されます。

2. エネルギー効率 常に手を上げていることは筋肉に持続的な負荷をかけ、エネルギーを消費し続けます。脳科学的に見ると、長時間同じ姿勢を維持することで脳は「慣れ」が生じ、緊張感が薄れていきます。結果として「上げているつもり」でも実際は下がってきていることが多いのです。

3. 力の方向性 手を上げると、体が自然と上向きの力の方向性を持ちます。しかしバスケットボールでは、相手の動きに合わせて横や下方向への動きも重要です。手を下げておくことで、あらゆる方向へ力を発揮しやすい「準備状態」を維持できるのです。

心理学的・戦略的観点

1. 相手の意識 常に手を上げていると、防御の意図が明確になりすぎます。手を下げておいて、必要な瞬間だけ上げることで、相手の予測を狂わせることができます。これは「見せる防御」と「隠す防御」の使い分けであり、相手の心理に影響を与える戦略です。

2. 選択肢の幅 手を下げた状態から始めることで、スティールやタップなど様々な防御オプションの選択肢が広がります。常に上げていると、その「型」に囚われてしまい、状況に応じた最適な動きを選べなくなる可能性があるのです。

価値観の転換

多くのコーチが「手を上げろ」と教えるのは、それが「見た目に分かりやすい努力」だからです。しかし、本当に重要なのは「効果的な防御」ではないでしょうか?ここに価値観の転換が必要です。

私は常々「なぜそうするのか」を考えることの重要性を説いています。「手を上げろ」と言われたら「なぜ上げるのか?」「どんな状況で上げるべきか?」「上げないことのメリットは?」と問いかけてみることで、より深い理解と成長が得られるのです。

バランス的アプローチ

もちろん、手を上げることが有効な場面も多くあります。シュートコンテストやパスカットなどの瞬間です。重要なのは「常に上げ続ける」という固定観念から脱却し、状況に応じて「上げる/下げる」を使い分けることです。

この「使い分け」の判断基準を持つことこそが、真の上達につながります。単に「手を上げろ」と言われてそれを実行するのではなく、「この状況ではなぜ手を上げる/下げるべきか」を自分自身の言葉で説明できるようになることが重要です。

質問を深める

あなた自身は、どのような場面で手を上げる/下げるの使い分けを経験したことがありますか?また、「手を上げろ」と指導されて疑問に思ったことはありますか?

物理現象や心理学的な観点から考えると、単純な「こうすべき」という答えではなく、状況に応じた最適解を見つけることが、本当の意味での競技力向上につながると私は考えています。あなたの経験や考えをぜひ教えてください。

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