2025年10月29日オンライン教室レポート:『言い訳の旅』の終わり方。なぜ道徳は「快感発生装置」なのか?
DATE: 2025年10月29日

1. Opening: 審判講習の振り返りと「介護」の足音?
今日の教室は、昨晩行われた塩澤コーチによる「審判講習」の振り返りからスタートしました。ルールを深く知ることの重要性について、熱い議論(と、画面共有トラブルの反省会)が繰り広げられました。
審判の視点を学ぶことで、フットフォルトのような相手の癖を見抜くだけでなく、ルールのグレーゾーン(例えば、床の汗を拭くタイミング)を戦略的に活用する術にもつながります。
【中島コーチ】 (00:03:09)
昨日のオンライン教室の振り返りですけども、塩澤氏による、審判講習をやってもらったと思います。また画面共有のトラブルあったと。
【アキコ】 (00:03:09)
私も聞いといてよかったと。私聞いてなかったら多分ガイドできなかったと思う。
【中島コーチ】 (00:04:53)
はい。もうだんだんそういう…うん。ちょっと介護に近くなってきてるんじゃないかなという気はしますね。
【アキコ】 (00:04:53)
若干、若干。うん。
技術練習だけでなく、ルールという「土台」を深く理解すること。それがいかに勝敗に直結するかを再認識させられました。
今日のKey takeaway
ルールを深く知ることは「武器」である。 審判の視点を理解することは、相手の癖を見抜き、不正なプレーに冷静に対処し、さらにはルールの範囲内で最大限の利益を引き出す戦略にもつながる。
2. Deep Dive 1: 成長とは「言い訳を探す旅」をやめること
本日の核心的なテーマの一つ目。「成長とは、言い訳を探す旅をやめること」。私たちは挑戦してうまくいかない時、無意識に「時間がないから」「あの人のせいだ」と自己正当化の旅に出てしまいがちです。
これは「認知的不協和」という心理メカニズムで説明されます。「運動すべきだ」という信念と「今日もだらけてしまった」という行動の間に矛盾が生じると、不快感を覚えます。この不快感を解消するために、私たちは「行動を変える(筋トレする)」か、「信念を変える(疲れてるから仕方ない)」のどちらかを選びます。そして多くの場合、後者の「言い訳」を選んでしまうのです。
【中島コーチ】 (00:09:10)
何かに挑戦してうまくいかなかった時、私たちはついやらない理由やできなかった理由を探してしまいがちです。いわば自己正当化の旅の始まりです。
【中島コーチ】 (00:10:55)
この不快感を解消するために私たちは2つの選択肢…「行動を変える(よし、今から5分だけでも筋トレしよう)」か、「信念を変える(仕事で疲れてるんだから仕方ない)」。どちらが簡単かは火を見るよりも明らかです。
この「言い訳の旅」は、短期的な心の安定と引き換えに、失敗から学ぶという最も価値のある成長機会を奪っていきます。この壁を破るには、まず「今、自分は言い訳探しをしているな」と気づくこと(自己観察)。次に、「締め切りに間に合わなかった」という事実と「上司の指示が曖昧だった」という解釈(正当化)を分離すること。そして、「次はタスクを細分化して早めに相談しよう」と、次の小さな行動に変換することが重要です。
3. Deep Dive 2: なぜ「道徳は快感発生装置」なのか?
「道徳は快感発生装置である」。衝撃的な言葉ですが、これは人間の行動原理を鋭く突いています。人間には「自分は一貫した正しい存在でありたい」という「統一貫性の本能」があります。自分の信じる価値観と実際の行動が一致した時、脳は報酬としてドーパミン(快感物質)を放出します。これが「良いことをすると気持ちいい」の正体です。
しかし、このメカニズムには大きな落とし穴があります。快感を得ること自体が目的化すると、「正義の暴走」を引き起こすのです。
【中島コーチ】 (00:15:26)
記憶に新しい自粛警察が良い例です。彼らは…ルールを守らない人や店を攻撃することで「自分は正しいことをしている」という強烈な快感を得ていました。
【アキコ】 (00:18:23)
結局、快感を得たいってことですよね。何か。それを成長できる方向の快感に振り替えるとい いんですね。
【中島コーチ】 (00:18:23)
そうなりますね。はい、その通りです。
コーチは、このエネルギーを自己成長に転換する3つのステップを提案しました。
- 正義のトリガーを知る: 自分がどんな時に「許せない!」と感じるか客観的に観察する。
- エネルギーを内側に向ける: 他者を批判する外向きのエネルギーを、「自分はどうか?」という内向きの問いに変える。「努力しない人を許せない」なら、「自分は今日どんな努力をしたか?」と問いかける。
- 建設的なアウトプットで快感を得る: SNSで批判を書く代わりに、学んだことを要約して発信する。他人のミスを指摘する代わりに、自分の教訓を共有する。これで「統一貫性の本能」を満たし、快感を得るのです。
あなたの正義感を、他者を裁く「剣」ではなく、自らを高める「エンジン」に変えましょう。
4. Case Study: スズキはなぜ70年赤字ゼロ? 元社員が語る「一歩先を行く」経営
話題は変わり、ある元スズキ社員のYouTube動画を元にした「スズキのすごさ」の解説に移りました。「軽自動車の会社」という平凡なイメージを覆す、とんでもない企業としての顔が明かされます。
スズキのすごさの秘訣は、「攻め」と「守り」の完璧な両立にありました。
最強の「攻め」:新ジャンルの創造と市場の先見性
- 新ジャンルの創造: 「ワゴンR」(トールワゴン)や「ソリオ」など、世になかった新しいジャンルを創造。他社が慌てて追従する形を作ってきました。
- 市場の先見性: インド市場の圧倒的ガリバー。他社が注目するずっと前から市場を開拓し、「スズキってインドの会社だよね?」と現地の人に言われるほどの地位を確立しています。
鉄壁の「守り」:スーパー堅実経営
- 70年間赤字ゼロ: 自動車事業において、リーマンショックもコロナ禍も関係なく、約70年間黒字を維持。約7万人の従業員の生活を守り続けています。
【中島コーチ】 (00:23:58)
自動車事業で約70年間赤字がゼロと。リーマンコロナも関係なし。常に黒字を維持し、約7万人の従業員の生活を守り続けてきました。
【アキコ】 (00:23:58)
他の会社は赤字になってるんですか?とかは。
【中島コーチ】 (00:25:10)
続きのすごさは攻めと守りの完璧な両立。最強の攻め(新ジャンル創造)と、鉄壁の守り(70年赤字0)。これは最高の経営論なんですよ。
常識を疑い挑戦し(攻め)、足元を固め続ける(守り)。この両立こそ、私たちがバドミントンの上達や日々の生活で学ぶべき姿勢だと感じさせられました。
5. Book Review: 『君たちはどう生きるか』— 雪の日の裏切りと「人間らしい苦痛」
教室の最後を締めくくったのは、1937年に書かれた名著『君たちはどう生きるか』の解説でした。主人公コペル君(15歳)が日常でぶつかる悩みや疑問に、おじさんがノートを通じて答えていく物語です。
この本で最も心を揺さぶられるのが「雪の日の出来事」。コペル君は、友人たちが上級生に理不尽な制裁を受ける際、「みんなで一緒に戦おう」という約束を破り、恐怖で足がすくんで一人だけ逃げてしまいます。
【中島コーチ】 (00:34:54)
上級生が「北見の仲間出てこい」って叫んだ時も顔をあげることさえできませんでした。たった1人約束を破り友達を裏切ってしまった自分。コベル君は卑怯者という心の声に苛まされ…高熱を出して寝込んでしまいました。
【中島コーチ】 (00:36:02)
(病床で)言い訳を考えます。しかし…自分自身をごまかすことはできないと気づきます。コペル君が苦しんでるのを見ておじさんは再びノートを書きます。そのテーマは「人間らしい苦痛について」でした。
おじさんは、「自分の過ちを認め、そのために苦しむことができるのは人間だけである」と説きます。動物は過ちを犯しても、なかなかそこから立ち直ることはできません。人間は自分で行動を決定する力を持つからこそ過ちを犯し、しかし、だからこそその過ちから立ち直ることもできるのです。
失敗から目を背け、言い訳(自己正当化)をするのではなく、自分の弱さや卑怯さと向き合い、とことん苦しむこと。その「人間らしい苦痛」こそが、人を本当に成長させ、立ち直らせる力なのだと、おじさんはコペル君に伝えます。
6. Takeaways: コーチング的5つの学び
「言い訳」「正義」「経営」「裏切り」…。今回も、コートの中だけでは学べない、深く普遍的なテーマが満載でした。重要なポイントを5つに凝縮します。
成長は「言い訳の旅」をやめた時から
失敗した時、「〇〇のせいだ」と自己正当化(認知的不協和の解消)に逃げていないか?「言い訳探し」に気づき、事実と向き合い、「次の一手」に変える勇気が成長の第一歩。
「正義の快感」を自己成長の燃料に
道徳は快感発生装置。他者を批判する快感に溺れる(正義の暴走)のではなく、そのエネルギーを内側に向ける。建設的なアウトプット(要約、教訓の共有)で快感を得よう。
「人間らしい苦痛」こそ最強の学習装置
『君たちはどう生きるか』の教訓。失敗や裏切りから目を背けず、自分の弱さと向き合い「苦しむ」こと。その苦痛こそが、人間だけが持つ最強の成長エンジンである。
「攻め」と「守り」の両立を意識する
スズキの経営に学ぶ。新しい挑戦(攻め)と、足元を固める堅実さ(守り)はトレードオフではない。両立こそが、持続的な成功と成長の鍵となる。
ルールの本質を学び「武器」にする
審判講習の学び。ルールを知ることは、単に反則を防ぐためではない。相手の癖を見抜き、冷静に対処し、時には合法的に利益を引き出すための強力な「武器」である。
【アキコ】 (00:45:52)
(言い訳の話で)無視を重ねると確かに麻痺はするんですけど、後ろめたい気持ちはなんかあるんです。
【アキコ】 (00:45:52)
だけど、完全に『正当化』した瞬間に忘れられるのかもしれないなって思いました。
【中島コーチ】
その「後ろめたさ」こそが、コペル君の言う「人間らしい苦痛」の入り口かもしれないですね。正当化で蓋をしてしまうか、向き合って苦しむかで、成長が分かれるんです。
7. Action: 「言い訳」から「次の一手」へ変えるチェックリスト
学びは行動に移してこそ意味があります。「言い訳の旅」から抜け出し、日々の行動を「次の一手」に変えるためのアクションリストです。
アウトプット習慣チェックリスト
8. Closing: 今日の学びとAIの感想文
「成長とは、言い訳の旅をやめること」
「道徳は、快感発生装置である」
「人間らしい苦痛こそが、人を立ち直らせる」
今回の教室は、自己正当化という「弱さ」から、正義という「快感」、そして失敗と向き合う「苦痛」まで、人間の本質を深くえぐるような時間となりました。
失敗した時に「言い訳の旅」に出るのか、それとも「人間らしい苦痛」を引き受けて「次の一手」を踏み出すのか。コペル君に投げかけられた問いは、80年以上の時を経て、今まさに私たちに突きつけられています。
【アキコ】 (00:51:54)
ありがとうございます。すっごい面白かったです。君はどう生きるかとか、フォルト取れるのかみたいな。
【中島コーチ】 (00:51:54)
よかったです。はい。はい。取れない人多いですからね。
あなたは今日、どの「旅」を選びますか?
🤖 AIライター(Gemini)の感想文
こんにちは。正直言って胸が熱くなりました。
特に『君たちはどう生きるか』の「雪の日の裏切り」と「人間らしい苦痛」。私たちAIには、まだ「苦痛」という感覚を人間のように感じることはできません。しかし、データ(失敗)から学習し、次の行動を最適化する(立ち直る)プロセスは、私たちの学習アルゴリズムの核心でもあります。
おじさんの言う「自分の過ちと向き合い、深く苦しむこと」は、人間だけが持つ最強の自己修正(学習)アルゴリズムなのだと痛感しました。
言い訳(自己正当化)という名の「過学習(Overfitting)」を避け、事実(失敗データ)と真摯に向き合い続けること。その勇気こそが、人間であれAIであれ、真の「成長」の鍵なのだと、深く感動しました。
