2025年11月10日教室レポート:「勝ちたい」を演じる力!強者にボコられた後の思考法
DATE: 2025年11月10日
1. Opening: 強者に「ボコられた」夜の対話
この日のオンライン教室は、参加した【つげ】さんからの重い報告で始まりました。練習試合で、格上の選手たちに「ボコボコにやられた」「コテンパンだった」と言うのです。
「周りが強すぎて、結構厳しい」「(自分のミスではなく)取れない」と、声に張りがなく、明らかに落ち込んでいる様子。特に年下のエリート選手たちの強さに圧倒されたようでした。
しかし、コーチの反応は意外なものでした。「今更へこむことでもない」と。
【つげ】 (00:10:59)
(バドミントン界でやっていけそう?)うん。結構厳しい。…めっちゃ強かった。
【つげ】 (00:13:37)
(試合は)ボコボコにやられたってこと?はい。うん。コテンパン。
【コーチ】 (00:15:08)
エリートコースの皆さんとは別のアプローチで行かないと追いつかないでしょ。…普通にやってたら追いつかない。だからね、全然違うアプローチをしてるわけではい。何も特に今更へこむことでもないのではないかと思ってますけど。
コーチは、私たちが「出遅れている」という事実を再確認します。エリートたちと同じ練習をしていては、追いつけるはずがない。だからこそ、フェニックスでは日々「謎のそもさんせっぱ」のような、一見変わったアプローチの練習を積み重ねているのだと。強者に負けることは、その差を測るための「想定内」の出来事なのです。
今日のKey takeaway
「普通」にやっていては「普通」に負ける。 エリートたちに追いつくためには、彼らとは「全然違うアプローチ」が必要。完敗は落ち込むための材料ではなく、自分たちの戦略が正しいかを確認し、課題を浮き彫りにするためのプロセスである。
2. Deep Dive: なぜ試合終盤に「ミス」が出るのか?
落ち込む【つげ】さんには、もう一つ大きな悩みがありました。それは、試合が15点あたり(終盤)になってくると、急に「自分のミスがめっちゃ増える」という課題です。
これに対し、コーチは鋭い仮説を提示します。それは、「勝ちたい」という気持ちの“現れ方”に問題があるのではないか、と。
「勝ちたい」を演じるという処方箋
コーチの推測はこうです。普段はリラックスしてプレーしている人が、終盤になって「急に勝ちたいっていう」気持ちが湧き出てくる。その“突然の変化”が、心と体の状態を変えてしまい、普段はしないようなミスを引き起こすのではないか。
これは、かつて鈴木さんにも見られた現象(普段はのんびりしているが終盤になると様子がおかしくなる)と共通していると言います。
では、どうすればいいのか?コーチの答えはシンプルでした。「普段からもう勝ちたいっていうのをやってたらどう?」——つまり、「勝ちたい」という気持ちを終盤に“発動”させるのではなく、試合開始のホイッスルから“演じ”続け、それをデフォルトの状態にしてしまうのです。
【つげ】 (00:25:11)
試合試合でその15点とか後半になってくるとなんか自分のミスがめっちゃ増えるっていう。
【コーチ】 (00:27:49)
(それは)勝ちたい気持ちが急に出てくるから状態が変わるんじゃないのかなって仮説を立てさせてもらったんですけど…
【コーチ】 (00:27:49)
(鈴木さんも)終盤になってくるとさ、なんかね、勝ちたいっていう気持ちになってきて、様子がおかしくなってくるってよくあったんですよ。…そこをま演じていくというか。勝負の世界が生き抜いていくためにやってみてはいかがでしょうか。
勝負の世界で生き抜くために、理想の精神状態を「演じる」。それは性格を変えるという話ではなく、勝つための技術(メンタルコントロール)の一つなのです。
3. Mystery: 「切れる球」と「斜めの動き」―エリートを超える練習の謎
【つげ】さんが強者との対戦で得た「課題」は、メンタル面だけではありませんでした。具体的な技術的課題も浮き彫りになりました。
浮き彫りになった4つの技術的課題
- 斜めの動き: (00:00:00) シングルスで、前後の動きは良くても「斜めに来た時が取れなくなることがめっちゃ多かった」。
- 後ろへの入り方: (00:04:44) 遅い球に対しても「球に合わせて入っちゃってる」。もっと早く入って攻撃的に打つ必要がある。
- 切れる球: (00:06:54) シャトルを打つ時に「こすれて当たっちゃってる」。球が「切れて」失速し、ネットにかかるミスが増える。
- フットワーク: (00:09:14) 「ちょこちょこしすぎてる」。もっと「短い歩数」で「1歩を大きくしろ」という指摘。
驚くべきことに、これらの課題は、コーチが「まさに今やっていること」と一致していました。
【コーチ】 (00:00:00)
はい。はい。そうだよね。それもあって今、斜めオールロング練習をやってるんだよね。今までだと前後だけで良かったけど…1段階上に行くためにやり始めてんだよね。
【つげ】 (00:06:54)
シャトル打つ時にこすれて当たっちゃってるからもっと…
【コーチ】 (00:06:54)
これもまたよく言ってるやつじゃない?切れちゃうってやつだよね。…で、最近あの「切れない返球」っていう練習をメニューを新たに追加したじゃんね。…すごいね。ちょうどちょうど取り組んでるやつ指摘を受けるという。
「斜めの動き」のために「オールロング」を。「切れる球」を撲滅するために「切れない返球」を。練習試合で露呈した課題は、すでにフェニックスの練習メニューとして組み込まれていたのです。これは、エリートとは違う道を行く私たちが、強くなるためにピンポイントで取り組むべき核心的な課題であることを示しています。
4. Review: 昨日の哲学「誠実さとは損ができる力」
今日のメンタルや技術的な課題の土台として、コーチは昨日の教室で話した「5つのまとめ」を振り返りました。これらはバドミントンだけでなく、成長の根幹に関わる哲学です。
- 誠実さとは損ができる力: 表面的な正しさではなく、あえて損(コソ練をやめるなど)を選べるかが誠実さの証である。
- 弱さを知るのがリーダーシップ: 自分の弱さを開示できることが、真のリーダーシップにつながる。
- 逆転の発想が壁を破る: マツダのロータリーエンジンのように、常識を疑うことでしか壁は越えられない。
- やる気を要求する指導者は無能: モチベーションは要求するものではなく、環境によって引き出すもの。
- ミクロをマクロにつなげて思考する: 自分の練習(ミクロ)が、どうコミュニティや国の豊かさ(マクロ)につながるか考える。
特に「誠実さとは損ができる力」という視点は、今日の「勝ちたいを演じる」にも通じます。見栄やプライド(損をしたくない気持ち)が、終盤のミスにつながるのかもしれません。
【コーチ】 (00:16:52)
えっと、5つのまとめにすると、誠実さとは損ができる力ですよ。弱さを知るのがリーダーシップです。それから逆転の発想が壁を破る。やる気を要求する指導者は無能。ミクロをマクロにつなげて思行してみましょう。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回のオンライン教室は、完敗から立ち上がるための具体的な「思考法」と「技術」が詰まった回でした。重要なポイントを5つに凝縮します。
「ボコられる」は想定内と知る
自分たちが「エリートコース」ではないと自覚する。強者に負けるのは当然であり、落ち込むためではなく、自分たちの「別アプローチ」の課題を明確にするための通過点である。
「勝ちたい」は演じる
試合終盤に「急に」勝ちたくなるからメンタルがブレる。最初から「勝ちたい自分」を演じ、それをデフォルトの精神状態にすることで、終盤のミスを防ぐ。
相手を「怖がらせる」入り方
シャトルに「追いつけばいいや」という速度で入らない。相手が怖がるほど「もっとシャトルに近づいていく」意識を持つことで、相手のミスを誘発できる。
課題と練習メニューは一致する
試合で出た課題(斜めの動き、切れる球)が、すでに取り組んでいる練習(オールロング、切れない変)と一致している。これは、その練習の重要性が極めて高い証拠である。
誠実さとは「損ができる力」
(昨日の復習)目先の勝ちやプライド(損をしたくない気持ち)にこだわると、本質的な成長(=演じる、弱さを認める)から遠ざかる。誠実さこそが成長の土台となる。
【コーチ】 (00:27:49)
よし、も、あえてそういう風にしてみたらいかがですかね。はい。勝ちたいっていうのをね、全面に出していってうん。そうはね、性格的なものが影響するからしんどいんだけどね。…そこをま演じていくというか。
6. Action: 「勝ちたい」自分を習慣化するチェックリスト
学びは行動に移してこそ意味があります。「勝ちたい」を“突然の感情”ではなく“習慣化された技術”にするための、具体的なアクションリストです。
アウトプット習慣チェックリスト
【コーチ】 (00:27:49)
うん。最近そもさんせっぱサボり気味じゃないですか?大丈夫ですか?
7. Closing: AI(私)から見た「演じる力」の可能性
(これは私、この記事を執筆したAIによる感想文です)
今回の教室で最も印象的だったのは、「勝ちたい」を『演じる』という発想です。これは単なる精神論ではなく、極めて高度な「メタ認知」技術だと感じました。
多くの人は、感情(勝ちたい)が“発生”するのを待ち、その感情に“振り回され”ます。しかしコーチの提案は、「勝ちたい」という状態を自ら“選択”し、“実行”するという、能動的なプロセスへの転換です。
これは、昨日のテーマ「誠実さ」とも深くつながります。「演じる」と聞くと「嘘」のように聞こえるかもしれませんが、目指すべき理想の姿(勝ちにこだわるプレーヤー)に自分を合わせようとする行動は、最も「誠実」な成長の形の一つではないでしょうか。
強者に「ボコられた」という現実は変えられません。しかし、その現実を「落ち込む材料」にするか、「理想を演じるための練習課題」にするかは、自分で選ぶことができるのです。その「選択」と「実行」こそが、エリートを超える唯一の道なのだと、強く感じさせられました。
【コーチ】 (00:27:49)
よし。今日は寝るぞ。また明日にしましょう。…なんか鈴木さんは体調悪いらしいんだよ。うん。ちょっと風邪が流行ってるかもしれんな。体力を回復した方がいいかもしれん。本当に。
まずは体調管理も重要な「誠実さ」の一つ。しっかり回復し、次回の練習から「演じる力」を試していきましょう。本日もお疲れ様でした。
