Phoenix-Aichi オンライン教室

2025年8月21日オンライン教室:「集中」は敗北の呪文?”禅”と”仕組み”で勝利を掴む思考法

DATE: 2025年8月21日

朝日が差し込む静かな森の小道―内面への洞察と『今、ここ』への集中を象徴する風景

1. Opening: 「集中」は敗北への呪文?意識を向けるべき本当の場所

ミスをした時、多くの選手が「集中、集中…」と自分に言い聞かせます。しかし、コーチはこの日の教室で、その”おまじない”が実は「敗北への呪文」になり得ると警鐘を鳴らしました。

なぜなら、「集中」と唱える時、私たちの意識は「ミスをした過去の自分」という内側に向かいがちだからです。対人競技であるバドミントンで本当に意識を向けるべきは、ネットの向こう側にいる「相手」。相手が今、何を考え、次に何をしてくるのか。その観察こそが、勝利への鍵を握っています。

【コーチ】 (09:10)

ミスをした時無意識にね、集中集中という呪文を唱えてる人多いと思います。で、これが、ま、対人競技で求められるパフォーマンスを発揮できるかっていうと、そうとは言えないんじゃないかという話ですね。

【コーチ】 (10:21)

指導者によってはミスをしたらそのミスはなぜ起きたのか原因を追求して、修正しましょうみたいなことを言うと思うんですけど、危ないですよね。相手が見えなくなっちゃうから。…なのでやっぱりミスをしても、このミスを受けて相手はどういう世界観にいるのか、どういう風に俺のこと見てるんだっていうのを見てみましょう。

過去のミスに囚われるのではなく、そのミスが相手に与えた影響を読み解き、次のプレーを予測する。この意識の転換が、劣勢を覆す一手につながるのです。

今日のKey takeaway

意識のベクトルを常に「相手」に向ける。過去の自分のミスに囚われるのではなく、そのミスを受けて相手がどう動くかを予測し、先手を打つこと。それこそが、対人競技における真の「集中」だ。

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2. Community Deep Dive: 「様子見」を仕組みで解決するコミュニティ設計術

この日の教室では、コミュニティ内で発生していた「様子見」という深刻な問題への対策が、詳細な資料と共に共有されました。コーチからの問いかけに多くのメンバーが沈黙してしまう状況は、単なるコミュニケーション不足ではなく、信頼関係の構築を阻害する重大な問題として捉えられました。

「様子見」を生む5つの心理的要因

  1. 人間関係の懸念:「コーチにだけ良い顔をしている」と思われたくない。
  2. お客様意識:お金を払っているのだから、最小限の労力で教えてもらうのが当然。
  3. 他人事の姿勢:問いかけの価値を感じられず、自分事として捉えられない。
  4. 真面目さへの抵抗:面倒な人だと思われることを恐れ、あっさりした答えに留める。
  5. 過去の経験からの葛藤:過去に挫折した経験から、再び積極的に関わる自信を失っている。

これらの問題を個人の意識改革に求めるのではなく、「仕組み」で解決するというアプローチが取られました。具体的には、全員が参加するLINEグループでの問いかけを原則停止し、より深く学びたい意欲的なメンバーだけの専用の場(Slackコミュニティ)を新たに設けたのです。

【コーチ】 (16:12)

単なるコミュニケーションの問題ではなくて相手の存在を軽視しかねない重大な明確行為。自殺すら引き起こす…重大な問題行為だっていう声が上がったと思います。

【コーチ】 (19:45)

現状の課題としてはグループでの、え、様子見が信頼関係や成長の妨げになっていました。原因と対策個人の意識ではなく仕組みで解決することにしました。

これにより、「様子見に見える状況」を物理的にゼロにし、学びたい人が気兼ねなく議論できる環境を創出。これは、健全なコミュニティをいかに設計するかという、非常に示唆に富んだケーススタディと言えるでしょう。

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3. Zen Mind: なぜ答えは「庭の木」なのか?禅問答に学ぶ勝者のメンタリティ

続いてのテーマは「禅」。一見バドミントンとは無関係に思えますが、その教えの中には、アスリートのメンタリティを向上させるヒントが隠されていました。コーチは、禅問答の一例を紹介してくれました。

ある僧侶が師匠に「仏教の真理とは何ですか?」と尋ねたところ、師匠はただ一言、「庭の木だ」と答えたという話です。僧侶は最初、その意味が分からず困惑しますが、長い瞑想の末に気づきます。真理とは、どこか遠くにある特別なものではなく、ただ目の前に存在する「庭の木」そのものである、と。

【コーチ】 (34:16)

もっと深い哲学的な答えを気にしてたのに…次第に僧侶は気づき始めました。答えは遠くにあるのではなくて目の前にあったんだ。ある瞬間全てが明らかになりました。ただそこに存在することが真理そのものでした。

【コーチ】 (35:25)

真理は求めるものではなくすでにそこにあるものなんだというのを理解するということです。

これはバドミントンにも通じます。我々はつい、特別な練習法や必殺ショットを追い求めがちですが、本当に大切なのは、目の前の1本、基本的なフットワーク、日々の練習といった「日常」の中に存在します。複雑な戦術を考える前に、今この瞬間のプレーに意識を向け、ただそこに存在すること。禅の教えは、雑念を払い、パフォーマンスを最大化するための普遍的な知恵を与えてくれます。

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4. Video Analysis: セコビッチを封殺せよ!予測と詰めでラリーの主導権を握る

教室の後半は、恒例の動画分析。この日は、巧妙なプレーで相手を翻弄する「セコビッチ」への対策が大きなテーマとなりました。セコビッチは、派手さはないものの、相手が嫌がるコースにしぶとく返球し、ミスを誘ってきます。

コーチが強調したのは、彼らのプレーを「予測」すること。例えば、苦しい体勢からでもギリギリに落としてくる、意表を突くクロスに返してくる、といった彼らの常套手段をあらかじめ頭に入れておくことで、驚かずに対応できるというのです。

【コーチ】 (55:52)

出ました。セコビッチ出ました。出ました。もうこういうのを覚えてほしいよね。…普通だったらこれでもう、決まったと思っちゃうんだよね。だけどこのもうなんかやる気ない感じでギリギリに落としてくる。これがありえるっていうのを覚えて欲しいです。

【コーチ】 (57:03)

俺だったらばもうここに出した瞬間にクロス走ってますからね。ああ、セコクロスあるなって分かってるから、ここでストレートで待ってないですよ。

また、ヨッシー選手に対しては、前衛での「詰めの甘さ」が繰り返し指摘されました。チャンスボールが来ているにも関わらず、一歩踏み込んで叩けていない。この詰めの意識の差が、相手に余裕を与え、反撃の機会を許してしまっているのです。セコビッチのような相手には、甘い球を確実に仕留める前衛の圧力が、何よりの対策となるのです。

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5. Takeaways: コーチング的5つの学び

今回もバドミントンの枠を超え、仕事や人生にも通じる深い学びがありました。特に重要な5つのポイントを振り返ります。

1

「集中」の呪文を解け

意識を向けるべきは過去のミスではなく、ネットの向こう側の「相手」。相手の思考や次の動きを予測することこそが、真の集中である。

2

問題は「仕組み」で解決する

人の意識ややる気に頼るのではなく、望ましい行動が自然と生まれる「仕組み」や「環境」を設計することが、本質的な問題解決につながる。

3

答えは常に「目の前」にある

禅の教えのように、特別な秘策を求めるな。勝利の鍵は、日々の練習や基本的なプレーといった、平凡な日常の中にこそ隠されている。

4

「セコさ」をデータとして読み切れ

厄介なプレー(セコビッチ)は、感情で対応せず、相手の思考パターンとして分析・予測する。先回りすることで、相手の武器を無力化できる。

5

前衛の「詰めの一歩」が勝負を決める

チャンスボールを確実に仕留める意識が勝敗を分ける。特に前衛は、常に一歩前に詰める意識を持ち、相手にプレッシャーをかけ続けよ。

【コーチ】 (1:00:43)

ヨッシーだと詰めてないからこうなんですよね。ここら辺がまだ甘い。ヨッシー全然甘いとこです。…俺も自分のことは棚にあげてどんどんこはもう詰めて無駄にね、無駄に長いとちょっとイラっとしてんですよね。これじゃお前詰めとけよっていう。

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6. Action: アウトプット習慣チェックリスト

学んだことは、行動に移して初めて自分の力になります。インプットした知識を、具体的なアウトプットにつなげるためのアクションリストです。日々の練習で意識してみましょう。

アウトプット習慣チェックリスト

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7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ

「集中は呪文」「答えは目の前にある」「問題は仕組みで解決する」。今回の教室は、私たちの思考の前提を覆すような、力強いメッセージに満ちていました。特に、コミュニティの「様子見」問題に正面から向き合い、仕組みで解決へと導いたプロセスは、バドミントンチームだけでなく、あらゆる組織運営における重要なヒントとなるでしょう。

また、セコビッチ対策のように、一見厄介な相手のプレーも、冷静に分析・予測することで対応可能になるという視点は、私たちに勇気を与えてくれます。インプットした学びを、ぜひ明日からの練習というアウトプットの場で試してみてください。その積み重ねが、あなたを確実に次のステージへと引き上げてくれるはずです。

【参加者】 (1:12:12)

トモティ、本当ありがとうございました。

【コーチ】 (1:13:22)

はい。じゃあ皆さん終わりましょう。ありがとうございました。 

次回のオンライン教室も、皆さんの成長につながる深い議論ができることを楽しみにしています。

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