2025年9月10日オンライン教室:「〜しかない」は思考停止のサイン!信頼の本質と脳を操るガッツポーズの科学
DATE: 2025年9月10日
1. Opening: 「〜しかない」思考の罠から抜け出す方法
「スマッシュが速い相手には、こっちから攻撃していくしかない」「もうこの状況では、売るしかない」——。私たちは日常や試合中、無意識に「〜しかない」という言葉を使ってはいないでしょうか。この日の教室は、この一見力強い言葉に潜む「思考停止」の危険性から始まりました。
コーチは、この思考に陥る背景には焦りやプレッシャー、過去の成功体験への固執、そして決断の責任からの逃避といった心理が働いていると指摘。それはまるで、視界の狭いトンネルを突き進んでいるような状態です。
【中島コーチ】 (00:10:15)
「まるまるしかない」っていう人いますよね。…まるでそれが唯一絶対の真実であるかのように力強く語られることがあります。本当かってね、それを聞くたびに思うんですよね。
【中島コーチ】 (00:14:38)
思考の袋小路から脱出する4つのステップ。ステップ1、意識的に立ち止まりましょう。「〇〇しかない」って言葉が浮かんだら「あ、思考停止なんだな」と。一息置いて「本当にそうか?」と。…目的を再確認する。そもそも自分は何を達成したかったのかを考えると、また答えも出るように思います。
バドミントンで言えば、目的は「試合に勝つこと」であり、「攻撃すること」は数ある手段の一つに過ぎません。この思考の罠から抜け出す鍵は、一度立ち止まり、視点を変え、本来の目的を再確認すること。そうすることで、カウンターに徹する、緩急で揺さぶるといった新たな選択肢が見えてくるのです。
今日のKey takeaway
「〜しかない」は思考停止のサイン。その言葉が頭をよぎったら、意識的に立ち止まるチャンス。もしその選択肢が取れなかったら?と仮定することで、思考は新たなルートを探し始め、より本質的な解決策へと繋がっていく。
2. Deep Dive: 「人を悪く言わない人」を信じてはいけない真の理由
次に議論されたのは、「人を悪く言わない人を信じるな」という、あるトップコーチの逆説的な言葉でした。一見すると過激に聞こえますが、その真意はどこにあるのでしょうか。
コーチは、これは「何でも悪口を言え」ということではなく、「耳障りの良いことばかり言う人ほど、本音を隠している可能性が高い」という警告だと解説します。波風を立てることを恐れ、ただ丁寧な言葉を並べるだけの関係性では、真の信頼は生まれません。
【中島コーチ】 (00:18:20) (動画より)
いつも耳障りのいいことばっかり言ってくれる人いますよね。そういう人こそ実は信頼できないかもしれないっていう警告なんですよ。なぜならそういう人って本当の気持ちを隠してる可能性が高い。それじゃあ本当の意味での信頼関係なんて築けないよねっていう話なんです。
【中島コーチ】 (00:20:11) (動画より)
この「うわっ」っていう感覚こそが、人が成長するための絶好のチャンスなんだっていうことなんです。…だからこの不快感から逃げるんじゃなくて、むしろ「来たな」って感じで成長のチャンスとして飛び込んでいくべきだとコーチは言ってるわけです。
自分の信条と異なる意見に触れた時に感じる「モヤモヤ」や「不快感」。これは心理学で「認知的不協和」と呼ばれます。しかし、コーチはこの不快感こそが成長の絶好のチャンスだと語ります。その違和感から逃げずに向き合うことで、自分の価値観が揺さぶられ、より深い思考へと繋がるのです。真の信頼関係とは、心地よい言葉の交換ではなく、時として耳の痛い真実を伝え合う勇気の上に成り立つのかもしれません。
3. Mystery: なぜガッツポーズの形で脳機能は変わるのか?
試合中、ポイントを取った後に行うガッツポーズ。実はその「やり方」一つで、脳機能が上がりもすれば、下がりもするという驚きの事実が明かされました。一体、何が違うのでしょうか?
パフォーマンスを下げる「EXILE風」ガッツポーズ
コーチが指摘したのは、手首をクルクル回すような、いわゆる「EXILE風」のガッツポーズ。これは一見ノリが良く見えますが、自己満足に浸りやすく、脳が緩んでしまう危険性があるとのこと。実際に動画で分析した選手も、このガッツポーズの直後に信じられないようなミスを犯していました。
パフォーマンスを上げる「児玉清風」ガッツポーズ
一方、推奨されたのが、拳を握り、細かく揺らす「児玉清風」のガッツポーズです。これは、喜びを爆発させるというより、次のプレーに向けて意識を「引き締める」効果があります。
【アキコ】 (00:37:16)
確かになんか体幹が固めれやすい。うん。全然違う。(EXILE風は)ここでやると全然緩む。緩む。
【中島コーチ】 (00:38:17)
そう、さっきの安洗塋(アン・セヨン)選手みたいな感じだと体幹緩みそうじゃん。エグザイルやっちゃうとさ。…(こだま清風は)体幹がしっかり引き締まってくる感じがあるんですよね。
鍵は「体幹」と「意識の方向」。緩んでしまうガッツポーズは意識が過去(取ったポイント)に向き、満足感で満たされます。一方、引き締まるガッツポーズは、腹圧を高め、意識を未来(次のプレー)へと繋ぎます。何気ない動作一つが、勝敗を分ける重要な要素となり得るのです。
4. Video Analysis: 構えの癖を見抜き、レシーブミスを激減させる秘訣
教室の後半では、参加者のアキコ(仮名)選手の試合映像を分析。相手のサービスに対して、なぜかネットにかけてしまうミスを改善するための具体的なアドバイスが送られました。
まずコーチが注目したのは、レシーブの「構え」。わずかに体が右に傾いている癖から、重心が右寄りにあることを見抜きます。これにより、体の左側、特にフォア奥への反応が遅れる可能性を指摘。ショートサービスではなく、相手の重心から遠いサイドを狙ったロングサービスが有効だと解説しました。
【中島コーチ】(01:08:24)
(ネットにかけるミスについて)あれね、前に押し出しちゃうんだよ。…押し出しちゃうからやられるんですよ、ああいうのって。
【アキコ】(01:09:38)
なんか前巻きつければいい…
【中島コーチ】(01:09:38)
あれね、上なんですよ。…ラケットを前に出すことよりも上なんだよね。上に上に持ち上げる意識。持ち上げる意識っていう風にすると返るんですよ。
そして、ネット際で差し込まれた際のレシーブミス。多くの選手がシャトルを「前へ」押し出そうとしてネットにかけてしまいます。しかし、ここでの正解は「上へ」持ち上げること。ラケット面を上に向け、シャトルをすくい上げるようにコンタクトすることで、まずはネットを越すことを最優先します。たとえ甘い球が上がってプッシュされても、失点するよりはマシ。この「ミスをするくらいなら打たれろ」という考え方が、粘り強いレシーブを生むのです。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回もバドミントンの枠を超え、仕事や人生にも通じる深い学びがありました。特に重要な5つのポイントを振り返ります。
「〜しかない」を疑う勇気を持つ
思考が袋小路に入ったサイン。一度立ち止まり、目的は何か、他の選択肢はないかと自問することで、より良い解決策が見つかる。
信頼は「不快感」の先にある
耳障りの良い言葉だけでは真の信頼は築けない。自分の価値観を揺さぶるような耳の痛い言葉にこそ、成長のヒントが隠されている。
ガッツポーズで脳をコントロールする
単なる感情表現ではない。体幹を締め、意識を次に繋げる「こだま清」式ガッツポーズは、パフォーマンスを高めるための戦略的行動だ。
責任から逃げるリーダーを見抜け
「自分たちで話し合って決めて」という言葉は、責任放棄のサインかもしれない。リーダーの役割は、対立を調整し、組織全体の利益のために決断することだ。
ミスより打たれることを選べ
厳しい場面でのレシーブは、まず「返す」ことが最優先。前に押し出すのではなく、上に持ち上げる意識でミスを回避し、ラリーを繋ぐ。
【中島コーチ】(00:51:46)
弱いことは罪だと思いませんかね?…私はそう思ってるんですよ。…弱ければ弱いほど罪深いっていうね。はい。そういう世界観があります。
【参加者】(00:51:46)
いや、めちゃ考えます。うん。
6. Action: 思考の柔軟性を鍛える実践チェックリスト
今日の学びを行動に変え、習慣化するためのチェックリストです。インプットした知識をアウトプットし、自分の血肉としましょう。一つでもいいので、明日から実践してみてください。
アウトプット習慣チェックリスト
7. Closing: 「弱いことは罪」―それでも前へ進むために
教室の終盤、参加者からは手首の痛みやリウマチの可能性といった、深刻な悩みが打ち明けられました。バドミントンを続けたい、でも体が思うように動かない。そんな苦しい状況でも、彼らは学び続け、繋がりを保とうとしています。
コーチの「弱いことは罪である」という言葉は、一見すると非常に厳しいものです。しかしその裏には、弱さが他者の足枷になり得るという現実から目を背けず、常に上を目指し続けるべきだという強烈なメッセージが込められています。それは、決して弱者を切り捨てる言葉ではありません。
【トオル】(01:18:39)
(手首が)痛くはないんですけど、打ったら悪化しそうで怖いなと思って…
【アキコ】(01:20:22)
いや、私もバドミントンができんくなるかもしれないから…でもバドミントンは続けたいから、なんかなんかで繋がっときたいです。
思考停止に陥らず、不快な現実から目を背けず、体の使い方や心の持ちようを科学する。たとえ体が万全でなくても、思考を止めない限り、成長は可能です。今日の学びを胸に、それぞれの場所で、自分にできる一歩を踏み出していきましょう。その小さな積み重ねが、未来の自分を形作るのです。