2025年9月16日オンライン教室レポート:ラケットより思想を振れ!「ダメ人間」論で拓く成長の新境地
DATE: 2025年9月16日
1. Opening: 流れが悪い時こそ、逆転への「仕込みの時間」
この日の教室は、試合における「流れ」の話から始まりました。多くの選手がストレスを感じる「流れが悪い」状況。しかしコーチは、それを全く異なる視点から捉えます。ピンチは、実は逆転劇を演出するための絶好の「仕込みの時間」である、と。
前日の試合で、序盤に劣勢を強いられたコーチとテルさんのペア。しかし、彼らは焦りませんでした。むしろ「1ゲーム目は捨ててもいい」という覚悟で、相手の戦術を分析し、自分たちのプレーを立て直す時間に充てたのです。この冷静な状況判断こそが、後の逆転勝利に繋がりました。
【中島ノブヨリ】 (00:09:43)
最初序盤の流れが非常に悪かった試合だったんですけども、そのピンチを、仕込みの時間として捉えて逆転につげていったと思います。途中でっていうか、半分行かないぐらいの段階ですでに1ゲーム目は捨てていいから立て直していこうという話をしました。
【中島ノブヨリ】 (00:11:18)
流れ悪いとストレスになる人、結構いると思いますけども、流れが悪い時は、意外と仕込みの時間として使えます。ま、取られて元々っていうところで考えていけば、仕込みの時間に使えると思います。
ひらめきや反射的なプレーに頼るのではなく、劣勢の時こそ意図を持ったプレーを選択する。そのための準備期間として「流れの悪さ」を戦略的に利用する。この発想の転換が、勝負強さを生む第一歩となるのです。
今日のKey takeaway
流れの悪さは「仕込みの時間」。 ストレスを感じるのではなく、相手を観察し、戦術を練り直すための準備期間と捉えよ。失点を恐れず、次の一手を仕込む冷静さが、逆転のシナリオを描き出す。
2. Philosophy: ラケットは振るな、思想を振れ
この日の格言は、バドミントンの本質を鋭く突くものでした。「ラケットは振るな。思想を振れ。」――これは、単なる技術論を超え、プレーの根幹にあるべき「価値観」の重要性を説いています。
コーチは核兵器を例に挙げました。どれほど高度な技術(核兵器)も、それをどう使うかという価値観(戦争抑止力として所有する)がなければ、世界を破滅に導く凶器となります。バドミントンも同じ。優れた技術を持っていても、「なぜそのショットを打つのか」「このラリーで何を狙うのか」という思想がなければ、プレーは行き当たりばったりになり、成長は頭打ちになります。
【中島ノブヨリ】 (00:12:46)
ラケットは振るな。思想触れ。よくわかんないですけども、まあ技術よりもまず価値観を大切にしていきましょうねっていうことです。…核兵器をどう使うかっていう価値観がなかったらもう地球破壊してますよね。
【中島ノブヨリ】 (00:14:13)
やっぱり価値観をま最初に身につけないと事実より先に価値観っていうものがないとやばいよと。ま、それはもちろんバドミントンでも同じことが言えるんじゃないかと思うんですよね。ですけども技術から核兵器から身につけようってね思いがちなんなんですよね。人って非常に恐ろしいことじゃないかと思います。
さらに話は生物の進化にまで及びました。最新の研究では、進化の大部分はキリンの首のように目的を持って変化した「適応」ではなく、偶然による「中立進化」だといいます。絶対的な正解がない世界で、自分なりの思想や価値観を確立し、それに基づいて行動を選択することの重要性が、ここでも示唆されています。
3. Game Analysis: 試合は心理戦!凡ミスとガッツポーズが流れを左右する
香港オープンの志田・五十嵐ペアの試合分析では、トップ選手でさえ陥る「流れ」の罠が浮き彫りになりました。特に印象的だったのは、劣勢の場面で五十嵐選手が見せた戦術です。
彼女はナイスショットで流れを変えようとはしませんでした。むしろ、相手に打たせる「なんでもない球」を返し続け、相手の凡ミスを誘発させることに徹したのです。結果、立て続けに3本のイージーミスを引き出し、試合の流れを大きく引き寄せました。
【中島ノブヨリ】 (00:42:47)
こういう胃辛し選手のこう何でもない球で取るっていうのを分かってんだよね。もうこういう時にナイスショット打っても流れ変わんないよねと。だけど、こういう棒球を入れてって、棒球を万が一ミスってくれれば、逆転っていう可能性が出てくるってことですよ。
そのガッツポーズ、逆効果かも?
一方で、ゲームポイントを取った後のガッツポーズにも警鐘が鳴らされました。相手を威圧するような、けたたましいガッツポーズは、相手の脳機能を逆に活性化させてしまい、次のゲームで苦戦する要因になりかねない、とコーチは指摘します。
【中島ノブヨリ】 (00:50:35)
ああいう、けたたましいガッツポーズってのはあんまりいいことないです。しゃーみたいなね、中学生みたいな感じで言ってると相手の脳機能上がっちゃうんで、ろくなことないですね。
派手なプレーや感情表現に頼るのではなく、相手の心理を読み、冷静にミスを誘う。そして自分を律する。トップレベルの戦いは、まさに盤上の駆け引きのような心理戦なのです。
4. Human Insight: なぜ「ダメ人間」の話は人を救うのか?
この日の議論で最も白熱したのが「ダメ人間」というテーマでした。一見ネガティブなこの言葉について語り合うことが、なぜ重要なのでしょうか。
コーチは、「ダメ人間の話をしない人は信用できない」とまで言います。その真意は、完璧な人間など存在しない以上、誰もが「ダメな部分」を持っているという事実から目を背ける態度は、自分自身の弱さをも認められない「頑固さ」に繋がる、という点にあります。
「人には良いところに目を向けましょう」という表面的な優しさは、時として真面目に頑張る人を追い詰めます。テルさんのように、荷物運びなどを押し付けられても文句を言えない人がいる中で、「ダメなものはダメだ」と言える大人がいなければ、彼は傷ついたまま救われないのです。
【中島ノブヨリ】 (01:03:04)
大人もその中でダメ人間の話とかしなかったらテルさん1人だけ傷つくじゃないですかね。…こういうのダメ人間だよねってね、はっきりこう言ってくれる人がいなかったら多分傷ついたままになってしまうんじゃないかと思いますね。
【ゆきんこ】 (01:10:28)
子供じゃなくてもね、職員とかでもアウトプットがすごい人は本当人の話聞いてないから、え、何だったっけっていうのがすごくあるから。
「ダメ人間とは何か」を言語化し、認識することで、自分がその道に足を踏み入れそうになった時に「あれ、今の自分はダメ人間じゃないか?」と自己修正できる。自分の弱さと向き合い、それを乗り越えようとするプロセスこそが、真の人間的成長を促すのです。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
技術論から人間論まで、今回も学びの多い教室となりました。特に重要なポイントを5つに凝縮して振り返ります。
流れの悪さは「仕込みの時間」
劣勢はパニックになる時ではない。相手を分析し、戦術を再構築する絶好の機会と捉えよう。「このゲームは捨てる」くらいの覚悟が、次の逆転劇を生む。
思想が技術を導く
ただラケットを振るな。なぜそのショットを選択するのか、常に「思想」を持て。価値観に基づいたプレーの一貫性が、信頼できる強さに繋がる。
凡ミスを誘うのが勝者の戦術
ナイスショットで流れは変わらない。むしろ相手が打ちやすい「なんでもない球」を返し続け、相手の焦りやミスを引き出す冷静な心理戦を仕掛けよう。
「ダメ人間」の認識が成長を促す
自分の弱さや醜さから目を背けるな。「ダメ人間」のパターンを認識することで、自らを客観視し、改善への道を歩むことができる。
自信は「破壊」と「再生」の繰り返し
過去の栄光にしがみつくな。真の自信とは、過去の自分を「ぶっ壊し」、ゼロベースで新たな自分を構築し続けるプロセスそのものである。
【中島ノブヨリ】 (01:05:48)
自信ってね、過去の自分をぶっ壊して新たに作ってくもんだよねっていう風に思うんですよ。だから自信を大切にする人っていうのは過去の自分を元にね、自信を形成してる人で本当に自信からエネルギーをもらえる人ってぶっ壊してまた作り直せる人だよね。
6. Action: アウトプット習慣チェックリスト
今日の学びを血肉に変えるためのアクションリストです。一つでも実践し、思考を現実の力に変えていきましょう。
アウトプット習慣チェックリスト
7. Closing: 「楽しい」が最強の成長エンジン
技術、戦術、思想、そして人間性の探求。今回の教室も多岐にわたるテーマを駆け巡りました。しかし、最後にコーチが語ったのは、最もシンプルで、最も重要なことでした。
「楽しいって大事じゃない?」
ミスをしても真剣に悔しがり、次の一球に集中する。そんな仲間とプレーする時間は、何よりも「楽しい」。その楽しさこそが、「もっと上手くなりたい」「このラリーを続けたい」という純粋なモチベーションを生み、選手を成長させる最強のエンジンとなるのです。
【中島ノブヨリ】 (01:25:23)
楽しいって大事じゃない ? バドミントンやってるね。なんかこいつつまんねえなね。ストレスかかるのも成長になるからいいんだけど、なんかつまんねえなってさ。…だけどこれ楽しいなっていう中でやってたらきっとこれ次も返したい。次も返したい、返したい、返したいになるからきっと上達もしやすいんじゃないかなと思うのでうん。大事なことかなと思いますね。
バドミントンを通じて、自分と向き合い、仲間と高め合う。そのプロセス自体を楽しむ心。それこそが、私たちが目指すべき場所なのかもしれません。次回の教室で、また皆さんと「楽しい」時間を共有できることを楽しみにしています。