『誠実性』とは“やり抜く力”。性格分析の巨匠に学ぶ、個性を活かす新時代のチームビルディング論
DATE: 2025年6月3日
1. Opening: なぜ今、マネジメントに「個性の理解」が必要なのか?
「ウチのやり方はこうだ」「俺が何十年やってると思ってるんだ」。そんな言葉が飛び交う職場、あなたの周りにはありませんか?個々の経験や勘に頼ったマネジメントは、時としてハラスメントのリスクを孕み、チームの可能性を狭めてしまいます。
今回のオンライン教室では、動物占いの開発メンバーであり、28年間も個性を研究し続けてきた専門家、はっとり社長へのインタビュー動画を題材に、「個性を活かすチーム作り」について探求しました。現代のマネジメントに求められるのは、個人の感覚ではなく、誰もが納得できる「指針」に基づいた対話です。
【はっとり社長】 (03:46)
経験上そうだからみたいなフレームがあると、そのフレームに乗っかってその人の個性をバイアスなく判断できうると思ったので…
【渡辺氏(聞き手)】 (02:29)
人の個性を捉える時に何のフレームも自分の中にないと…体系建ててマネジメントはできないなと思ったので。
個々の力を単純な足し算で終わらせず、掛け算によって爆発的な成果を生み出すチームを作る。その第一歩は、客観的なフレームワークを使って、自分と仲間の「個性」を正しく理解することから始まります。
今日のKey takeaway
チームの成果は「個性の掛け算」。勘や経験だけのマネジメントはもう古い。客観的な指針(フレームワーク)を用いて個性を理解し、バイアスなく対話することが、チームのポテンシャルを最大限に引き出す鍵となる。
2. The Big Five: 世界で最も信頼される性格分析「ビッグファイブ」とは?
では、個性を客観的に捉えるための「指針」とは何でしょうか。はっとり社長が活用するのが、世界で最も信頼性が高いと言われる性格分析理論「ビッグファイブ」です。これは、人の性格が主に5つの要素の組み合わせで構成されている、という考え方です。
- 外交性: 人とのコミュニケーションや、他者を巻き込む力。
- 開放性: 新しいものへの好奇心や、アイデアを生み出す力。
- 調和性: チーム全体の調和を考え、協力する力。日本人には多い傾向。
- 誠実性: 責任感を持ち、物事を継続的にやり抜く力。
- 情緒特性(神経症傾向): ストレス耐性や、リスクを察知する繊細さ。
【はっとり社長】 (06:17)
ビッグファイブがやっぱすごいところが、エビデンスがとにかく多い、論文数がとにかく多いんですよ。…唯一科学ってつけてもいいレベルなんですよ、これが。
この5つの要素のバランスは人それぞれです。どれが良い・悪いではなく、それぞれの特性を理解し、その人に合った役割や環境を考えることが重要になります。今回は、特にビジネスの成果と直結する「誠実性」について、深く掘り下げていきましょう。
3. Deep Dive – “誠実性”: 成果を出すチームに不可欠な「やり抜く力」の正体
「誠実性」と聞くと、真面目、正直といったイメージが浮かぶかもしれません。しかしビッグファイブにおける「誠実性」とは、より具体的に「責任感を持って、物事を継続的にやり抜く力」を指します。いわば、ビジネスにおける”体力”のようなものです。
なぜ「誠実性」が重要なのか?
海外のデータでは、組織の中で高い給料を得ている人は、圧倒的にこの「誠実性」が高いという結果が出ています。なぜなら、多くのタスクが同時進行し、物事が流れやすい現代において、一度決めたことを最後までやり遂げる力は、組織の信頼と成果の土台そのものだからです。
【はっとり社長】 (25:45)
誠実性がチームにいてると、いやこれはもう続けてるからまず続けよう夏までは、と。それでこの数字でダメだったらやめようとか。ていう判断基準を明確なルール化してやるっていう。
【はっとり社長】 (27:32)
トップ層はやめるって言った時に、(誠実性が高い人は)「ちょっと待ってくださいよ。あれだけの人巻き込んで発表したのに」みたいな…これが一番ぶつかる。
誠実性が低いと、アドリブ力があり変化に強い一方、すぐ「やめる」判断をしがちです。逆に高いと、変化には弱くなりますが、一度決めたことを粘り強く継続します。この特性は生まれつきではなく、後天的に伸ばすことが可能だと、はっとり社長は言います。その鍵は「目標設定」「期限」、そして「責任」です。
4. Team Building: 「違う個性」を組み合わせるからこそ、チームは強くなる
自分と似た人と一緒にいると、コミュニケーションは楽かもしれません。しかし、はっとり社長は「似てる人間同士で組んだ時に生産性はない」と断言します。本当の意味で強いチームとは、異なる個性が補完し合うチームです。
開放性が高いアイデアマン、誠実性が高く計画をやり抜く実行者、調和性が高くチームを繋ぐ調整役、情緒特性が高くリスクを察知する門番…。それぞれの強みが組み合わさって初めて、チームは大きな成果を生み出すことができるのです。
【はっとり社長】 (37:35)
似てる人間同士で組んだ時に生産性ないんですよ。とにかく違う方がいいです。
【はっとり社長】 (38:53)
自分と相手が明確に違って、相手が違うんだってことを受け入れると、相手の強みしか見えなくなるんです。
リーダーの役割は、メンバー全員に「私たちは違う。それが価値なのだ」という共通認識を浸透させること。そして、全員が主役になれる環境を整えることです。サッカーでフォワードだけが評価されるチームが勝てないように、ビジネスチームもまた、多様なポジションの活躍があってこそ成り立ちます。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回のセッションは、単なる性格診断の話に留まらず、自己成長とチームビルディングの本質に迫る、深い学びがありました。特に重要なポイントを5つに凝縮します。
「誠実性」は後天的に伸ばせる“やり抜く力”
「誠実性」は生まれつきの性格ではなく、鍛えることができるスキル。目標、期限、責任を自ら設定し、やり遂げる経験を積むことで、ビジネスの基礎体力は確実に向上する。
弱みを補う努力が、自分の世界観を広げる
「強みを活かせ」は真実だが、それだけでは成長は頭打ちになる。自分の弱みや苦手なことに向き合い、補おうと努力することで初めて、見える世界が変わり、人としての器が大きくなる。
最強のチームは「違う個性」の掛け算で作られる
居心地の良い「似た者同士」の集団は、厳しい状況で分裂しやすい。生産性を最大化するのは、互いの違いを認め、強みを補完し合える多様性のあるチームだ。
役割が人を育てる。特に責任は「誠実性」を育む
人は与えられた役割や役職によって成長する。特に、プロジェクトや目標に対する「責任」は、誠実性を高めるための最高のトレーニング環境となる。
全員が主役。多様な才能を評価する仕組みが鍵
目立つアイデアマン(開放性)や交渉人(外交性)だけでなく、チームを支える調整役(調和性)や堅実な実行者(誠実性)も正当に評価される文化が、持続的に成果を出すチームの土台となる。
【はっとり社長】 (29:14)
長所だけをずっとやってたら、その人の世界観をずっと変わんないままなんですよ。…(苦手を)補おうという努力をしないと世界観が変わらないんですよ。
6. Action: 「個性を活かす」実践チェックリスト
学びは行動に移してこそ意味があります。今日学んだ「個性の理解と活用」を、明日からのチームビルディングや自己成長に繋げるための具体的なアクションリストです。ぜひ一つでも実践してみてください。
「個性を活かす」実践チェックリスト
7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
「誠実性」は、チームの成果を支える根幹です。そして、その力は日々の意識と行動によって誰もが伸ばすことができます。重要なのは、自分や他者の個性を客観的なフレームワークで理解し、「違い」を弱さではなく「強さ」として受け入れること。
あなたのチームは、ただの仲良しグループになっていませんか? あるいは、一人のスタープレイヤーに依存していませんか? 今日の学びをきっかけに、ぜひ一度、自分たちのチームの「個性のバランス」を見つめ直してみてください。そこには、チームを次のステージへ引き上げるための、大きなヒントが隠されているはずです。
【渡辺氏(聞き手)】 (42:26)
これでまたメンバーのことを観察してみたいなと思いましたんで、また色々教えてください。
【はっとり社長】 (42:26)
はい、どうもありがとうございます。ありがとうございました。
インプットで終わらせず、チェックリストの項目を一つでも行動に移すこと。その小さな一歩が、あなたとあなたのチームの未来を大きく変える力となります。次回のオンライン教室も、皆さんのご参加を心よりお待ちしています。