Phoenix-Aichi オンライン教室

2025年9月15日オンライン教室レポート:「流れが悪い」は武器になる!試合巧者が実践する心理戦と逆転の思考法

DATE: 2025年9月15日

森の中を蛇行して流れる川―ゲームの流れを読み解き、戦略的にコントロールする大自然のイメージ

1. Opening: 「ひらめき」はただの反射。思考の4段階を登れ

この日の教室は、過去の振り返りからスタート。「〇〇しかないは思考停止の罠」「気づきとは抽象化である」といったテーマが並ぶ中、特に焦点が当たったのは「ひらめき」の正体です。コーチは、多くの人が特別視する「ひらめき」を、単なる脳の反射行動に過ぎないと断言。特に0.1秒を争うバドミントンの世界では、ひらめきに頼るプレーは読まれやすく、非常に危険だと警鐘を鳴らしました。

では、ひらめきに頼らず、何を基準にプレーを選択すればよいのでしょうか。その答えとして、コーチはバドミントンの配球における「思考の4段階」を提示しました。

【中島ノブヨリ】 (00:06:38)

ひらめきってなんか独創的な発想をするみたいな風に思ってるかもしれないですけども、単なる反射行動です。なので非常に危ない。…ひらめきに頼ってやるっていうのは読まれやすいよねっていうことです。

【中島ノブヨリ】 (00:09:41)

バドミントンの配球の考え方、思考の段階の4段階みたいな話を書きました。…第1段階…ネットすれスレとかラインギリギリ。…第2段階では相手のミスを待つ堅実化の壁。…第3段階になると…入れておく球を狙いに行く。…第4段階はこの1から3を、え、状況に応じて使い分けて戦っていくのが第4段階。

自分の現在のレベルがどの段階にあるのかを客観的に認識し、状況に応じて戦術を使い分ける。これこそが、反射的なプレーを超え、ゲームを支配するための第一歩なのです。

今日のKey takeaway

ひらめきは思考停止のサイン。 試合の流れは、反射的なプレーではなく、意図的な戦略によって作られる。思考の4段階を意識し、自分のプレーを客観視することで、再現性の高い戦術を組み立てる。その冷静な視点こそが、勝利への道を切り拓く。

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2. Video Analysis: パートナーのミスに安堵する心理―松友/渡辺ペアの試合に潜む課題

次に、松友/渡辺ペアの準決勝の試合を分析。コーチは、松友選手の「OSのアップデートが進んでいない」点を指摘し、特にその心理面に鋭く切り込みました。最も象徴的だったのは、パートナーがミスした際のリアクションです。

【中島ノブヨリ】 (00:18:54)

松友選手ね、パートナーがミスっても全然ナーバスじゃないんだよね。むしろ嬉しそうな…パートナーがミスった時にちょっと嬉しっていうかほっとしてんだよね。見てて。そういう時って大体自分のプレイが悪目立ちしないっていう感覚がある。

【中島ノブヨリ】 (00:33:53)

なんとか相手のミスで(点を)取ってる時って自分たちがミスったらもう大崩れじゃないですか。こうやってでも大量リードになっちゃうんですよね。…自分たちのナイスショットで点数。ナイスショットの後はサービスミス。

「自分ばかりがミスしているわけではない」という安堵感は、チームのパフォーマンスを著しく低下させます。また、相手のミスで得点しているうちは良いものの、自分たちのミスがきっかけで大崩れする傾向も見て取れました。再現性のない得点パターンは、流れが悪くなった時に脆さを露呈します。

対照的に、相手のファンドンピン選手は、不利な体勢からでも前に入り、トップアンドバックの形を作ろうとする動きが一貫していました。この形作りの意識の差が、試合の流れを大きく左右していたのです。

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3. Deep Dive: 「流れが悪い時」こそ仕掛けろ!コーチが実践した逆転のゲームメイク術

この日の白眉は、コーチ自身がテルさんと組んで出場した東京での試合の振り返りでした。序盤から流れが悪く、ミスが続く苦しい展開。しかし、コーチはこれを単なるピンチではなく、ある「仕込み」の時間と捉えていました。

逆転への3ステップ

  1. ステップ1:守備に徹し「目」を慣らす (1ゲーム目)
    無理に攻めず、ひたすらレシーブに集中。慣れない体育館での相手の攻撃に目を慣らし、「この攻撃は怖くない」という状態を作り上げます。攻めないことで、相手に「自分たちのピーク」を迎えさせ、満足感を与えることも狙いです。
  2. ステップ2:「演技」で相手の心理を操る
    ミスをした際に、あえて大げさに悔しがる。これにより相手の満足感を高め、油断を誘います。冷静に状況をコントロールしつつ、相手を精神的に優位に立たせる高等戦術です。
  3. ステップ3:守りの自信を武器に「攻め」へ転換 (2ゲーム目)
    1ゲーム目で守備に絶対の自信をつけた後、2ゲーム目から攻撃に転じます。相手は1ゲーム目で攻め続けていたため「守りの準備」ができていません。一方こちらは「上げられても大丈夫」という保険があるため、思い切った攻撃が可能になり、ゲームの主導権を握り返します。

【中島ノブヨリ】 (00:52:33)

流れ悪い時に、ま、相手に甘く出してポンポンポンで引き締める。で、ここでさ、引き締めてるのがすごいいいんですよね。…こうやって悔しがることで相手の満足感も上がるんすよ。よしっていう風になるんでね。

【中島ノブヨリ】 (01:06:05)

1ゲームを守りました。で2ゲーム攻めます。自分たちは守れる状態が結構できてるんだけど相手攻めまくって1ゲーム取ってるから守りの準備できてないんですよ。その有利さ分かるでしょ?…ま、この段階で8割ぐらい勝ったかなって、思ってるよ。

「流れが悪い」という状況を、ただ耐えるのではなく、逆転のための布石として戦略的に利用する。まさに試合巧者の思考法がここにありました。

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4. Mystery: なぜ「ラリーを尊ぶ」だけでは勝てないのか?抽象論の先にあるもの

話題は、ある理念へと移りました。「ラリーを尊ぶ」「一人狙いすべからず」といった教えは、一見すると美しく、正しいものに聞こえます。しかしコーチは、こうした抽象的な言葉だけでは、選手の具体的な行動には繋がらないと指摘します。

【中島ノブヨリ】 (00:37:06)

結構いいこと書いてあるんですよね。…ラリーを尊ぶ。…分かるんだけどどすりゃいいのっていうんだよっていうことですよね。大事なのは何をしたらラリーができるかだよね。

【中島ノブヨリ】 (00:38:47)

ラリーをするっていうのは行動目標にならないですからね。ラリーをするっていう結果じゃん。…右を向くっていうのは行動目標になるけどラリーをする。これは相手次第だから無理だよね。行動目標じゃないよね。結果目標だよね。ってなっちゃうので。

「ラリーを尊ぶ」という結果目標を達成するために、「具体的にどのような配球をするのか?」という行動目標にまで落とし込むことが重要です。例えば、「相手を動かすためにストレートに深く返す」「安易にロブを上げず、ドライブで沈める」といった具体的なアクションプランです。

精神論や理想論は大切ですが、それを自分のプレーにどう反映させるかという「翻訳作業」ができて初めて、力になるのです。

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5. Takeaways: コーチング的5つの学び

今回の教室は、コート上の戦術だけでなく、物事の見方や考え方そのものをアップデートするような、深い学びに満ちていました。特に重要な5つのポイントを振り返ります。

1

流れの悪さは「仕込み」の時間

劣勢は焦る時間ではない。相手の攻撃に目を慣らし、守備の感覚を研ぎ澄ます絶好の機会と捉えよう。逆転への布石は、最も苦しい時に打たれている。

2

ひらめきを捨て、狙いを「点」で打つ

反射的なプレーは読まれやすい。1m四方を狙うのではなく「シャトルの先端」を狙う意識で打つ。明確な意図が、プレーの再現性と精度を高める。

3

心理を操る「演技力」

ミスした時にあえて悔しがる、強気に振る舞う。冷静な頭脳で、相手の感情をコントロールすることも高度な戦術の一つ。コートの上では誰もが役者だ。

4

守備の自信が、攻撃の自由を生む

「最悪、上げても大丈夫」という守備への自信があってこそ、リスクを取った攻撃が可能になる。安定したレシーブ力は、最強の攻撃の土台となる。

5

抽象論を「行動目標」に翻訳する

「ラリーを続けろ」ではなく「ストレートに低いドライブを打て」。「頑張れ」ではなく「あと一歩前に詰めろ」。精神論を具体的なアクションに落とし込んでこそ、成長に繋がる。

【中島ノブヨリ】 (00:43:18)

人に興味を持つことができた理由。これ本当にね、深いですよね。…ダメ人間を笑ってくことだったりとか、あるいはダメ人間っているよねっていうのを理解する、共感できる人っていうのはいないと自分だけ心を病んでく可能性あるんですよ。

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6. Action: 試合巧者へのアウトプット習慣チェックリスト

今日の学びを、明日からの練習と試合で活かすためのアクションリストです。一つでも意識して取り組むことで、あなたのゲームメイクは確実に変わります。

アウトプット習慣チェックリスト

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7. Closing: 今日の学びを明日の一本へ

「流れが悪い」―それは多くの選手にとって敗北を予感させる不吉な言葉かもしれません。しかし、今日の教室を通して、その言葉の意味は大きく変わったのではないでしょうか。流れの悪さは、相手を観察し、自分を調整し、そして逆転のシナリオを描くための、またとない「仕込み」の時間なのです。

ひらめきという名の反射に頼るのではなく、冷静な分析と戦略でゲームを組み立てる。守備で自信を築き、それを翼に攻撃へと飛翔する。抽象的な精神論を、具体的な一本のアクションへと昇華させる。今日の学びが、皆さんのバドミントンをより深く、より面白いものに変えるきっかけとなることを願っています。

【中島ノブヨリ】 (01:09:38)

自分たちが悪い流れをどういう風に変えていくかって別に1人狙いで変えてるわけじゃないですよね。…そんなことも全然考えてないし。はい。終わりましょうか。…参考にしてみてください。

インプットはアウトプットして初めて完成します。チェックリストの項目を胸に、次の練習に臨んでみてください。コートの上で、あなたの新たな「流れ」が生まれるはずです。

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