2025年9月28日オンライン教室レポート:「自分を壊す」勇気が成長を加速する!『演じる力』とトップ選手の試合分析から学ぶ本質
DATE: 2025年9月28日
1. Opening: 目先の勝ちより「将来の成長」を選ぶ勇気
この日の教室は、コーチのYouTubeチャンネルに寄せられたコメントへの返信内容の共有から始まりました。テーマは、トップレベルでは減ってきているものの、特定のレベル帯では依然として有効とされる「薄いネット」。コーチは、なぜ自身の指導では初期段階から「薄いネット」に頼らない、より本質的なプレーを推奨するのか、その哲学を語りました。
小学生時代に薄いネットで県の上位に入った選手が、中学生になると勝てなくなる。しかし、今勝てている戦術を手放すのは怖い。このジレンマこそが、多くの選手が陥る「目先の勝ち」の罠です。フェニックスでは、たとえ遠回りに見えても、世界で戦うためのプレーを最初から追求します。
【コーチ】(06:32)
小学生の時に薄いネットで勝ってた選手で中学生以降でなかなかね、勝てなくなって。で、それ直そうとするとさ、今勝ってる人たちにも負けるから変えられなくなっちゃうんだよね。本当に苦しいからさ、その道に入ると。
【コーチ】(07:23)
目先の価値を取りに行くと結構苦しいよっていうことがあるからこそ、もう遠くの方のゴールを目指して最初っからやっていきましょうねっていうのが私の指導方針なんですよね。
この指導方針は、単なる技術論に留まりません。それは、選手の未来に対する責任感の表れであり、バドミントンを通じて「本質を見抜く力」を養うという、より大きな目標に基づいているのです。
今日のKey takeaway
目先の勝利は、時に長期的な成長を阻害する「罠」になる。今勝てる技術に固執するのではなく、将来を見据えた本質的なスキルを磨き続ける勇気が、最終的に自分をより高いステージへと導く。
2. Pro Analysis: 山口茜vsアン・セヨン戦に学ぶ「薄いネット」のリスク
理論だけでなく、実際のトップ選手のプレーからも学びます。この日は、見事優勝を果たした山口茜選手の試合を分析。特に、相手のアン・セヨン選手が「薄いネット」を仕掛けた場面が、失点に直結する典型的なパターンとして取り上げられました。
失点につながる典型的な流れ
- (00:15:45) ネット際に「薄い(短い)」ヘアピンを打つ。
- 相手に大きく踏み込まれ、より厳しいコースに沈められる。
- 自分の選択肢がなくなり、苦しい体勢から奥に上げるしかなくなる。
- 結果、バックアウトやスマッシュを決められる。
【コーチ】(00:15:45)
ここで薄いネット仕掛けたんですよね。薄いネット仕掛けたらもっと踏み込まれちゃって、で、低く取らされてバックアウトということですよね。やっぱりこれも薄いネットから失点形の1つですよね。
【アキコ】(00:15:58)
H うん。
【コーチ】(00:18:24)
今のとこもね、ここで短いネット…薄いネットの狙いに行って踏み込まれちゃうんですよ。で、踏み込まれてさらに短く切られてもう選択肢がなくなってくるから…バックアウトした。さっきと同じだよね。
コーチは、この同じパターンでの失点が1ゲーム目と2ゲーム目の両方で見られたことを指摘。トップレベルの試合では、安易に短い球を打つことがいかに危険かを浮き彫りにしました。逆に、山口選手が見せた、ラケットを大きく引かずにコンパクトに打つロビングやネットプレーは、安定性と再現性の高さを象徴していました。
3. Deep Dive: なぜ「自分を壊す」ことが成長の鍵なのか?
この日の核心的なテーマは、「成長したければ自分をぶっ壊していきましょう」という、一見過激なメッセージでした。しかしこれは自己否定ではなく、むしろ最もポジティブな自己肯定の行為だとコーチは語ります。
「自分は人見知りだから」「飽きっぽい性格だから」—。私たちは無意識のうちに、過去の経験から作られた「自分」という設定に縛られています。「ありのままの自分でいよう」という言葉は心地よく聞こえますが、それは時として、居心地の良いコンフォートゾーンに留まり、成長を妨げる「呪い」にもなり得ます。
【コーチ】(00:30:47)
素の自分至上主義っていうことを結構歌ってる人いると思うんですよ。「ありのままの自分で言いましょう。今の自分を大切にしましょうね」みたいな言葉って世の中に溢れてると思うんですよね。しかしそれってやっぱり成長を妨げる呪いじゃないかなっていう風に思うんですよ。
【コーチ】(00:35:20)
なのでこの設定を1度リセットして新しいOSをインストールするかのように自分を再定義する。これが自分をぶっ壊すってことですよね。
では、どうやって「自分を壊す」のか。その答えが「演じる」ことです。自分が理想とする人物ならどう振る舞うかを想像し、それを演じてみる。最初は違和感があるかもしれません。しかし、その「演技」を続けることで、行動が変わり、意識が変わり、やがてそれが新しい「本物の自分」になるのです。あなたは、あなたの人生という物語の脚本家であり、主演俳優なのです。
4. Practice Review: ダブルス練習動画から見えた課題と成長
理論を学んだ後は、自分たちのプレーに落とし込む時間です。この日のダブルスのゲーム練習動画を分析し、具体的な改善点を探りました。
特に焦点が当たったのは、ネット前のバックハンドの処理。強く打ちたいという意識から、ついラケットを大きく振りかぶってしまい、タイミングがずれてミスに繋がる場面が見られました。
【アキコ】(00:45:30)
だどクロール打ちってことですか?
【コーチ】(00:46:58)
はい。これも引かないんですよ。もうラケットを…セットした位置から…シャトルの後方に入れます。落とすだけなんですよ。
【コーチ】(00:48:26)
ヨッシーの場合で行くと、分かった?90°ぐらいまで引いているんですよ。これ難しいんだってタイミングを合わせるのが。
コーチは自ら手本を示しながら、ラケットを大きく引かず、セットした位置からシャトルの後ろにスッと入れて「落とすだけ」というシンプルな打ち方を解説。この方が遥かに簡単で、ミスが少なく、しかも相手にとってはタイミングが合わせづらく効果的です。リスクを冒してエースを狙うのではなく、再現性の高い技術で確実にポイントを重ねる。ここにも、目先の派手さより本質を重視する哲学が貫かれていました。
5. Takeaways: コーチング的5つの学び
今回のオンライン教室で得られた、バドミントンにも人生にも通じる重要な学びを5つにまとめました。
「自分」は固定されたものではない
「ありのままの自分」に安住することは、成長の停滞を意味する。現状維持は衰退と心得え、常に自分をアップデートする意識を持つことが重要だ。
理想の自分を「演じる」勇気
自分を壊し、理想の人物像を演じることは、新しい自分を創造する最もポジティブな行為。その演技はやがて真実となり、あなたを次のステージへ導く。
目先の価値より、本質的な成長を選ぶ
短期的に有効な戦術(薄いネット)も、長期的には成長の足枷になり得る。常に「これは将来の自分に繋がるか?」と問いかけ、本質的な選択を心がけよう。
コンフォートゾーンの罠に気づく
人間は居心地の良い環境に留まろうとする生き物。しかし、真の成長はその外側にある。今の環境が心地よいと感じたら、それは自分を壊すサインかもしれない。
シンプルな技術こそが再現性を生む
派手なプレーや難しい技術に走るのではなく、ラケットを引かずに落とすだけ、といったシンプルな動作の反復が、安定したパフォーマンスの土台となる。
【コーチ】(00:36:42)
結論、あなた(は)あなたの物語の主人公です。自分をぶっ壊すとは自己否定ではありません。無限の可能性の中からなりたい自分を選び取り、創造してくという最もポジティブな自己肯定の行為なんですよ。
6. Action: 「理想の自分」実践チェックリスト
今日の学びを行動に変えるための具体的なアクションリストです。「自分を壊し、演じる」ための第一歩を踏み出しましょう。
「理想の自分」実践チェックリスト
7. Closing: 今日の学びを明日の一歩へ
「ありのままの自分」という心地よい檻から抜け出し、無限の可能性の中から「なりたい自分」を選び取り、演じきる。それは、バドミントンの上達はもちろん、人生そのものを豊かにする、創造的な行為です。
今日の教室は、自分という存在を再定義し、新たな一歩を踏み出すための力強いメッセージに満ちていました。あなたは、あなたの物語の主人公です。さあ、明日からどんな役を演じますか?
【コーチ】(01:01:28)
ついつい見ちゃうね、これね。これ見るだけで今週1週間終わるかもしんない。
【アキコ】(01:01:40)
ありがとうございました。
日々の練習の中に、今日の学びを一つでも取り入れてみてください。その小さな「演技」の積み重ねが、やがてあなたを想像もしていなかった場所へと連れて行ってくれるはずです。